PARTNER 国際協力キャリア総合情報サイト PARTNERニュース・コラム(第215号)

第215号  つなぐ人

 今年9月のはじめ、私の友人の家庭に、4人目の子供が誕生したとの連絡が入った。 少子化が叫ばれて久しいが、この友人の家庭は少子化どこ吹く風といったところであろう。 現在は、友人と私は遠く離れて生活しているのだが、情報社会となった現代では、あっという間にこの ニュースは私の手元に届いた。ニュースを知らせるメールが届いた瞬間、懐かしい顔を思い出させてくれた。 この新しい命は、少し連絡が途絶えていた友人と私を再びつないでくれることとなった。何はともあれ元気に 育って欲しい。

 JICAでは、開発途上国の国づくりの中核となる人材を育成する目的で、毎年約1万人もの研修員を各国から 日本に招へいし、日本国内で研修を実施している。この友人はその研修員たちが日本国内で研修を実施する にあたって研修に同行し、通訳をはじめ各講義を受け持つ講師や見学先との連絡調整、研修全体のスケ ジュールに沿った移動手段の調整、研修の中でのファシリテーションを実施するなど、何役もこなし、研修に おいて重要な役割を担っている。また、研修の内容はソフトからハードまで多岐にわたるが、日頃の研鑽を 怠らず、研修員からもあつい信頼を受けている。

 国内で実施される研修には様々な国や文化を持つ研修員が参加するため、色々なハプニングは付き物で、 この友人も数々のハプニングを乗り越えて(?)現在に至っている。

 その日は研修旅行への出発日。出発時間になっても1名の研修員が集合しない。部屋に内線をかけても 電話に出ない。フロントを通じて情報を集めてみると、前日、友人の部屋で酒盛りをしていたとの情報が。 そこで、酒盛りのあった部屋に電話をかけてみると、情報通り本人はその部屋に。急いで起して荷物を詰め、 着替えてから降りてくるようにと、電話を切った。数分後、本人は何とか降りてきたものの、着衣のセンスが あまり良くなかった。ショートパンツに革靴、頭には、(小学生時代によくお世話になった)紅白帽が頭に 乗っかっている。しっかりあご紐も装着されて。本人は日本の渋い俳優似のいわゆるイケメンであったので、 そのギャップが周囲の笑いを誘うのだが、本人はいたって涼しい顔。しかも当日は、市長の表敬訪問が…。

 また、別の研修の話だが、海の近くで研修のため、キッチンが付いている宿泊施設に泊まっていた。その夜 は満月、しかも年に一度、山に生息するカニが海辺まで降りてきて産卵をするという、日本人でもなかなか お目にかかることが難しいタイミングであったものの、大洋州からの研修員たちは、カニを見るや否や、 宿泊施設から鍋を借り、彼らの荷物に忍ばせていたココナッツミルクパウダーをおもむろに取り出し、 「大漁大漁」と顔をほころばせクッキングを始め、宿泊施設のフロントや周囲の日本人に振舞ったらしい。 今なら笑い話だが、これらのハプニングが起こった瞬間は、本人はその文化の違いに驚きもし、対応に右往 左往することも少なくなかったであろう。そして、笑い話では済まないような深刻なハプニングもいくつかあった であろう。

 このような、ハプニングや宗教や文化の違い、ときには金銭トラブル、ときには体調を崩すなど、人間を相手 にしているからこそ起こる様々な問題をうまくコントロールしながら、今日も私の友人は研修員と共に日本国内 を駆け巡っている。そして、最後には、研修員たちの笑顔を見るために。 今日も研修員と日本を「つなぐ人」として・・・。 (K.N.)

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