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第219号  開発とエッジ効果

 名古屋で開催されたCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)の会合で、日本の「里山」が取り上げられたことはご存知だと思う。里山は野山の自然と、水田、畑、薪炭林(しんたんりん)の活用などの人間活動が出会う場所だ。こういう異なる環境(エコシステム)が出会う場所を生態学では、「エッジ(edge、日本語で「界面」と訳されていることもある)」と呼ぶ。

 アメリカ大陸で「go west!」と言って西部を開拓した過程は、森林を切り開き、砂漠を灌漑して、エッジと出会い続けた歴史でもある。エッジの特徴の一つは、異なるエコシステムが出会うため、例えば森と開いた土地が出くわして、森の動物と草原の動物の両方がいる場所になることだ。結果として、キジや鹿、ウサギなどの動物を猟師が容易に狙うことができる。このような猟師にとって嬉しいことが起きる一方、光が森に入り込むことで森の生態系は壊れる。こういった諸々の現象(効果)をエッジ・イフェクト(edge effect、エッジ効果)と言う。

 エッジに出会うことを一般化して、我々の仕事である「開発」という観点から見ることができると考えた。一国の中で、例えば地方の山岳地帯を開発することや、先進国の支援で途上国の開発を進めることは、エッジに出会うことではないだろうか。開発で出くわす「エッジ」では、生態学の「エッジ」と似たように、人や物の交流が盛んになる。そこでは都市化が起き、違法伐採が問題となり、アブラヤシのプランテーションもできたり、また国によってはトラや象が行き場をなくして、このエッジを舞台に、人に危害を加えたりもする。そう言えば、この秋の日本でのクマ出没もエッジでの出来事だ。

 国際協力に携わる人々は、エッジが仕事場。そこでは相手国の人々、自然、資源そして文化との交流が花開く一方で、時には事件、紛争さえも起きる。考えてみれば、人類の歴史はエッジを創ることかもしれない。地球以外に住める星を探すことも新たなエッジを創ることだろう。話が地球を飛び出してしまったが、開発によって良いエッジ・イフェクトが得られるように日々努力したいものだ。 (T.M.)

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