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第223号  “5S”

JICA's World 11月号(*)は、「カイゼン」特集だ。日本企業が積み上げた品質管理・生産性向上のノウハウは、自動車や電化製品などの技術力の高さと共に、いまや途上国からも注目される日本の代表的なイメージとなった。実際に、同誌でも紹介されているように、活動に欠かせない「5S」(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)は様々な国の言葉に訳されて根づきつつある。

 かく言う私も、15年ほど前の青年海外協力隊員時代には、アフリカ南部にあるB国の郵便公社で、これに取り組んでいた一人である。サービス向上のために小集団活動(QCサークル)を導入しようと、あちこちの郵便局に出かけては説明して回った。当時はパソコンもなく、汚い手書きの案をタイピストの女性に打ち直してもらい、イラストを添えて作ったテキストを抱えて。

 「えー、そんなことするの?」と明らかに面倒くさそうな同僚たち。「Let's begin. とにかく何か始めよう!」などと、どこかの青春ドラマで聞いたセリフで、どのように課題を解決するかの10分会議を毎朝5人ほどのグループに分かれて開いてもらう。そんなことを続けていたある月曜日のこと、いつものように郵便局に巡回指導ならぬ巡回おしゃべりに出かけると、「ちょっとこっちに来てくれ」と言う。連れて行かれたのは、倉庫だった。なんと前の週まで書類が無造作に積まれて汚かった部屋が、見違えるほどきれいになっている。

 「先週の朝のグループ・ミーティングで話し合って、土曜日の仕事の後にみんなで片づけたんだ。Seiri、Seitonだよ。」
 技術協力には上位目標、プロジェクト目標、成果が付き物である。しかし、最前線で活動する人間にとって国際協力の仕事を続けるモチベーションは、何よりも些細ではあるが日常たまに(本当にごくごくたまに)起こる、こんな感激なのだ。That’s 国際協力!

 昔を思い出しながら、そんな感慨に浸っていると、隣から声が聞こえた。 「もう、おとうさん、ちゃんと脱いだ服はたたんでよねぇ。それで、よく人に整理整頓なんて言えるものよねぇ。」 子供のしつけも含めた「5S」どころか、炊事・洗濯もこなすうちのカミサンは、「7S」のエキスパートであった。世のお父さん、料理が苦手でも、せめて奥さんの手伝いをする前にはちゃんと手を消毒・殺菌して、「2S」を実践しましょう。  (G.F.)

 

(*)JICA's WorldはJICAのWebサイトからご覧になれます
http://www.jica.go.jp/publication/j-world/1011/index.html

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