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第225号  変えるべきもの

私が勤務しているこの国では、先月、国会議員選挙が行なわれ、開票の結果、上位5党のみが議席を獲得し、6位以下の政党は議席を獲得できませんでした。
 この選挙は比例代表制で行われ、各政党に対して票が投じられましたが、得票が有権者数の5%を越えないと一切議席を取れないという足切り規定があるため、6位以下の政党は議席ゼロという形になりました。

 最近まで、惜しくも議席を獲得できなかった第6位の政党が時々国会前で小規模なデモをしていましたが、それを除いては選挙後も全く平穏です。
 今週末に行われるJICA事務所主催の駅伝大会の練習として、最近、国会前の広場をぐるぐる走っていますが、ローラーブレードの練習をする若者の嬌声と時折結婚式直後の新郎新婦を載せたリムジンがクラクションを鳴らしまくりながら通過する時以外、いたって静かです。

 この選挙の結果を受けて、今後、当国では様々な場面で変化が起きるのだと思います。思えば、政治という世界では、常に変化が求められている気がします。「CHANGE」然り、「政権交代で、日本を変える」然り。また、これは政治ではないですが、昔あるCMで有名な野球選手が『変わらなきゃも変わらなきゃ』と言っていましたが、「変わる」という概念にはどちらかというとポジティブなイメージが付いている気がします。

 そういう私も先日、活動先を地方の登山ガイド・ポーター協会から首都にある山岳協会に変えました。
 理由は、ガイド・ポーター協会の規模が小さく裨益する対象者が少ないこと、これから閑散期になりできることに限りがあること等です。

 そうはいっても新しい所属先でも、(より大規模に)登山ガイド育成システムの整備と持続性を持たせるという、私のミッションには変わりないですし、他の団体と協力して孤児院の子ども達に登山・クライミングを教えるという、これまでしてこなかった新しい活動もやって行こうと思っています。

 元々、登山ガイドの育成を通じて仕事を創出し、出稼ぎ等に行く必要をなくし、家族が皆でHappyに暮らせるように、という目標で当国に来ているので、その目標にブレがなければ、例え活動先を変えることになっても仕方がないかなと思って決めました。ただし、その元々の目標は変えてはいけない、とそれだけは心に誓っています。

 変えるべきものと、変えてはいけないもの。
 様々な物事にそれらは同時に存在し、全て「変わるべきもの」というのはきっとあり得ないのだと思います。

 少し話は戻りますが、変えることに価値があると考えられていても、例えば、最近の日本では保健行政や教育の分野では、変えない方がいい場合も多く存在すると考えています。最近、臨床研修制度の変化で、医者が地方から都市部の病院に集中しているのはよく聞く話ですし、当初「良いもの」として取り入れられた教育方針も見直しが進んでいると聞きます。

 リチャード・バックの「イルージョン」という小説で、「(空はいつでも完璧であるが)完璧であるためには、一秒ごとに変化しなくてはならない」というフレーズがあります。

 変えるべきものと変えてはいけないものを見極め、変えるべきではないところは残しつつ、変えるべきところは積極的に変えていこうと思う、選挙後の今日この頃です。 (S.S.)

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