PARTNER 国際協力キャリア総合情報サイト PARTNERニュース・コラム(第249号)

第249号  心のデトックス

 ときおり岩盤浴に出かける。じんわりと温かな天然石の上に寝そべっているだけで、大量の汗と共に、体内に溜まった老廃物が排出されるという、ラクして健康になりたい無精者の私にはうってつけの場所である。

私の馴染みの浴場は、どんよりと暗く、粛々と鐘の音が流れている。人々は皆、浜辺に打ち上げられたトドのごとく横たわり無言で汗を流し続けるばかりだ。毎度、不思議になるのだが、このような環境で皆、何を考えているのだろう。全裸だし暑いし、あまり小難しいことは考えられないように思うのだが、どうだろう。私自身、常ならば絶えず心のどこかにひっかかっている、わだかまりの「アレコレ」など思索できない。せいぜい、家の冷蔵庫の中身を思い浮かべて晩ご飯のメニューを検討するとか、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」の海洋生物に成り果ててしまった親父の通り名を思い出せず身もだえするとか、つまりロクなことはしていない。
 そんなことすらできなくなるほど頭も煮えてきた頃合いに浴場をあがるのだが、その爽快感といったらない。体ばかりか心も軽い。汗と共に、内に溜まっていた「アレコレ」まで排出された気分だ。千円の岩盤浴で身も心もすっきりしてしまう私のお手軽なことはさておき、心に溜まったものを解消するには、汗を流したり動いたりといった身体を使う手段も有効と言われている。あるいは、「話す」ことによってもそれは可能だ。

 体内にたまった物を排出して浄化するという、生理的な事象を示すギリシア語が「カタルシス」だが、今日では、心理カウンセリングにおける「カタルシス効果」という用語として使われることが多い。簡単に言えば、心にある不安や悩み等を、言葉にして表現すると、それらの負の思いが解放されて安堵や落ち着きが得られるというもので、「心の浄化作用」などとも表現される。モヤモヤとした気持ちを人に話しただけで心が軽くなった、という経験がある人は多いと思う。
 また、漠然とした気持ちを言語化することによって、自身でも捉えきれなかった心のありようが把握できるようになり、そこから改めて問題を分析して解決への糸口を見つけられるという効果もある。

 このような効果は、PARTNERキャリア相談の面談においても見受けられる。キャリア相談は、国際協力の仕事に関するキャリア形成のアドバイスを行うものであるが、相談にやってくる人々はそれぞれに事情や思いを抱えている。それらについても対話を進めるうちに、面談ならではの効果がもたらされることがある。
 自分の内面を言葉にして整理していく過程で、おのずから解決の糸口を見つける人もいる。悩みを打ち明けただけで、前向きな姿勢を取り戻す人もいる。

 一人で考え込んでいると、余計に思い惑ってしまう事も多いと思う。人との対話を通じて心にデトックス効果を与えることで、また新しく見えてくる事もあるのではないだろうか。 (A.I.)

※ キャリア相談(面談)は、国際協力人材登録が必要となります。

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