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第266号  郷に入れば…

 つい飲みすぎてしまって、自宅で朝食が食べられない朝。しかし、朝食は抜きたくない私は、最寄の駅にあるそば屋さんに寄ってから出勤します。良い塩梅のだし汁がアルコールでダメージを受けている胃袋に優しく、また、咀嚼回数が少なく胃に収まる麺類であるということも、二日酔いの朝にはもってこいなのかもしれません。

 先日も、少しけだるさを感じながら、いつものそば屋の暖簾をくぐり、いつものそばをオーダーし、いつものように七味を振って、両手をあわせてそばを手繰るその前に、ふと目線を周りに注ぎました。朝の通勤時間。駅のそば屋は、働き盛りのサラリーマン客で賑わっています。私と同年代から少し上の方々でしょうか。会社や家庭で多くの「責務」を、その双肩に背負っているように見受けられる方が殆どです。
 皆さん、一心不乱にそばを手繰っているのですが、ほぼ全員が背中を丸めて「犬食い」をしているではありませんか。私は、少なからずショックを受けました。食事の際、両親、特に父親から色々とうるさく所作について言われてきました。私より年配と思しき方々も、決して良いといわれるマナーではなく、「いつからこんなに食事のマナーが低下したのだろう、いや、私の食事方法が間違っているのではないか」とまで、考えてしまいました。

 そういえば、最近テレビを見ていて、所謂「グルメ番組」や「料理番組」でも、お箸の持ち方、器の持ち方が間違っている方が多すぎるような気がします。お箸の持ち方、器の持ち方一つで、本当に美味しい食べ物もひと目で不味く見えてしまうのは私だけでしょうか。
 「マナー」、「マナー」とうるさく言い過ぎるのも、堅苦しくなってしまいますが、マナーとは気持ちよく生活していくために、経験が積み重なって形成されているものなので、最低限のマナーは守りたいといつも思っています。ましてや市民に大きな影響のあるメディアに関しては、何をか言わんやです。

 しかし、この「マナー」も通用するのは基本的に日本国内のみ(もちろん全世界的に共通するマナーも存在しますが)。国際協力の業界で活躍する皆さんは、様々な国の食事マナーを身につけられているし、時には失敗もされたことと思います。
 たとえば、同じお箸の国でも、中国や韓国では器は置いたままで食事をするのがマナーですし、手を使って食事をする場合でも、右手を使う、指の関節もどこまでの関節を使って食べるとスマートに見えるなど、国によって、地域によって様々なマナーが存在します。「郷に入れば郷に従え」の言葉通り、特に食事マナーは現地のものをいち早く自分のものとして、そのマナーを守って食事をすることは、現地で円滑に生活する第一歩だったりします。「同じ釜の飯を食べて、同じ目線に立って」仕事を進めること。見失いがちな仕事に対する“基本スタンス”を朝のそば屋で思い出しました。 (K.N.)

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