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第274号  幸せ、という指標

このあいだ新婚旅行で来日したブータン国王夫妻、初々しかったですね。若い国王ですが堂々としていて恰好よかったと思いました。子供のころにブータンっていう国名、変だよねーと思ったことありませんか。怪獣でそんな名前居ませんでしたか。ブースカ?うーむ、ちょっと違うか。まあ、いずれにしてもなんか愛嬌を感じてしまいます。一度だけですが、この国に行ったことがあります。国営航空会社の虎の子飛行機によるチベットの山々を巧みに迂回するお見事な着陸飛行に、切り立った崖の上の、すれ違うのもやっとのうねうね道2時間のドライブ。高地でもともと冷えるのですが、首都に到達までで肝もすっかり冷えました。■この国に、かつて、ある一人の専門家の方が長く活動していました。西岡京治(にしおかけいじ)さんという農業の専門家。なんと滞在28年。ブータンは最近まで鎖国をしていたので、外国人としてそんなに長くいらしたことに驚きですが、前の国王から国の恩人として最高の爵位ダショーも与えられたそうです。通称ダショー西岡。もう日本が明治時代に積極的に受け入れた外国人技術者のようですね。古びた農業機械がきちんと手入れされて整然と並んでいる倉庫を、民族衣装の丹前みたいな服を着たブータンの方に案内頂き、脈々と西岡さんの教えたことが受け継がれているように感じました。■ブータンと言えば、忘れてならないのが、国民総幸福度。国民の幸福度を高めることが国の目標。とても当たり前のことのように思えますが、国勢調査のようにきちんと定期的に調査しているところがすごいと思います。首都はさっぱりしていて何もないけど、みんな幸せと思っている。テレビ三昧の生活は文化と精神を滅ぼすということから1999年の初めまでテレビが禁止されていたそうですよ。うーん。日本では、テレビは三種の神器で幸せのメタファーだったのに。経済成長が人々の幸せに必ずしも結びつかないという幸福のパラドックス。そして、ハタと、では国際協力とその地の人たちの幸福度の関係はどうなのだろうと思い当ります。■幸福探しではないけれど、いつの時代にも人間は幸福について考えてきたように思います。世界三大幸福論のひとつ、フランス人アランの幸福論では、自分が幸福になることが最善だと述べています。幸福は自分の手作りであり、自分の苦痛が他人を傷つけることになる。そして幸福になることは明白な義務であり、他人に対しても義務であると言います。これによると、幸福は個人の問題でないことがわかります。不機嫌であることは伝染し、幸福が連鎖するものだと言っているように思います。■国際協力に携わる人は、幸福ということについて立ち止まって何度も考えるのだと思います。ブータンの人々の幸福度が高いというのはどういうことなのか。西岡さんも幸福度が高い人々に囲まれご自身も幸福だったのだろうな、とか。この幸福度、今年7月、幸福に関する国連決議なるものがされ、新しい開発指標としてGNH(グロス・ナショナル・ハピネス)という新たな指標が取り入れられるようになりました。幸福度開発促進型開発。この決議はブータンが提案し、多くの国から支持されたそうです。やりますな、ブータン。当方のようなあんぽんタンにはまだ詳細よくわかりませんが、考え続けることが大切かと思います。 (A.T.)
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