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第275号  現場はどこであろうとも

 2011年3月11日、日本をマグニチュード9.0という巨大地震と、それに伴う10mを超える高さの津波が東北から関東にかけての沿岸を襲ってから9ヶ月、いまだ多くの被災者が復興に向けた生活を歩みだせない状況にあります。現地での光景を目の当たりにした時、私は2004年12月26日に発生したスマトラ島沖地震のことを思い出していました。

 当時在籍していたNGOでは、地震当日のうちに、インドネシアでの緊急支援活動を決定。私も、年が明けた1月には、支援活動のために震源に近いスマトラ島西岸のムラボーの町へ赴きました。周辺の村で食料や生活物資等の配給を行いましたが、見る景色は、津波により海岸から川沿いに数kmも内陸まで破壊しつくされた村々。感傷に浸る余裕もなく、毎日、物資を届けるための仕事をこなしていたものの、一方で、被災された人びとの前向きな姿勢と笑顔に癒されていたのかも知れません。

 自然災害時の緊急支援の現場では、支援の手が活動しやすい地域に集中することにより、地域間での物資の配給に偏りが生じます。そのため、他組織の動向も踏まえて、物資が集中しないように支援地域を選定する必要があります。また、被災された方々のニーズも日々刻々と変わります。食料などに比べ、下着や紙おむつなどの品々が配給物資から「漏れ」易いなど、現場で理解したことも数多くありました。また、地元の人自身で、瓦礫の撤去を行ってもらい、対価をお支払いする「キャッシュ・フォー・ワーク」の取り組みも行いました。

 あの時は、数年後という早いタイミングで、日本が今回のような大規模の災害に見舞われるとは思っていませんでしたが、それが現実のものとなりました。その中で、これまで海外への支援活動が中心だったJICAや国内NGO等多くの国際協力系組織が、迅速に支援活動を開始したのは、これまで培った緊急支援の経験やノウハウの賜物であるとともに、国内での活動にも本格的に目を向ける、まさに「ターニングポイント」のように思われます。

 その後、多くの国内NPOや企業、ボランティア希望者、また、新たに被災地で誕生したNPOとともに、現在も支援活動が続けられています。スマトラで感じたことや活動内容が、そのまま、東日本大震災の被災地でも指摘されたり、または実施されたニュースを目にしたりすると、改めて、国際協力組織がこれまで得てきた経験の重要性と、その経験を生かしつつ、国内・海外の枠を越えて、災害の現場での緊急支援の「牽引役」となっていることを、ささやかながら、この業界に関わるものとして頼もしく思う今日この頃です。 (T.N.)

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