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第284号  真似てみる!

立春を過ぎたとはいえ、まだまだ寒い季節に何ですが、千葉県の鴨川シーワールドの名物に「笑うアシカ」というのが居て、彼のニカッとした写真(でもよく見ると目は座っているが)を机の前に張ってときどきまねてみる、ということを日本のみんながやるとこの世は明るくなるのではないか、とか、北海道の旭山動物園のペンギンを真似て立ってみて、次に手のひらを体側に反して、さあ歩き出すと、みんな下を向かず姿勢がよくなるのではないか、などと思うことがあります。こうなりたい、ということはみんな思うのですが、形から入る、というのも効果があるそうです。■「形から入る」で印象深いのは、古典芸能。以前に美容師さんのコミュニケーション力はすごいぞ、で書いたとき登場した中年二人組の相方は、もう十数年、狂言を習っています。私も学生のときに実はちょろりとやっていて、ちょろっと舞台に立ったこともあります。一挙一動、台詞も師匠の通りにそのまま真似る、ということが求められる世界です。師匠の前に正座して一対一で台詞稽古。くう、痺れる。台詞がようやくなんとかできるようになってから立ち稽古。15分程度しかない一つの舞台を演じるのに数か月も要しました。衣装をつけて演じるのは本番だけ。一度、山伏をおちょくるきのこ役で(この役は台詞がないので何か月も稽古にかからなかったです)、数珠で叩かれ菅笠(すげがさ)がずれ、その拍子に面がずれて視界不良となり方向がわからなくなったことがあります。長い間、たぶん10年近くですが、舞台から落ちそうになる夢を見つづけました。■プロとなられる方は積み重ねがあるので、こうまで時間を要さないかもしれませんが、子供のときから師匠である親から何度もやらされて同じように身につけていきます。真似が真似でなくなるのは非常に長い時間を要するのですが、「形から入って形を出る」。形を習い、体得し、それが咀嚼(そしゃく)されて、自分なりの考えが生まれ、試してみる。何度も試して自分なりの形が少しずつできてくる。自分なりの芸となっていくわけです。■先日、開発コンサルタントの方から話を伺う機会がありましたが、若手はやはり先輩社員の背中を見て学ぶものだそうです。最初は国内業務から。国際協力の現場ではひとつ国が違えばいろいろなことも違っていて、その都度、うーんと言いながらなんとかかんとかやって解決していく、言わば職人的な面が多いのだろうな、と思います。プロジェクトマネージャーになるには50歳ごろらしいです。うーん。職人も芸人もじっくりです。中年二人組の相方は師匠と相対して毎年、あらたな演目を増やしていますが、当方はちょっとペンギンとアシカの真似を。若手でなくても真似てみてもいいことがたくさんあると思います。自分なりのスタイルができるまで。学生時代に教えて頂いた師匠が急逝してもう1年たってしまったことを偲びつつ、このようなことを思いました。 (A.T.)
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