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第343号  海外からの研修員と食事

20年程前の私は筑波農業研修センター(現JICA筑波)の灌漑セクションに所属していた。当時、JICA職員が海外からの研修員(10ヶ月間の集団コース)に対し、講義や実験を行なったり、研修旅行の企画・同行・通訳を行っていた。
その中で研修員が1番期待していたのは月に1回、5日間程度の研修旅行であった。例えば愛知県なら豊川用水の上流のダムから、取水堰、幹線水路、支線水路、用水を用いた農業などを学ぶ。この研修旅行中は様々な国の研修員がいたので気を使うことが多く、特に食事には配慮した。 研修旅行中は個人で朝食や夕食をとることが多かったが、昼食は全員で一緒にとっていた。研修員の食事で困るのは、食べないもの、食べられないものがあることである。ご承知の通り、イスラム教徒の研修員は豚肉を食べない。中には肉類を全然食べない研修員もいた。一方、生魚は食べない、○○は食べない、ベジタリアンだという研修員もいた。自分のお金を出して食べるのだから、自分の食べたいもの、好きなものを食べようとするのは当然である。しかし、英語のメニューは研修旅行中の食堂にはない。日本人スタッフ2名が研修員12名程度のリクエストを聞き、1つのメニューごとに何が入っているか説明し、メニューを決めるのは骨が折れる。
さらに研修旅行中のグループでとる昼食は円滑に行う必要がある。というのは、昼食に時間がかかりすぎると午後の視察プログラムにも影響する。時間的な制約のみならず研修員間のチームワークや日本人スタッフの通訳への疲れなどに影響する。そのため私は、都市部から離れた家族経営的な小さな食堂では、なるべく統一メニューにするよう研修員に提案した。私の一押しは、「玉子どんぶり」だ。玉子どんぶりは、肉を使っていない。親子どんぶりやカレーライスは肉を使っている。玉子どんぶりは価格が安い。物価の高い日本では安いものを食べたい研修員も多い。玉子どんぶりは調理時間が短い。そのため待ち時間が短い。スプーンで簡単に早く食べられる。なお、うどんを提案したこともあったが、だしの味を好まない研修員がいた。また私としてもフォークでうどんを食べるのを見ると異様に感じた。その点、玉子どんぶりがまさった。
さらに、統一メニューにするとほぼ同時に食事が出てくる。同じものを同じタイミングで食べる共有感が出てくる。日本人スタッフが研修員からお金を集めて、食堂に払うのもスムーズにいく。

 

今思うと、研修旅行中の1コマだが、だからこそ研修員とふれあいながら、みんなで研修を効果的に行おうと気持ちがあった。 (H.O.)

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