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第354号  日本人の誇り

先日、思いがけず「児童教育の先生の卵」の皆さんに国際協力の話をする機会があった。お招きいただいた帝京科学大学には、小学校・幼稚園教諭、保育士を養成するコースがある。このコースの1年生の必修科目「こどもトピックス」は、学生の視野を広げるため、さまざまな分野で活躍している人を講師に招いているそうだ。これまで講演された方のリストには、教育や福祉分野の先生に限らず、スポーツ選手やお寺の住職、さらにプロの落語家のお名前も。未来を担う子供たちを預かる先生方に国際協力を理解していただくのは我々の大事な仕事だ。プレッシャーを感じつつも、講師をお引き受けすることにした。
 窓口の呂暁准教授は、特別支援教育、発達障害児等がご専門。JICAの草の根技術協力のプロジェクトマネージャーでもある。毎年夏、日本の発達障害分野の第一人者の先生方を組織し、秦皇島市(中国)で開催される研修コースは、日本の知見と経験を中国各地からの参加者に紹介すると同時に、関係者間のネットワークを強化するプラットフォームともなっている。

 さて当日、大教室に元気な「先生の卵」200名余りが集まってくれた。テーマは中国・四川大地震の国際緊急援助と復興支援。学生の皆さんにできるだけビジュアルに現場の雰囲気を感じてもらおうと、実際のレスキュー活動や緊急医療活動が描かれているDVD映像や筆者自身が撮影した写真も使い、隊のユニフォームのベストも着用して講演を行った。

 後日、大学側から、学生からのレポートを見せていただいた。「日本から緊急援助隊が派遣されていたことを初めて知りました」というコメントが散見される一方、「中国だけでなく、他の国とも協力して戦争など国同士の争いがなくなればいいと思いました。とても大変な仕事だと思いますが、私も保育士として協力してみたいです」といった勇気づけられるコメントも数多く見られた。
 また、筆者が、日本が途上国に援助しているだけでなく、東日本大震災の際には中国を含め174ヵ国・地域から約1,640億円もの金銭的な支援をいただき、そのうち35ヵ国が、いわゆる最貧国と言われるアジア・アフリカ地域の後発開発途上国であった(国際開発センター「東日本大震災への海外からの支援実績のレビュー調査」2013年3月)ことに触れたことについて、「最も貧しい国々が日本を援助してくれたという事実を知ってとても感動しました」とのコメントもいただいた。

 「一人でも多くの命を救うために必死で捜索する姿は、日本の誇りであると思いました。」
 筆者の印象に残ったのは、少なくない受講生が、被災国から感謝される緊急援助隊の活躍に日本人の「誇り」を感じてくれたことだ。経済の低迷が続き、国際社会における日本の存在感が希薄になりつつあると言われる昨今、この「誇り」が日本人の元気に、そして日本の未来につながればと思う。「高校のときから青年海外協力隊に興味がありましたが、初めて幼児教育の協力もあると聞いて、私でも協力できるんだと興味を持ちました」とのコメント書いてくれた受講生と、何年か後に海外の現場で再会できることを期待しつつ。(M.O)

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