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第356号  「協力隊」は好きですか? ~国際協力の輪を広げる~

数年前になりますが、青年海外協力隊訓練所にて、処遇制度の講義を行う機会がありました。国際協力手法や語学の学習と日々闘っている訓練生の皆さんも、ややもすれば寝てしまいそうな淡々とした制度説明の中、最後に数分余ったため、急きょ自分の体験を少しだけ話すことにしました。

「実は私も協力隊員でした。」
この一言で、うん?と急に目が覚めたように全員がこちらを向いたのが分かりました。

とある砂漠の国で協力隊活動をしていたとき、観光地だったことから、日本人のバックパッカーや旅行者と出会う機会が多くありました。大抵の人は「なぜここに日本人がいるの?」「協力隊?かっこいいね!応援しています」という温かい反応が多かったのですが、一部の方から「協力隊はあまり好きではありません」という意見も複数受けました。理由を訊いたところ、「別の旅行先で隊員と会ったが遊んでいるようだった」、「ブログのアップばかりをしている隊員がいた」など色々な話を聞きました。
私は、確かに隊員にも色々な人がいるとは思いますが、例えば活動期間中に制限日数のなかで旅行休暇を取得できる制度があることや、コンプライアンスなどを理解したうえで隊員活動や任国の広報の観点からブログやHPなどの活用が認められていることなどを話しました。もちろん様々な意見をお持ちの方がいる中で、「あなたの話を聞いて、少し協力隊への見方が変わりました。頑張ってください」と言ってくれた方もいました。 こうした毎日を通して、政府事業の派遣者であることを意識するようになり、任国への対応はもちろん、対日本としても自分の行動が「協力隊」の行動と見られるんだな、と感じることが多くありました。
これから皆さんが任国へ出発されたあと、色々な方があなたたちの行動を見ています。これからたくさん感動したり、時には失望することがあると思います。そのときの些細な行動が、協力隊員全体の行動と取られることもあります。我々が、誇りを持って「協力隊員です!」と言えるように、自身の行動には責任を持って「協力隊」という立場を楽しんできてください。

講義後のアンケートでは、「自分が協力隊員として派遣されることを改めて認識しました。頑張ってきます!」というようなコメントを複数いただきました。気付けば講義の目的とは少しずれていたと反省したものの、この意識を持って制度を活用してくれるということで良いか、と自分なりに消化して彼らを見送りました。

この話には後日談があります。私が砂漠の真ん中で滔々と協力隊について語ってからこの業界に就職して約1年後、別の国の在外事務所員から一本のメールをいただきました。「今回着任した協力隊員が、以前個人旅行中に隊員に話を聞いて、今回協力隊に応募して来たと言ってるけど、このときの隊員ってあなたですよね?」 この旅行者とはたった一度の邂逅でしたが、こうやって国際協力の輪が広がっていくんだな、としみじみ嬉しく思いました。
このPARTNERや様々な広報ツールとともに、大切なのは生の声だと思います。私自身も発信が苦手なタイプではありますが、できるだけ国際協力の現場で感じたことを、個人的な思いとして伝えていきたいと思っています。(M.S.)
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