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第359号  国際協力におけるキャリアの積み方 ~実務経験と大学院進学~

国際交流活動に奔走した学生時代。アメリカに1年間交換留学した際に出会ったミャンマー国籍の友人は、政治的な理由で祖国に帰国できずにいました。彼の代わりに、ミャンマーへ3度渡航し、彼の家族と親睦を深めました。折しも、当時はミャンマー軍政が強かった時期で、渡航中に大規模な民主化デモが発生し、日本人ジャーナリストが殺害される場面にも遭遇しました。そんな中、ミャンマー人の友人の父と一緒に、ミャンマー各地を旅行し、一般市民の経済的・政治的苦境を聞いてまわりました。友人の父とミャンマーの開発問題を議論する中で、「国に変化をもたらしたい」という彼の想いに圧倒され、ガバナンスの側面から途上国を支援できる専門家になりたいと思うようになりました。

 当時の私には、学部卒業後、そのまま大学院に進学するという選択肢もありましたが、周囲の恩師や実務家の方に相談したところ、一度就職してから進学した方がよい、とアドバイスされました。新卒で開発コンサルタント企業に就職し、JICA案件を始めとするODAプロジェクトのマネジメントを担当しました。その後、何度か転職を行い、徐々に途上国の現場での仕事や専門性の高い業務も担当するようになるとともに、現地のカウンターパートやドナーの職員から専門的なアドバイスを求められることも多くなりました。気がつけば、同じ部署に所属する社員が、自分を除いて全員修士号以上を取得しているという状況も多々あり、一旦は胸の奥深くにしまっていた大学院進学を現実的に考えるようになりました。

 学部時代は、ガバナンス分野の専門家になりたいという漠然としたイメージしかありませんでした。しかしながら、実務を通して、途上国(特に東南アジア諸国)の地域開発計画の策定や、地方自治体の環境管理プロジェクトのモニタリングを担当することにより、ガバナンスの中でも、特に、自治体の政策立案プロセスや政策評価に関心を持つようになりました。将来は、国連開発計画(UNDP)や世界銀行等の国際機関で、公共セクターマネジメントや政策・プロジェクト評価に関する専門家を目指したいと考えるようになりました。

 約4年間の実務経験を経て、アジア経済研究所開発スクールに所属する傍ら、大学院、特にアメリカとイギリスの公共政策系大学院に出願しました。欧米の大学院への出願には、TOEFLやGRE(Graduate Record Examination:世界中の大学院やビジネススクールに入学申請する際に受験するテスト(大学院による))、学部時代の成績、エッセイ、レジュメ、推薦状等の提出が求められます。特に、推薦状は、上司や恩師、外部の方等に執筆をお願いする必要があったことから、前職でお世話になったJICA職員の方にもお願いをしました。執筆を快諾して頂き、最終的に出願した5校のうち、4校に合格しました。これからアメリカで2年間の大学院生活が始まりますが、国際協力の原点を胸に、将来のキャリアゴールに向かって、全力で頑張っていきたいと思います。

 国際協力でのキャリアを目指している方の多くが、大学院留学を同時に考えられているかと思います。大学院をゴールとせず、これまでのキャリアと大学院で学ぶ勉強、そして将来の目標に一貫性を持って、自分のキャリアを再考してみられることを、まずはお勧めいたします。また、既に大学院出願の準備を行われている方はご苦労も多いかと思います。しかしながら、膨大なタスクをマネジメントしていく出願プロセスは、国際協力のプロジェクトマネジメントと似ているように感じます。このコラムを読んで下さった方々の中から、自分のキャリアに信念を持って大学院に挑戦される方が一人でも多く現れることを、心よりお祈りいたします。(K.H.)  
 
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