PARTNER 国際協力キャリア総合情報サイト PARTNERニュース・コラム(第366号)

第366号  協力援助の成果

国際協力事業の成果と一概には表現し得ないものかも知れませんが、現場に生活する人々にそのインパクトが届き、何かしら良い変化が起きることが究極の成果ではないでしょうか。

JICA国内機関では、農村開発などに携わる各国から来日した普及員を対象に研修コースを担当していました。日本のとある片田舎、それほど便利でない生活環境におかれた農村部で、住民自身のアイデアで地域で作られた農産物を特産となるよう加工して販売する、いわゆる住民参加型の活動などを紹介することが主な研修の内容でした。

研修コースでは、日本の開発事例について現場視察するだけでなく、住民が如何に問題を特定するのかといったような問題分析の手法や、発見した問題を如何に解決するのかという方策を検討する手法まで、日本が戦後活用した生活改善のアプローチを論理的に分析した講義も含め、日本のノウハウを伝えています。

また、本研修コースは、日本での研修を終えたらまっすぐ研修員の本国に帰国するのではなく、近隣の途上国の現場、先輩研修員が日本での研修の学びを試行しカイゼン(*1)を企画している現場を視察していただくような工夫をしている特徴ある研修コースでした。

本国に帰国した研修員(普及員)は、地元農民と話し合い、日本の事例も参考にしながら、しかし、日本での取り組みをそのまま取り込むのではなく、現地の事情・問題をふまえてトライ&エラーを繰り返し、奮闘していく中で、住民から次のような嬉しい反応を聞くことが出来たようです。

帰国研修員の本国は日本と似た山岳国で、中山間地の村ではアクセスも悪く、生活物資の搬入もままならず、限られた農産物しか栽培されていません。食事もお決まりの変哲もない食事が続く農村の食生活だったようなのですが、ここで住民がある“工夫”をされたようです。これまで丸一日かけて買い出しに行き手に入れていた、めったに食べられなかった野菜を、農家のご自宅の庭先に作ることを始めたのだそうです。
 
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その結果、ご家族、特にお子さんから、野菜が食べられることを楽しんでいる様子を聞くことが出来たことも1つの成果でしょうが、それ以上に“カイゼン”を自ら現実のモノに出来たことを自慢げにお話ししているお母さんの誇らしげな表情、説明を見聞きして、援助、協力を行った効果を感じることが出来たのが、すごく感動的だったとのこと。

(それ以外にも、農家によっては土間をコンクリート床に換えて衛生的な台所にした、村全体で緊急医療委員(互助)会を設置した、病人の搬送などに交通費を積み立てて支弁した、などいろいろな現地の事情を踏まえて“工夫”をした活動を聞きました。)

国際協力≒開発途上国での現地での取り組み、と見られがちですが、取り組み方によっては、”日本での活動”が、世界の支援やお手伝いに繋がることもあることを、この研修コースでは示してもいると思います。(S.A.)

(*1)「カイゼン」とは品質・生産性の向上を目的に、日本企業を中心に活用されてきた「みんなで職場を継続的に改善していこう」というボトムアップの活動。このような日本発の取り組みが各国に浸透し始めている。

参考URL:JICA's World 2010年11月号「特集 カイゼンfrom JAPAN」
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