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第406号  蝶の国際協力

蝶の国際協力といっても、蝶が国際協力をするのではなく、蝶を題材に農村部に住んでいる住民の生計向上を図るプロジェクトを見学したことがあります。

ケニアの東側のインド洋沿いの地域は、ちょっと奥に入ると乾燥した草原が続いているのですが、海岸線に近い地域は雨が多いせいか、多くはないのですが熱帯雨林や、マングローブ林が残っていたりします。そういった地域は国立公園や森林保護区といった形で保護されています。とはいっても、(日本でもそうですが)フェンスで囲ってあるわけでなく、地元の住民にとっては普通の森と変わるわけではなく、薪を採ったり、果物や小動物を採ったり生活の中で、森の資源を活用してきました。そういった採集活動は森を管理する役所からすると「違法活動」になり取締りの対象となるのですが、いかんせん管理する人員が足りないため、薪の取りすぎなどで森林資源の劣化が進んでいました。

「森を守りたい」役所が「森の資源を活用したい」住民と対立するばかりでは、森を守れないので、考えだされたプロジェクトが、森にいる蝶を捕まえて売ることで住民が「蝶をたくさん採るためには、森を守らなきゃいけない。」と思ってもらう「キペペオ・プロジェクト」です。

実際は蝶を捕まえるのではなく、 蛹(さなぎ) を採集してきて、ヨーロッパやアメリカの博物館や個人の収集家に販売するのですが、住民にとってどの蛹も「蝶」でしかないことが課題でした。高い値段が付く蝶の蛹を見分ける方法や、 蛹化(ようか) したばかりの蛹を見つける方法(でないと輸送途中で、羽化してしまいます)を理解してもらうのが大変ですと、プロジェクトで活動していた青年海外協力隊員が話をしてくれました。

地域の住民にとって「蝶が金になる」という発想はないので、外部からの専門家のアイディアがなければこのプロジェクトは実施されなかったはずです。このキペペオ・プロジェクトは国連開発計画が開始したもので、JICAも青年海外協力隊員の派遣を通じて支援していました。ちなみに、2005年の愛知で行われた愛・地球博のケニアブースでこのプロジェクトが紹介されていたので、覚えている方もいらっしゃるかもしれません。

プロジェクトを見学して、外部の知識・知恵を上手に持ち込んで、現地の資源を活用する興味深いプロジェクトだと思ったことを、某コーヒーショップのケニア産コーヒーを「キペペオ」という名前で売っているのを見つけた時に思いだしました。

蛇足になりますが、その「キペペオ・コーヒー」を買って、美味しくいただいていたのですが、この文章を書くために、検索をしたらキペペオは「蝶」ではなく蝶に似た別の種類の昆虫であることがわかり、コーヒーの味も一味変わりました。 (J.I.)
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