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第408号  己を知り、相手を知る

先日JICA関西で面白い人にお会いした。
彼は、前職は交番勤務の警察官だったが、退職して青年海外協力隊に応募し、現在(6月時点)面接待ちだという。応募職種は「感染症・エイズ対策」。

思わず聞きたくなる。「どうして、警察官からいきなり協力隊なんですか?」
「仕事をしているうちに、自分が人権というものに強い興味があることがわかってきて…。でも日々の仕事では自分の興味から離れているのではないかと疑問を感じることも多くなってきまして…」
いかにも警察官だった感じの礼儀正しさで彼は答えた。

でも、やっぱり疑問は残る。「警察官だったのに、どうして感染症・エイズ対策なんですか?」
返事は結構明快だった。「別に医学の知識があるわけではないのですが、感染症対策などは、住民の衛生に関する意識向上が必要だと思いまして、自分が交番でやっていた住民の防犯意識の向上活動などの経験が応用できると思ったのです。エイズに関しては自分が興味を持っている人権問題なども関係ありますし。」

なるほど。しかし、協力隊は2年間だけのボランティアだ。その後はどうするつもりなのだろう…。
「協力隊後は、あらためて法律などを人権という視点から勉強してみて、将来はその方向につながる仕事をしたいと思います。」

彼は、協力隊の面接でアピールする際に、過去の職歴と応募する職種に一貫性がない点がどう評価されるかと心配していた。しかし、上の質問は、たぶん協力隊の面接でも聞かれるだろうものばかりで、彼はそれに明快に答えている。

特に感心したのは彼が「自己分析」をしっかりしていたこと。自分のやりたい、興味を持っていることを明確にするだけではなく、自分の過去の職務経験(交番のおまわりさん)から、ほかの仕事でも使えそうな強み(住民への働きかけの経験)を分析・抽出している上に、応募する職種で求められるスキル(住民の衛生意識向上に必要となる啓発活動経験)も研究している。まさに、「己を知り、相手を知る」を地で実践していた。

彼が合格するかどうか、面接官がどのように判断するかも私にはわからないが、少なくとも私は彼の答えにすっかり納得してしまった。朗報が聞けるといいのだけれど、連絡先などがまったくわからないのが残念だ。 (T.M.)
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