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第410号  京都にて思う

お盆休みで京都を散策した。千年の都、世界に誇る文化遺産の宝庫である。翌日が「五山の送り火」ということで、国内外からの観光客でどこもかしこもごった返していた。

 前職では毎年のように仕事で奈良・京都にアジア・太平洋諸国の文化担当の行政官(研修員)らを視察につれて行き、寺社仏閣を巡ったものである。その頃から一度は訪れてみたいと思っていた嵯峨野にあるお寺(常寂光寺)などを散策した。周辺には落柿舎など小さくとも趣のある名所が随所に点在しており酷暑の中ではあったが、足取りは軽かった。とある古刹を訪れた時、インドの世界遺産「サーンチー仏教遺跡」と見紛うかのような「仏舎利塔」が忽然と目の前に現れ(なんでこんなところに?と)ビックリした(化野念仏寺)。
 また渡月橋の手前、保津川に面して広大な敷地を擁し、京都の寺社仏閣の中で最も格式の高いとされる「天龍寺」本堂の入口には、「達磨」の絵が来訪者を正面から見据えていた。これらは古くは仏教発祥の地からはるばる時を越え、空間を越えて日本に伝わり、独自の発展を遂げて現代に受け継がれている貴重な文化遺産である。
 少し乱暴な言い方をすれば外部からの影響を「イイとこ取り」し、また一旦入ったものをさらに洗練させ、完成度を高めたといわれるのも、我が国のお家芸なのだ。そこにはあくなき好奇心と忍耐力をもって物事を突き詰めて考え、実践し、後世に伝える術を勝ち取ってきた文化の歴史がある。「モノづくりニッポン」は、まさに連綿と受け継がれてきた日本の文化的土壌の上に成り立ったものだ。

 滝のような汗をぬぐいつつ美しい古都を眺めながら、ふと自分と縁浅からぬ西アフリカに思いを寄せる。今や、エボラ出血熱でにわかに有名となった地域であるが、既に1900人以上の死者を出すなど、感染国のみならず周辺国へも未曾有の危機が迫っている。国境を自由に行き来している人々も大勢いるので「国」単位で物事を考えることは難しい。そこが島国ニッポンとは根本的に異なるところである。
 そこでふと我に返り、「どうしたら、その土壌がないところに、その地に根付く何かを残すことができるのだろうか?」と自問してみる。。。 本当に今のアプローチでいいのだろうか? 形にばかりこだわっていないだろうか?  永遠かつ答えの出ない問題かもしれないが、今度アフリカに戻るときは、少し角度を変えて物事を改めて見つめ直してみたい。 (L.S.)
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