PARTNER 国際協力キャリア総合情報サイト PARTNERニュース・コラム(第411号)

第411号  海外からの研修員と役割分担

25年前の私は筑波農業研修センター(現JICA筑波)の研修室に所属していた。当時は、JICA職員が海外からの研修員(10ヶ月間の集団コース、12名程度)に、講義や実験を行ない、また研修旅行の同行や通訳を行うなど、直営で研修を行っていた。
 10か月間の長い研修期間を様々な国の研修員が円滑に研修を行えるように、私は研修員に役割分担を行った。決まった役割を分担してまわしていくのは、日本の学校の学級委員のようなものである。期間を、3か月ごとに分け、研修員全員が役割を分担するようにうながした。以下それらについて紹介する。

 「マネージャー」は、研修コースを代表する研修員である。研修旅行の視察先で説明いただいた方や、外来の講師で長期間講義していただいた方に、お礼を述べる。このような表向きの役割とともに、研修員間でリクエストがある場合、日本人スタッフ(JICA職員と研修指導員)に連絡したり、また、日本人スタッフからの連絡を他の研修員に伝える。このようなマネージャーになる研修員は、コースの中で年齢が高く、自国でも責任ある地位にあり、人を取りまとめるのがうまい人が自然となっていた。
 「テキストブック・ディストリビューター」は、各講義の10分前に日本人スタッフの部屋に来て、これから始まる講義に配布物があるかどうか聞きに来る。配布物がある場合は、講義前に他の研修員に配布する。さらに、テキストブック・ディストリビューターは、研修員が定期的に提出するマンスリーレポートや、不定期なテクニカルレポートを日本人スタッフにまとめて提出する。その際、未提出者がわかるので、日本人スタッフは督促をしやすくなった。
 「ナンバーチェッカー」は、研修員の人数を数える役割である。研修旅行中、電車や借り上げバスで移動する。その際に、研修員が全員揃って移動することは必要条件である。移動の際に、日本人スタッフが、ナンバーチェッカーに「Number Check」と依頼すると、彼らは、しっかりと確実に人数を読み始める。すぐに、「Ok」、あるいは「Mr. X is missing」と回答がくる。日本人スタッフは、「Ok」の場合、再度人数を確認し出発する。「Mr. X is missing」の場合、日本人スタッフとナンバーチェッカーは不在の研修員を探しに行く。ナンバーチェッカーの活躍で、出発時の人数確認が非常にスムーズにできた。
 「フォトグラファー」は、研修コースのカメラマンである。研修旅行中の写真は、各自のカメラで撮っていた。ただし、集合写真になると、例えば、農業用のダム現場や幹線水路の分水工など決められた場所で撮影することになる。このような場所で、各研修員が自分のカメラでコース全体の写真を撮ろうとすると、非常に時間がかかる。このため、集合写真を撮る場合、フォトグラファーに「Group Photo」とお願いすると、彼らが写真を撮り、他の研修員は撮らないようにした。さらに、フォトグラファーは、研修旅行中のさまざまなシーン、実験や、その他の行事を撮影した。彼らの撮影した写真は、他の研修員に回覧され、希望者は焼き回しをリクエストし、フォトグラファーが焼き回しの発注・精算を行った。これらの写真を10か月間分並べると、研修期間の様子がよくわかって日本人スタッフも助かった。

 今思うと、上記の役割分担は、日本人スタッフのサポートになるだけでなく、研修員の研修コース活動への積極的な参加につながるものであった。各研修員が「自分の研修コース」という気持ちになり、研修員全体のチームワーク醸成にも貢献していたと思う。 (H.O.)
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