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第421号  マニュアルデーターと自動データー

私は以前、筑波農業研修センター(現JICA筑波)の研修室に所属していた。当時、JICA職員が海外からの研修員(10ヶ月間の集団コース)に、講義や実習を行ない、直営で研修を行っていた。その1つとして気象観測があった。
 研修員の来日から帰国まで、同センターの百葉箱でマニュアルデーターを測定し、自動気象観測装置による自動データーで確認を行った。

 マニュアルデーターの測定は、毎朝9時に研修員と日本人スタッフが30分程度かけて測定した。研修員は1週間交代とし、測定する要素は、9時の温度、24時間最高温度/最低温度、湿度、降水量、蒸発量、地下水位、風向、風速、気圧等であった。温度計などを1つ1つ測定し、野帳に記録していくのである。
 自動データーの確認は、室内にある自動気象観測装置(観測点は室外)より、温度、湿度、降水量などの現時点のデーターをパネルから確認した。さらに、連続したデーターを1か月間巻状の用紙に記録することができた。
 研修員は自分で測定したマニュアルデーターと自動データーを比較して、値がほとんど同じであることに驚いた。

 マニュアルデーターの測定後、研修員の中には、「自動装置があれば、自分たちは外に出て、マニュアルデーターの測定の必要はない」というものがいたが、日本人スタッフは以下の理由で、「必要である」と説明した。
①自動観測装置は停電に弱い
②出力データーが紙づまり、インク切れ・漏れすることがある
③自動雨量ますにゴミがたまると、雨が降っても降水量が0になる
④最大の欠点だが、高価であり、補修が自分たちでできない

 一方、日本人スタッフは、以下のとおり、マニュアルデーターの欠点を指摘した。
①研修員が不在、急病の際に欠測になる
②研修員の測定ミスや記入ミスが起こる可能性がある
③午前9時のデーターだけで、他の時間のデーターはない

 さらに、日本人スタッフは、マニュアルと自動の2種を同時に測定することによる正確性を説明した。
①マニュアルデーターの欠測、異常値は自動データーより補填できる
②マニュアルデーターの測定時に自動装置をチェックすることで、自動装置に故障があった場合早く気がつく
③2つのデーターに大きな差があった場合、マニュアルデーターを再度測定したり、自動装置の点検を行うことができる
④停電になってもマニュアルデーターは入手できる
⑤自動データーより連続したデーターや特定時間のデーターを入手できる


マニュアルと自動による気象観測の話をしたが、技術協力のアプローチにおいて、正確で連続したデーターを入手するには、両者の特徴をよく把握して活用するのがいいのではないかと思う。 (H.O.)
 
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