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第427号  エボラ出血熱のアウトブレイクで見直されるもの

 エボラ出血熱(Ebola Virus Disease:EVD)のアウトブレイクは世界的に重大な出来事となりました。
 2014年11月23日時点で、ギニア、リベリア、シエラレオネ3か国での感染者15,901名、うち死亡者5,674名となり、世界保健機関(WHO)等国連機関、国境なき医師団等国際NGO及びアメリカ、EU、中国、韓国、日本等各国政府の支援が本格化したところでようやく感染者数増加が鈍化してきているとのことですが、まだ予断を許しません。


 エボラウィルス自体は1970年代から存在が確認されていたそうですが、治療方法が確立されないまま、今回のアウトブレイクとなり、流行国はもとより、あるいは、むしろアメリカ、ヨーロッパ、日本といった先進国でパニックに近い状況が発生しました。

 報道等では、シエラレオネでの救援活動から帰国したアメリカ人看護師に対し、州政府は21日間自宅から外出しないよう「命令」し、報道陣がその自宅を取り囲むようにカメラを向ける中、「本人が自転車で外出した」ことが大ニュースになっていました。また、アフリカでも、EVD感染の疑いだけで村全体が差別を受けることを恐れ、検査を阻止するための「暴動」が発生した場所もあったとのことです。

 このようなニュースを見ますと、「風評被害」は世界中のどこにでもあるのがわかります。特に日本では東日本大震災をきっかけとした風評被害が尾を引いていることもあるのか、EVD対策に関するアフリカ現地での人的貢献を積極的にアピールしにくい状況です。
 一方、例えば、アメリカは、本国ではパニック的対応や報道も見られますが、疾病予防管理センター(CDC)や国際開発庁(USAID)による現地支援活動に加え、歴史的関係の深いリベリアなどに3,000人規模の兵士を派遣し、物資輸送や診療所建設を行っているという点ではしっかり人的貢献度の高い活動を展開していると言えます。

 ただし、リベリアはアメリカからの解放奴隷により打ち立てられた国として、シエラレオネは英国主導で推進された解放奴隷の入植地として、ギニアはフランスの破壊活動を受けた国として、それぞれ国づくりに非常な苦労があった歴史があり、その過程での民族対立や近年における深刻な内戦を経験し、経済も非常に厳しい状況にあることから、国民にとって最低限必要な保健システムが機能しなかったのではないかと見られます。


 今回、アウトブレイクが発生した3ヵ国は、「たまたま」これまで日本の協力活動が比較的手薄であった地域でしたが、例えば日本を含めた比較的多くの援助活動が行われてきたナイジェリアなどではアウトブレイクの兆候に対して、一定の効果ある対策を行う体制ができていたのではないかという評価があります。
 そういう点では、上記3ヵ国でのアウトブレイクはこれまでの国際的な支援体制という視点から見て「たまたま」だったのか、それともやはり何かが不十分だったのか、更には他のアフリカ各国の保健システム整備に関する国際社会の努力はどうだったのかなどを再評価する機会ともなるのではないでしょうか。(A.M)
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