PARTNER 国際協力キャリア総合情報サイト PARTNERニュース・コラム(第434号)

第434号  大洋州の日系人

「日系人」と聞けば、一般には北米や中南米の日系人を思い浮かべる方が多いと思いますが、日系人の定義が「日本以外の国に移住し当該国の国籍または永住権を取得した日本人、およびその子孫」(wikipedia)であるとすれば、当然米州に限られるものでもありません。中国・朝鮮半島その他アジア、欧州、中東、アフリカ、旧ソ連圏と全世界にあまねくおられるわけです。
その中で大洋州、特にミクロネシア地域(※)の日系人は、あまり知られていないのですが、現地での社会的影響力には大きいものが有ります。

年配の方はよくご存知かと思いますが、太平洋戦争前は、現在のパラオ、ミクロネシア連邦及びマーシャル諸島並びにアメリカ自治領である北マリアナ諸島は、「南洋群島(諸島)」と呼ばれる大日本帝国の国際連盟委任統治領でした(1922年~1945年)。「内地」(日本本土・沖縄等)から多くの日本人が移り住み、南洋庁という役所が設けられていたほどでした。
当時の政府の政策及び移民の貢献により、現地の産業振興がはかられ、教育制度が普及し、インフラが整備されて、住民の生活水準が向上したことは、中南米で長期間にわたる日系人の貢献及び戦後の日本政府の支援策が果たした役割と(国内外の違いはあるものの)変わらないものと思います。

なお、ミクロネシア地域の多くは、戦後、米国自治領又は国際連合信託統治領などのアメリカの強い影響下におかれたものの、この地域へ渡航されると、いまだに祖先が日本人であった(パラオの場合全人口の約25%、ミクロネシア連邦の場合約2割、マーシャル諸島の場合約1割が、日本人の血を引いていたとの調査結果(2005~2006年)もあります。)という話を聞いたり、日本語が日常用語の一部になっていることに気付かれると思います。パラオのクニオ・ナカムラ元大統領、ミクロネシア連邦のエマニュエル・モリ現大統領(森小弁の子孫)も日系人です。
また、森喜郎元総理も、父親が太平洋戦争時に現在のミクロネシア連邦のトラック諸島(現称チューク)に陸軍軍人として駐屯していた関係で、一時期日本・ミクロネシア連邦友好議員連盟会長を務めていたという様な事例もあります。

人口や経済規模は小国が多いものの、広大な排他的経済水域を有し、日本との歴史的・地理的なつながりが深く、日米両軍の戦闘地となったことによる戦争中の被害にもかかわらず概ね親日的な感情が保たれているのが大洋州地域(特にミクロネシア)です。

本年4月には、天皇・皇后両陛下がパラオを訪問される予定であり、日本政府も近年、在外公館の体制を強化し外交関係を深めてきています。

我が国のODA全体に占めるミクロネシア地域への供与額のシェアは小さいものの、これからも日本が地政学的にも重要視していくべき地域ではないでしょうか。

※なお、オーストラリア、メラネシア(ニューカレドニアなど)及びポリネシア地域(ニュージーランド、タヒチなど)にも(戦前からの移住者を含め)、国・地域によっては多くの日系人が在住していることはいうまでもありません。
(大洋州勤務経験者)
先月 来月