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第454号  支援の現場から~協力隊員が見る、ネパールの今 (その2)

ネパールの首都カトマンズの隣の市で青年海外協力隊をしております。ネパールは大震災後どうなったのか。一言で言うと、憲法制定に伴う混乱のため、復興は思うようには進んでいません。

ネパールでは2008年の民主化以降、王制から連邦民主共和制へと移行するため、憲法制定会議が開かれていました。しかし、各党派、民族、カースト、宗教等の多様性のため議論がまとまらず、憲法は制定されていませんでした。しかし、震災以降話し合いは加速化。ついに2015年9月20日、憲法公布が実現しました。

しかし、ようやくネパールが落ち着いたかというと、そうではありません。憲法に反対する一派がインド国境付近の交通を封鎖するゼネラル・ストライキを行っています。ネパールはインド経由の輸入品に物資を頼っています。中国(チベット)国境からの輸入経路もありますが、地震の影響もあり輸送量が多くはありません。よってネパール国内では現在深刻な物資不足に陥っています。特に深刻なのがガソリンとガスの不足です。

ネパールではガスボンベを各自で購入してガスを使います。ガス不足のためレストランが閉店したり、メニューを限定して営業したりしています。隊員の中には自宅のガスが無くなってしまい、食べさせてくれる友人を頼ったり、レストランを探し歩いたりしている人もいます。私もシャワーを週2回に減らし、比較的温かい時間帯に浴びてガスを節約しています。カトマンズの水道は週に1,2回(各1時間程度)しか供給が無いこともあり、井戸が無い家は水を供給車から買っています。この供給車もガソリン不足のために来ず、水の節約を迫られている友人もいます。

また移動手段も減少し、通常より移動を規制されています。通常の半分しか運行していないバス路線もあり、屋根にまで人を乗せて走っています。飛行機も国内線が通常の6割のみの運航になり、タクシーは通常の3倍以上の値段を請求されることもあります。行くことはできても、復路のバスに乗れるか不確かなので、遠出はできず、隊員によっては活動先の遠隔地の村に行くことも難しくなっています。職員の交通手段が確保できないために、休業になっているオフィスもあります。

ストライキの実行者たちは憲法の見直しを求めています。しかし憲法制定議会にとっても、長期の話し合いの結果ようやくできた憲法を、そう簡単に覆せるものでもありません。そして何より、ネパールの震災復興に大きな支障が出ています。今でも経済発展が進んでいないネパールが、さらに苦境に立たされています。物資不足のために価格が上がっている品物も多く、貧しい人ほど生活が深刻化しています。

また、10月からの乾季はヒマラヤトレッキングに最適な時期ということもあり、ネパールにとっては観光シーズンです。地震の影響で観光客が減ったところに、この混乱。観光業にはさらに打撃です。

こんな中でもガソリンスタンドの列に何時間、時には何日間も待ち続け、暴動を起こさないネパールの人々(ごく一部では暴動も起きたそうですが)。「そのうち解決するよ」と根拠のない前向きな呑気さに呆れることもありますが(笑)、私たちはこの我慢強さのおかげで不便ながらも変わらず心穏やかに生活できています。(S.O.)
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(写真:屋根の上に人を乗せて走るバス


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(写真:ガソリンスタンドへの行列


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(写真:ガス台の代わりに牛糞と土でかまどを作る住民



▼2015/08/07配信「その1」はこちら▼
第443号  支援の現場から~協力隊員が見る、ネパールの今
http://partner.jica.go.jp/ColumnDetail?num=443
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