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第457号  アフリカでプロボノ活動 ~交通事故を激減させた歌の力~

2013年12月、仲良くしていた同僚が交通事故で亡くなった。
クリスマスが近いある日の夜、赤信号で停車していたチュニジア事務所の竹本啓一さんの車に、飲酒運転の車が突っ込んできた。妻子を残して、散ってしまった彼の命。
その時、私はタンザニア事務所に勤務していた。信じられない一報に衝撃を受けた。
そして、それは我が身にも日々感じていた恐怖を改めて思い起こさせた。

暗黒大陸から、希望の大陸へ。
21世紀になって、経済成長する国が続出しているアフリカ大陸。人、モノ、カネが集まる。モータリゼーションが起こるのは必然だ。
私がいたタンザニアも例にもれず、次々建設されていくビル群に合わせるように、大量の車が毎月何千台と荷揚げされていく。それは、大量のドライバーが増えることを意味するが、タンザニアで運転免許を取得することは、さほど大変ではない。時には金を出せば免許がとれる、といった不正も横行しているようだった。

こんな状況であるので、当然、交通事故件数は毎年増加していく。
私自身、タンザニアに赴任して1年の間に、赤信号で停車中に後ろからぶつけられたこと2回。無理な追い越しをかけた車と正面衝突しそうになったこと1回。同僚の交通事故死は他人ごとではなかった。

そこで、アイデアがひらめいた。
交通安全の啓発活動を歌の力でやってはどうか。
タンザニア人は歌と踊りが大好きだ。歌を作って、社会的に影響力のある有名歌手に歌ってもらい、安全運転を訴える。
早速これを実行に移すため、プロボノスタイル(*)で仲間を募った。在タンザニア日本大使館、JICA事務所、青年海外協力隊員、日系民間企業、在留邦人などが、それぞれの社会経験を提供したり、特技を発揮することにより、このプロジェクトを形にした。
できた楽曲が「Anzen Unten」。青年海外協力隊員が歌を作り、現地のトップアーティストとユニットを組み、映像化して、タンザニアのテレビ局に持ち込んで交渉。2013年9月に完成した楽曲、映像を、各局に公共広告枠で一日中、そして一年中、何度も放映してもらった。
その結果は驚くべきものだった。
2014年度になって、交通事故件数がなんと25%も減少したのだ。
多くの命を未然に救ったこの歌と映像をぜひご覧いただきたい。
https://www.youtube.com/watch?v=cRxmJLBXnMY

ちなみに、このプロボノ団体の名称は「アフリカ安全プロジェクト」。
タンザニアだけでなく、アフリカ中に、歌を通じて安全運転の啓発をしていくことを目指し、今なお活動中である。(S.T.)

*プロボノ:
英語:pro bono
社会人が仕事上の専門的な知識や経験を提供するボランティア活動。企業の社員や各分野の専門家が、民間の非営利団体(NPO)を支援するといった形で実践されている。
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