PARTNER 国際協力キャリア総合情報サイト PARTNERニュース・コラム(第459号)

第459号  開発協力の「顧客」は誰?

仏典に、7人の盲目者が象に触れる説話がある。
ある人曰く、「象とは蛇のようなものだ」と鼻を触ったものがいう。ある人は、「象とは壁のようなものだ」と、腹を触ったものが言う。ある人は「木の幹のようなものだ」と足を触ったものが言う。「絨毯のようなものだ」と耳を触ったものがいう。しっぽを触ったものが、「糸を束ねたようなものだ」と異なることをいう。
皆が一様にいう。
「俺は、実際に現場に行って、直接、手で触れて、会って確かめたんだ。だから間違いないんだ」と。

確かに、「事実」ではあるが「真実」ではない。本当に真実の姿を理解するというのは難しいことを表している。
このことは開発協力に従事する我々に共通していないだろうか。
在外に駐在したから、現場を訪問したから、その国のことを知っていると。特に現代において、世界情勢と途上国自身の動向は時々刻々と変化する。そんな中で、外部者である調査団の訪問、関係者との面会、PCM等のワークショップ、そして特定の資料で真の援助ニーズが、全てわかるのだろうか。一つ一つは事実かもしれないが、われわれが盲目者の一人になってはいないか。

世界の援助潮流に基づく協力を如何に具体的な案件としてタイムリーに実現していくかが援助実務者組織の使命であろう。

真のニーズに基づいた協力を如何に策定していくか。それは、開発協力における顧客を明確にすることではないだろうか。では、誰を満足させれば、協力が成功と考えられるのか。PDMでも一つ一つの指標は設定されるが、誰のためなのか。

私は、開発協力における主要な顧客の一つとしてJICAボランティアを挙げたい。何故か?それは、JICAボランティアは先方政府に派遣され、途上国の置かれた状況を理解するとともに、どのような支援が必要かを知る立場にあり、かつJICAの一員としての援助側の立場もある。また、国の税金で実施している事業である開発協力は、納税者の理解が必要不可欠であるが、JICAボランティアは派遣前も派遣後も納税者である。納税者を顧客と捉えることは一般的なことである。

開発協力の策定に、現場で活動するJICAボランティアの関与は必須と感じている。当然、JICAボランティアは、語学や経験、知識などの面で不十分な点はあろう。しかし、それらの至らない点は、次のことを考えればよい。
商売をするうえで、顧客が商品(様々なJICAの支援の仕組みや手続きなど:JICAが提供するサービス)について無知な場合、顧客の無知を悪いとする売り手がいるだろうか。顧客のニーズに合わせた商品を売るのが商売の原則で、開発協力の世界においても、同様ではないか、と。(N.K.)
 
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