PARTNER 国際協力キャリア総合情報サイト PARTNERニュース・コラム(第460号)

第460号  新しい取組へのとっかかり~やりやすい(やらざるを得ない)環境作り~

開発途上国の現場で、新しい物事を導入する時、思いつくことはたくさんあっても(勿論、しっかりとした理由があった上で)、実際にはパートナーである村の人や役所の人が、まずはやってくれないと始まらないですよね。
JICAが実施している農村開発の研修の一つに、日本の戦後の生活改善運動の知識と経験を学ぶというものがあります。日本でこの研修を受けた人々が、帰国後に色々なことに挑戦し、日本の経験を模倣して、例えば、「お金のかからない改善」、「お金の必要な改善」、「お金を生み出す改善」(生活改善運動の中で良く使われていた「3つの改善」という考え方)を実践しようと頑張っています。彼らからよく聞かれるのは「村人にいくら説明してもなかなか実践してくれない。頷きはするけど実際には始めない」というものがあります。また、「日本で学んだことをやりたいけれども、所属する役所の理解がない」、「組織の上司が許してくれない」というものもあります。
その様な時に、研修員の皆さんによく言うことに「「やりやすい環境作り」をしましょう」ということがあります。ちょっと意地悪な言い方で「「やらざるを得ない環境作り」をしましょう」という言い方もしています。
これは、例えば村のレベルでは、村の人が参加しやすい時間に会議やイベントを行う、先頭切ってやりたがらない人の場合は、人の真似をしやすいように場を設定する、女性が参加しやすいように村の男性にも一緒に活動してもらったり、村の役員会(多くは男性で成り立っている)から女性グループへ招待状を作成してもらったりすることなどが、アイデアとして考えられます。
また、役所などの理解に関しては、敢えて外部者が市長等にお願いして普及員が仕事をしやすい環境を確保してもらったり、成果の見え易い時期やイベントには偉い人を呼び出して権威心をくすぐったり、その場で色々約束してもらってその後やらなければいけないように固めたり(これはやや強引でもありますが・・・)ということも考えられると思います。
研修員の皆さんはそれぞれ色々な組織に所属しています。日本で受けた研修の経験を帰国後に生かす場合、実際には1人で出来ることは少なく、そして研修員自身が生活改善を実践するのではなく、自分の関係する村の人に生活改善を実践してもらったり、自分の組織が生活改善のサポートで出来ることを目指したりすることが殆どです。その場合に、多少時間はかかるけれども、いわゆる「根回しをする」ことでもありますが、「やりやすい環境作り」、言い訳をしないで済む「やらざるを得ない環境作り」も大事ですよと話をしています。
案外、これは今の日本の社会でも有効な手段かもしれません。(H.T.)
 
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