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第469号  シリーズ 国際協力の第一線(団体編) ~保育士が国際協力の中でできること~

「あなたの職業は何ですか?」
日本では、職業欄に記入するということがよくあり、私はいつも「保育士」と記載しています。
すると、
「えっ、国際協力が職業ではないのですか?」
と聞かれるときもあります。
でも、国際協力というのは“職業”なのでしょうか?
私にとって職業とは、経験や学びから得た仕事や専門であり、すなわち、それは私にとって、“保育士”なのです。ただ、
「専門分野は何ですか?」
と聞かれれば、
「幼児教育、国際協力です。」
と答えますが。


学校などで授業をさせていただくとき、子ども達から、
「保育士って、海外でもできる仕事なんですか?」
と質問されることがあります。
そんなとき私は、
「はい。JICA青年海外協力隊って聞いたことがありますか?
日本以外の国において、要請された(来てください、必要です)場所に派遣される(行く)ことができる制度があります。様々な分野の人がいるのですが、その中には「保育士」や「幼稚園教諭」といったお仕事をするために行く人がいます。
それだけではなく、NGO(非政府組織)といって、私もそうですが、自分の経験や専門性を生かして、海外に住む人たちのために活動する人たちもいます。私自身は、ブラジルの貧しい漁村に保育園を作ってください!!と言われて、日本から見たら地球の裏側、ブラジルに行くことになったのです。」
と答えます。

日本で保育士を目指していた時、「日本と世界の子どもって、同じなのだろうか?」という疑問がいつも頭の片隅にありました。学生だからできること。そう思い、この機会にしか行くことのできないような場所にある保育園で子ども達と過ごしてみようと決心しました。こうして、紹介されて訪れた場所が、ブラジルのファヴェーラと呼ばれるスラム街にある保育園でした。栄養失調で、洋服も擦り切れているような子ども達。でも、その子ども達からは内側からあふれんばかりのエネルギーと生命力がありました。

「日本の子どもと一体何が違うのだろうか?」
その疑問の答えを見つけるために、日本で保育士として数年働いたのち、ブラジルに戻ることにしたのです。その後、ブラジルの小さな漁村で保育園を立ち上げようとしている人を手伝ってほしいということで、日本のNGOを通じて、ブラジル人にも地の果てと言われるような場所で保育園を設立することになったのです。
日本ではまだ新人の域を出ない私が、ブラジルで保育園を設立する。目の前にいる母親たちの強い望みと必要性、そしてその子ども達と過ごしながら、この村にあるものを十分に生かして、保育をしていきました。教材などが無い中でも、村人から自然のものを使っておもちゃを作ることを学び、その村に伝わる話を書き留め、観光地化により新たな世界に飛び出そうとしているこの村の文化を保育園の中で伝えていきたいと強く感じるようになりました。あれこれをするから、これを買う。日本でのこのような感覚を捨て、これをするためにどんなことができるだろうか?その、発想を転換する大切さを教えてくれたのは、ブラジルの保育園でした。

日本人である私が、日本を飛び出し、言葉も文化も違う国の中でいったい何ができるのだろうかというのは、いつも抱えている問いでもあります。私がいるために、私が行ったことのために、その地域の素晴らしい部分が損なわれてしまうこともあるのではないか。そういった不安もあります。それでも保育士として、“子どもが子どもらしく子ども時代を過ごすためには?”というスローガンを掲げ、子どもというのは、世界のどこにいる子どもでも、同じ。そのために私にできることは何だろう?という、この気持ちを忘れずに、これからも“保育士”として、“国際協力”に携わっていけたらと思っています。

光のこどもたちの会 
鈴木真由美
先月 来月