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第480号  シリーズ 国際協力の第一線(団体編)~開発コンサルタントとしてのやりがい~

OPMAC株式会社  中村桐美
開発コンサルタントとして、国際協力に携わるようになって、20年近くになる。最近になって、ようやく、専門家として「国際協力」に貢献できるようになったように感じている。

国際協力は、途上国が抱える様々な問題を解決し、より良い社会、経済を実現するための息の長い取組みである。一方で、開発コンサルタントが関わるのは、プロジェクトベースであることが多く、その息の長い取組みの中では、ほんの一時期のことになる。私は、評価業務に携わることも多いが、その場合、関わりはさらに短い。それでも、業務を通して関わった途上国の人々の変化を通して、開発コンサルタントとして国際協力に関わる仕事をしていて本当に良かったと感じる瞬間がある。

ベトナムの森林保全プロジェクトの生計向上の専門家として、村でのワークショップを開いた時のこと。日ごろ、村の会合は男性ばかりで開かれるが、その時には女性にも参加してもらうようにした。小さな赤ちゃんを抱っこして参加した若いお母さん。朝、ワークショップを開始した時には、遠慮がちに男性の輪の外に座っていた彼女。それが、夕方、ワークショップの最後に、参加者で作り上げた生計向上プランをなんと彼女がみんなの前で発表したのだ。「村のみんなの前で、こんな風に話すのは初めて」と言いながら、朝とは違って自信を持って、村人の前に立って、堂々と発表していた。実は、このワークッショップでは、グループになって村を周り、自分たちの村の中で活用できる資源は何かを考えてもらった。その中で、一軒の農家に立ち寄ったのだが、その家の女主人と思しき女性が、どんな工夫をしてより高い値段で売れる果物を育て、現金収入を得ているか、私たちの前で話してくれた。そうした話を彼女は目を輝かせて聞いていた。「私にだってできる。」それは、彼女の、また、村の女性のエンパワメントのきっかけになったと思えた出来事だった 。
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(写真:ベトナム ディエンビエン省の村でのワークショップの様子)

そして、タンザニアの電力分野の技術者を育成する技術協力プロジェクトの評価に携わったときのこと。6年以上にわたるプロジェクトで、評価の専門家として中間レビュー、終了時評価のミッションに参加した。中間レビューの段階では、「予算がない。人がいない。」と問題ばかりを口にしていたカウンターパートが、プロジェクトが進むにつれて変わっていき、延長時の終了時評価の際には、「プロジェクトのおかげでここまで改善することができた。これからは自分たちで取り組むために、予算も機材も人も準備している。」と、自ら問題解決に取り組む姿勢を見せた。もちろん、こうした変化をもたらしたのは、プロジェクトの専門家の方々の力だが、そうしたプロジェクトに評価の専門家として関わり、プロジェクトの実施の改善に関わることができたのは、開発コンサルタント冥利に尽きる経験であった。

これからも、開発コンサルタントとして、現場での改善に少しでも役立てるよう、経験を生かしていきたいと考えている 。開発コンサルタントは、経験を知恵に変え、途上国の現場で変化をもたらす「触媒」としての重要な役割を担っていること、それをやりがいとしていることを知っていただけたら、幸いである。
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(写真:タンザニア 電力技術者向けの研修の様子)
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