第13号 連載コラム JICA Innovation Quest ~国際協力の新しい形を創る~「ジャイクエ、はじめます」(第4回)

世界のために本当にいいことが何かなんて、私にはわからない。それが大学時代の結論でした。

私がJICAで働くきっかけとなったのは、カンボジアのダチョー村のとある小学校です。

ある時突然、「一緒にカンボジアに小学校を建てよう」と誘いを受けたのは、大学2年生の時。“経験豊富なNPOと共同で、カンボジアに小学校を建てたいから一緒にやろう”。活動内容とコンセプトへの共感と、何よりカンボジアを愛するメンバーの熱意に惹かれ、一緒にやってみることにしました。

と同時に、関わり始めた最初からずっと頭を離れなかったのは、「なぜカンボジアなんだろう」「なぜこの村なんだろう」「どうして小学校?」という問いでした。世界全体を見渡せば、紛争の起きている国もあれば、飲み水に困っている人もいる。小学校を必要としている村だって他にもきっと山ほどある。そんな中、私が「ダチョー村」に「小学校」を建てるのはなぜなのだろうか。小学校の周辺状況の調査、校長先生との面談など、必要と思われる確認が進められていくものの、元々優柔不断な私の脳内は他にありえた選択肢のことや、全体像が見えないまま部分的な課題に取り組んでよいのかという不安がぐるぐるとめぐっていました。

資金集めから実際の大工仕事まで、関わる中で大変なことは多々あったけれど、ついに小学校が完成すると、笑顔ではしゃぎまわる子供たちがそこに集い、学び、夢を語ってくれる姿を見ることができました。少なくともこの子供たちにとっては、ここに小学校が建ったことは嬉しいニュースだっただろうな、そう実感することができて、自分がめぐりあった目の前の一人のために一生懸命になることが今の自分には精一杯だ、と、納得できたことを覚えています。

ダチョー村の小学校で、子供たちが「夢」を話してくれたときの様子

私は、その時々の精一杯で行動しつつも、大学時代には答えを出せなかった「世界にとってよいこと」を考え続けたくて、JICAへの入構を希望するようになりました。きっと永遠に答えはなくて、自分のアクションが本当に正しいのか、どんな変化を生むのか、いつまでも怖いけれど、アクションを起こす中で得られた気付きや失敗、同じ意志を持った仲間が、次のアクションを必ずもっと良いものにしてくれると信じて日々取り組んでいます。

世界の課題は複雑につながっていて、単純には語れないことばかりです。JICAだけではできないこと、わからないことがたくさんあります。正解がないこの複雑な課題に真摯に向き合うために、もっと多くの人と、少しでも広い視野を持って、アプローチを工夫し続けたい。そんな想いで、様々なバックグラウンドの人が出会い、既存の枠組みにとらわれずアイディアを出し合い、互いに刺激を与えあえるような場“JICA Innovation Quest”を前に進めていきたいと思っています。

しかしながら、国際協力に直結しないと思われるような、さまざまなバックグラウンドやスキル・経験が、途上国が持つ課題へのソリューション提供に結び付くことが多々あります。

「国際協力の新しい形」作りに、多くの方に、一緒に挑戦していただけたら嬉しいです。

JICA入構後、パキスタン研修中現地の衣装を着て

JICA Innovation Quest チーム、人間開発部保健第二グループ保健第四チーム
前田 紫

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