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経験や専門性を活かし、次への自己研鑽もできる貴重な機会  ~特別嘱託の仕事①~

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特別嘱託となるまでのご経歴

大学卒業後、地元の山形で小学校教員をしていました。うち2年間は、県教育センターの研究員として初任者研修を担当し、学校勤務のころにはあまり見えなかった教育行政について、視野を広げる機会になりました。

その後、一念発起して退職し、東京で進学塾の講師をしながら青年海外協力隊に応募しました。

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合格して1998年に青年海外協力隊員としてホンジュラスに赴任したのが最初の国際協力で、その後シニアボランティア、「算数指導力向上」プロジェクトの短期・長期専門家、基礎教育強化個別派遣専門家の経験を経て、現職に至っています。ホンジュラスで形成された「算数指導力向上」プロジェクト第1フェーズでは小学校算数の教材(児童用作業帳・教師用指導書)開発や現職教員研修に協力しました。児童用作業帳は国定教科書になり、教師用指導書と共に全国に配布されています。この成果は近隣諸国にも伝わり、第2フェーズは中米5か国を対象とした広域展開になりました。ホンジュラスに加えて、エルサルバドル、グアテマラ、ドミニカ共和国、ニカラグアにも出張し、コアメンバーの教育省技官や大学教官の算数教材開発や現職教員研修、新規教員養成に関する能力向上への技術支援をしていました。個別派遣専門家のときは、新規案件立ち上げのための現状調査やワークショップ、ドナー協調などを行っていました。

日本で教育に携わった年数に、国際協力の年数がもう少しで追いつきそうです。

特別嘱託時代(委嘱期間2013年5月~2014年1月)のお仕事

中南米地域でJICAが実施した基礎教育協力の成果品(特に教材)を分析しました。その一つとして、ボリビアの教師教育と特別支援教育に関するプロジェクトの成果品(スペイン語で作成されたもの)を分析し、他の国への協力に活用する可能性などの検討を行いましたが、一つ一つに目を通し特徴を抽出するのは予想以上に時間と手間のかかる仕事でした。

また、各国の教育関係者が日本に来て受講する本邦研修の支援をしました。「授業改善を目指した学校運営」というコースで、「教育課程編成と指導案作成」、「授業評価」の講義を担当した他、校内研修マニュアル作成のグループ作業支援や、学校・教育機関視察に同行し個別の質問等へのフォローも行いました。

それから、中南米で実施中の案件基礎教育案件に対して、活動計画策定などの運営面や、算数指導法、教材開発といった技術面の支援をしました。各国に出張してワークショップや会合を持ったり、日本と各国でメールベースの情報交換をしたりと、様々な方法でサポートをしました。

その他、JICAが実施する教育協力の知見を共有・発信し質の向上を図ることを目的とする「教育ナレッジマネジメントネットワーク」に参加し、教師教育、学力評価・学習到達度、へき地教育などに関する情報収集なども行いました。

過去の専門家としての経験の活用

特別嘱託の仕事において、過去の専門家としての経験は非常に役に立ちました。というより、専門家としての経験無しには業務を進められなかったと思います。

担当案件では、教育の専門性を要する技術的なサポートをしましたし、省庁の技官、部局の長、大学の教授や学長、ひいては大臣級の方々との会合やワークショップにはそれなりの語学力や対応が必要になりました。一国の教育を担う方々と出張ベースで業務をするわけですから、事前の準備や調整も大変でした。また、専門分野だけでなく日本の教育全般について一定の知識を持つとともに、国際的な教育協力の潮流やJICAとしての協力の方向性も踏まえておかなければなりません。専門家としての業務経験でこれらの知見を徐々に培ってきたおかげで、特別嘱託の仕事を進められたと思います。

特別嘱託は専門性を持つということで、時には職員の方から教育や協力に関するご質問・ご相談を受けることもありました。私にとっても毎日が学びの連続でしたが、特別嘱託にとって専門家の経験は、短期の出張では見えない現地の状況を職員の皆さんと共有し、実践した協力の成果や課題を事例として活用するためにも必要だと感じました。

特別嘱託のお仕事の魅力

魅力は大きく3つあります。一つ目は、日本の国際協力の全貌を学ぶことができる環境です。教育だけでなく全ての分野、技術協力だけでなく全てのスキーム(協力形態)の情報があふれています。時間を作り行動すれば、国際協力をAからZまで知ることができると思います。自分の毎日の業務でも教育や教育協力に関する新しい情報が絶えず入ってきて、即自己研鑽につながっていました。また、職場の皆さんがとても温かく接してくだったので、わからないことも気軽に質問させていただきました。国際協力への熱い思いを持ち人に優しい(時には厳しい)方々が集まった職場環境だからこそ、学びが深まっているのかもしれません。

二つ目は、委嘱された業務内容に幅を持たせられることです。専門家派遣を前提にした委嘱ということもあり、直属の上司も担当の職員の方も、現在のJICAとしてのニーズだけでなく今後の派遣に役立つ業務を積極的に推奨・許可くださいました。私はこれまで中米での専門家経験しかありませんでしたが、アフリカからの参加者に対する研修視察の機会もあり、中米の人たちとは違った雰囲気を体験することができました。民間企業への訪問や様々な教育関係のイベント参加、大学の研究者の方々との勉強会も、現場ではなかなか経験できないことです。業務を通して築く国内外の人脈は、国際協力の仕事においても、自分の人生においても財産になったと思っています。

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そして何より、仕事が形になり、役立っていると実感することができました。研修講義や教育ナレッジマネジメントネットワーク、成果品分析等で資料を作る労力は大きかったですが、徐々にまとまり形を成し、評価・助言により改善されて完成する喜びは労力に比例しました。案件支援も同じで、グアテマラでは本邦研修受講者が県内に校内研修を取り入れるべく指導主事と会合を持ち積極的に活動をしている様子を見ることができました。ニカラグアからは、出張後も教育省技官がとても意欲的に指導案集改訂作業に取り組んでいるという報告があり、ホンジュラスからは、出張時に作成した活動計画に基づき教育省が教材改訂の体制を整えたというメールに、技官等が自ら作成した具体的作業計画が添付されて届きました。案件全体から見れば小さな進捗ですが、実施した業務が形になり、少しでも役に立っていると思うと最高にやりがいを感じました。

難しいのは、組織の規模と業務スピードです。

JICAは本部だけでも30以上の部署があり、私が所属していた人間開発部には当時9つの課がありました。大きな組織での業務経験が無いので、人や情報の動きについていくのが大変でした。また職員の皆さんは膨大な業務を的確にしかもスピーディーにこなしておられましたが、私は自分の情報処理能力、調整能力の不足を痛感しつつ、委嘱期間の間で少しでも力をつけられるようにと努めました。

特別嘱託への応募を考えている方々へのメッセージ

特別嘱託の仕事は、経験や専門性を活かし、次の派遣までの自己研鑽もできる貴重な機会です。人と情報に恵まれた職場環境で、日本にいながら世界の国際協力をリアルタイムで学べるだけでなく、積極的に自分から発信することもできます。現場で感じている思いを直接本部に伝え、他の案件に還元していくことが可能です。やりがいのある仕事なので、専門家としての派遣を希望されている方は是非チャレンジを!

(ちなみに私はずっと地方在住で、東京の通勤電車に乗れるかどうか心配だったのですが、全然大丈夫でした。仕事も東京生活も新発見満載で楽しかったですよ!)


※本インタビューは、「しごと@JICA 活躍するひとの声」で公開していた内容と同一です。