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浸透度は英米の100分の1!? まだまだ普及していないフェアトレード ~社会貢献活動におけるキャリア(途上国ビジネス編)①~

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 途上国の農産物を労働に見合った適正価格で購入することで、生産者の収入を増やし経済的な自立を促す「フェアトレード」。フェアトレードはソーシャルビジネスの代表的なキーワードとして国際協力業界どころか、一般社会でも知名度を得たように思われる。フェアトレードの認証ラベルの管理をする特定非営利活動法人(NPO法人)フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長の中島佳織さんに現状と課題をうかがった。
 
日本はフェアトレード浸透度最下位だった
近は環境問題への意識の高まりなどから、さぞかし、企業からライセンス料をとって儲かっているんだろうと思われることもありますが、運営自体は楽ではありません。参加企業が増えている一方でライセンス収入は思うほど伸びないのです。

 その商品を購入していただいてはじめて、小売り価格の約1%相当のライセンス収入が入ってくる仕組みです。ライセンス収入が私たちの収入の大部分を占めていますが、年間のライセンス収入はまだ1,470
万円(2009
年)程度の規模です。他に大きな資金源がなく、市場が伸びれば資金も増えると市場頼みでやってきたのですが、今後はいろいろなキャンペーンなど広報や普及啓発活動の必要を感じています。

 フェアトレード認証製品の国内市場は2009年で約14億7千万円。10年間で約30倍に急拡大しているが、世界的に見ると、あまりにも市場規模が小さいのだという。
本は約14億円という市場規模ですが、アメリカやイギリスは1000億円を超えています。
 人口で割った国民1人当たりのフェアトレード認証製品推定購入額(2007
年、円換算)を浸透度として見ると、第一位のスイスが一人3,396
円。日本はどれくらいかといえば、一人8
円。20カ国(組織)中、日本はなんと最下位です。日本は経済大国なのですから、本来はそんな位置にいてはいけない
 
 ようやく環境問題に対するエコ意識もブームではなく一般の人々に定着をしはじめている。フェアトレードも同じように、「必要なもの」として人々の意識に定着させていくことが必要だと感じています。

 中島さんは「身近なスーパーやコンビニでも多くのフェアトレード商品が買えるようにしたい」と語るが、そこに辿り着くための課題は山積み、フェアトレード・ラベル・ジャパンとしてもやるべきことは多い。
えば、イギリスではフェアトレードの商品がたくさんスーパーに並んでいます。消費者のニーズが高まるのを企業が待つだけではなく、大手小売業チェーンのMarks & SpencerやSainsbury'sのように事業の柱の中に組み入れていました。もちろん消費者に受け入れられるためという戦略という面もあったのでしょうが、消費者の意識の高まりと、企業側のコミットメントが同時に進んだことが大きいのです。

 日本でもイオンとか無印良品など、フェアトレードが日本の消費者の間でそれほど浸透していないにもかかわらず、以前から積極的に取り組んでいる企業もありますし、最近は新規参加企業数も増えてきてはいますが、まだまだ様子見の企業が多い。コンビニに並ぶような商品、大手企業のチョコレートなどにフェアトレードの認証ラベルが珍しくない状態にしたい。そのためには企業や、マスコミの方々への働きかけが必要なのですが、現状は問い合わせに対応することで精一杯で、なかなか私たちからの働きかけも十分にできていません。フェアトレードを普及する団体としては啓発活動にも力を入れたいです。

 多くの企業からの認証・ライセンスに関する問い合わせに対応し、ときには企業の商品開発の相談に乗ることもある。中島さんは数十人規模のスタッフを率いているのかと思いきや、なんと、スタッフは中島さん含めて二人だという。活動の幅を広げるためにも組織づくりに力を入れていきたいと中島さんは話す。
長期的にはインターンの方やボランティアの方にも事務所に来ていただきたいという思いはありますが、これまでの事務所は二人分のスペースしかなかった。ただ、事務所が5月に、東京・中央区日本橋に移り、ようやく打ち合わせができるスペースが確保できるようになりました。すぐには難しいですが、活動の場を広げる組織作りという目標をもって、やっていきたい。活動の場を広げるためには仲間になってくれる人たちも重要。フェアトレードに関心があるという前提の上で、認証やライセンス業務、ラベルの運用、広報など小さな組織だからこそ幅広い仕事に関われる楽しさとやりがいを感じてもらえる人と一緒に仕事をしていきたいです。
 
途上国で学んだ臨機応変さと『なんでもやるよ』というマインド
 現在は東京に勤務する中島さんだが、もともとは現場志向が強い。国際協力とのはじめての関わりは、ケニアの難民キャンプでの労働だった。
時は、インターネットが普及していない時代で、茨城の大学で教員養成課程にいたので、東京の大学生との交流とかネットワークに参加する方法もなかったし、国際協力の情報がほとんど入ってこない状況でしたが、国際協力を仕事としてやっていきたい、学生のうちに現場を見てみたいと考えていました。1週間や2週間のスタディツアーでは得ることも限られてしまうので、長い期間行きたかった。それと当時の私に出来ることといったら、身体を動かすことくらいしかないので労働をしたかった。この条件で探したケニアのカクマ難民キャンプのワークキャンプに参加したんです。
 このワークキャンプが国際協力NGOわかちあいプロジェクト」の外来病棟建設だった。これが縁でケニアとのかかわりが始まり、同時に、「わかちあいプロジェクト」とのかかわりも始まった。「わかちあいプロジェクト」は日本においてフェアトレードに早くからかかわり、フェアトレード・ラベル・ジャパンの前身「トランスフェア・ジャパン」の設立メンバー団体の一つだ。
2001年には、タイ北部チェンマイの山岳民族コーヒー生産者支援プロジェクトにも1年半かかわったことがあります。日本でも私たちのNGOで輸入をしていたのですが、なかなか知名度が上がらなかった。日本で売れなければタイの現地でコーヒーの自家焙煎と卸を始めたらどうかと、チェンマイでコーヒーショップを始めました。その時はお店の場所選びから、スタッフ面接、レギュラーコーヒーの販路開拓といったマーケティングまで行い、今ではバンコクの百貨店やスーパーへの卸をするほどに成長しています。

 私は、その後、しばらくNGOから離れて、ケニアに進出している日系の自動車メーカーで需給管理、車両割り当て、営業などをしていたのですが、3
年半経って、日本に戻ってきて『わかちあいプロジェクト』に顔を出したときに、お世話になっていた方から、やってみないか、と誘われてこの事務局に入ったんです。


 事務局長の仕事は企業との折衝から給与計算、社会保険手続まで多岐にわたります。企業との折衝では企業の言いなりにならずに、途上国の利益になるかどうかを考えることも必要です。

 また、新しいことがでてきたときに自分たちの知識がなくても対応をしなくてはいけないことはたくさんあるので、そういうときに必要な知識を学びとっていく力、対応できる臨機応変さと『なんでもやるよ』というマインドがある人が小さなNGOに向いているかもしれません。私の場合はそういったことを途上国での実地体験で叩き込まれたようなものです(笑)。

 フェアトレード・ラベル・ジャパンはこの5月、大々的なキャンペーンをおこなっている。「世界から貧困をなくす フェアトレード100万アクションキャンペーン 『選ぶ』というあなたのアクションが世界を変える。」というものだ。
たちの名刺を見て『フェアトレードは金融の仕事ですか』などと聞かれるほど、まだまだ認知度が低いのが実情です。一月の間に日本全国でフェアトレードにまつわる100万アクションをみんなで目指して、フェアトレードをまったく聞いたことのない人にもこの活動を知ってもらい、フェアトレード商品を選ぶというアクションを起こしてもらおうという初めての取り組みです。フェアトレード認証製品を販売する企業も売り場の展開をします。是非、みなさんもフェアトレードを『知る』『選ぶ』『伝える』といったアクションに加わってください!

フェアトレード100万アクションキャンペーン
フェアトレード・ラベル・ジャパンのサイト

※本インタビューは、「”ソーシャルキャリア”はどうつくる」で公開していた内容と同一です。