PARTNER 国際協力キャリア総合情報サイト

JICE経験がJICAで生きた!JICE発、大学院経由でJICA特別嘱託に 環境マネジメントをツールにした国際協力の道は続く ~NGOからJICA特別嘱託へ~

「自分が何をできるか」を考えたJICE時代。

現在、「JICA産業開発部 資源・エネルギーグループ 資源・省エネルギー課」で働いている掛川安純さんがこの道に進むきっかけとなったのは、大学時代のインターン先での出来事だった。

当時、アメリカの大学に編入学して国際関係論を中心に学んでいたのですが、NGO『Energy and Climate Change Caucus(エネルギーと気候変動に関する委員会)』の事務局でのインターンシップにいきました。このNGOのメインの活動は国連の国際会議・持続可能な開発のための委員会(CSD)で、ロビー活動をするというものでした。あるときに、私も、『エネルギーと国際開発』というテーマの国際会議にも参加する機会があって、いろいろな国が集まって地球の将来を決めていくことに感銘をうけたんです。

しかし、すぐに国際協力の世界に飛び込んだわけではない。大学卒業後、アメリカで日系の民間企業に就職した。

国際協力分野に入るために自分に必要な能力を考えて、コミュニケーション能力を高める必要がある。そのためには、多民族で構成される職場で、英語でのコミュニケーション能力を高めよう。しかも、民間の企業で仕事をして、顧客のニーズに最大限にこたえる方法を学ぶことがこれから必要なのでは、と考えたのです。
3年後の2005年3月、日本に帰国。JICEに応募し、JICAの調査要員として、資源エネルギー分野での支援ユニットに配置された。(調査要員はJICAの中で2人から6人程度でユニットを組んで業務を行いますが、その単位を「支援ユニット」と呼んでいます)

資源エネルギー支援での役割は大きく二つ。当時は、資源エネルギーという分野の課題対応力を強化するというJICAの意向がありましたので、その課題強化に資するという役割と、業務の軽減化に貢献するという役割です。

業務としては、ナレッジサイトコンテンツのデータベースの拡充、報告書の作成支援、会議・勉強会の議事録の作成。JICAの広報パンフレットの調整、翻訳、また、JICEから配置された事務要員の業務調整をする業務もあった。
つまり、JICAスタッフのバックアップ全般ということになる。

バ ックアップの過程で、JICAの事業やスキームに対する理解が蓄積されましたし、その分野の動向、途上国の課題、専門的な知識を得ることができました。

ただ、入ってすぐに、資源エネルギーの専門的な知識が弱いと痛感しました。3年契約なので、それまでには何らかの成果はあげたいと、考えていましたね。貢献はしたいが、自分は何ができるのかと、ならば、JICAのみなさんがどういったニーズがあるのかを考えて、自分のできることをやっていこうと。

たとえば、実務的なデータべースを作りました。当時は、相手国との合意文書など、ファイルがひとまとめになっておらず、JICAのみなさんがそのたびに不便をしていた。そこで、散在していた資料を整理して過去の協力事例、留意点、援助動向がすぐにわかるようにデータべース作りをこころがけました。データべースができたときには喜んでいただけました。

顧客の立場になってニーズを考える——民間企業での経験がモノをいった瞬間だった。


JICEの経験が生きたJICAの特別嘱託

2年半後の2007年9月、掛川さんは、MSc(Master of Science)を取得のため、英国・イーストアングリア大学・環境科学部の大学院に進学する。

もともと大学院にいこうという意識があったのですが、JICEの2年半で、JICAでの知識が短期間にたくさん入ってきました。その断片的な知識を仕事から離れて、集中的に整理していく時間がほしかった。JICEの2年半で、課題が見えてきていましたから。
課題というのは、Environmental Management(環境マネジメント)。気候変動という問題を環境マネジメントという実践的なツールでどうやって解決していくのかをつきつめたいと考えた。

論文は英国の自治体の気候変動対策の取り組みをまとめたものです。その論文を書き終えた頃、PARTNERサイトでJICAの産業開発部、資源エネルギーの特別嘱託の募集を知りました。やることはわかっているし、JICAの役に立てるかなと応募しましたが、実際に中に入ってみると、調査要員とはまったく違う。わかったつもりになっていただけでしたね(笑)。
飛び込んでくるメールの量、案件担当という業務は人員の調整が多く常に判断を迫られる……。

お願いがきてから動き出す支援ユニットとは、まったくスピード感が違いますね。会議の進め方や、アレンジの仕方など、『あのときの●●さんはこうやって対応していたよな』などと、JICE時代の支援ユニットの記憶を総動員して、現在、なんとか対応しているところです。JICEの支援ユニットの経験がJICAの仕事でここまで生きるとは思いませんでした。

掛川さんの特別嘱託として現在の主な業務は、省エネルギー、太陽光、発電所のエネルギー効率改善といった案件担当のほか、分野横断的に環境社会配慮、気候変動対策対応だ。国名でいえば、インド、シリア、ネパール、南アフリカといった国々にかかわる。

海外には年に4,5回出ています。インドではプロジェクトの計画監理や作業監理のほか、日印政策対話のセミナーにも出席したことがあります。また、シリアに環境調査担当の団員として行ったときには、大学院時代の環境マネジメントの知識が役に立ちました。
ユーザが追加した画像

特別嘱託は一年契約で、その後、その分野の専門家として海外に派遣されるのが原則だ。掛川さんは今後もJICEで培った経験、大学院で得た知識を、国際協力の世界で開花させていくのだろう。
「JICEの経験とJICAでの特別嘱託はワンセットのようなもの」と掛川さん。

※本インタビューは、「知りたい、採用する人される人」で公開していた内容と同一です。