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JICAプロジェクトの成功を握る開発プランニングのプロフェッショナル  ~企画調査員(企画)の仕事②~

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企画調査員の仕事について

現在パラグアイ政府は、行政改革の推進を最重点課題に据えています。そこでJICAパラグアイ事務所は、2005年以来、大統領府(企画庁・公務員庁)や財務省などと、少しずつ行政改革に関連するガバナンス支援プロジェクトを始めてきました。その中で、私はガバナンス分野の企画調査員として活動しています。

JICAパラグアイ事務所における私の役割は、JICAが持つリソースを最適化し、実行可能なガバナンス支援の目標・目的を明確にすること(プログラム化)、さらに、その基幹となるプロジェクトを形成することにあります。

着任後まず、ガバナンス支援について事務所内での理解を深めるため、ガバナンスに関する論理的・理論的な枠組みについて、いくつかの素案を提供したり、現在実施されているプロジェクトがガバナンス支援の枠組みの中で、どういった位置を占め、今後どのような展開が期待されるのかを明確化することに取り組みました。


そして、いくつかのプレゼンテーションを行いながら、これらのプロジェクトをプログラム化するための合意形成を進めてきました。また、JICAを含めた全ドナーのガバナンス支援が、効果的・調和的に実施されるには、各ドナーがお互いの方向性や支援プログラムについての情報や、プロジェクトにおける教訓を共有することが重要です。

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そのためドナーミーティングには積極的に参加し、JICAの方向性を明確に伝達すると同時に、他のドナーの動向には注視し、情報収集をおこなってきました。
同時に、パラグアイ政府が何をやりたいのか、何を必要としているのか、政治・行政における改革のキーパーソンは誰なのか、さらにどのようなプロセスで政策決定がなされるのかを的確に把握しておく必要があります。

そのため、政府の主要な開発計画案には注視し、行政官と積極的にミーティングを行ったり、事務所の現地スタッフからも情報収集を行い、政治経済分析を行ってきました。

このような活動を基に、ガバナンス支援についてのポジション・ペーパー(方針説明書)を作成し、今後のJICAにおけるガバナンスプログラムの理論的・論理的な枠組みを提供しました。ポジションペーパーを作成する過程では、パラグアイの公共政策について、計画省配属の援助調整専門家に相談をしたり、中南米地域に造詣の深い専門家からパラグアイの社会的価値や規範についてアドバイスをいただきました。

現在は、住民に一番近い行政の末端機関である、市役所のサービス提供能力強化を支援するプロジェクトを基幹プロジェクトにするため、担当省庁である大蔵省や自治体と、その必要性や能力のギャップを分析し、ログフレーム化する準備をしています。

自治体の予算編成に市民が直接参加する仕組みである参加型予算(Participatory Budgeting)の手法を取り入れ、行政・市民双方のエンパワーメント・キャパシティビルディングのための実地トレーニングを行い、パラグアイにおける地方開発・行政のモデル作りに貢献したいと考えています。

また、環境行政や農政分野でJICAが実施しているその他のプロジェクトも同市役所を主な窓口にしていることから、シナジー効果のある一貫した支援を行うための分析・議論を深める準備をしています。

一方、行政改革の最重要課題である公務員の能力向上のため、パラグアイの公務員庁は、公務員制度改革を開始したいと考えています。
私は、アドバイザーとして公務員庁にも席をおき、担当部長をカウンターパートに、必要な助言も行っています。

具体的には、国際専門家を招いたシンポジウム開催への助言や各ドナーが今までに出版した公務員制度改革に対するレポートを比較分析し、出版する準備を行っています。また、市民団体と共催し、公務員制度改革の必要性を議論するワークショップを開催する活動にも携わっています。

印象に残ったこと

企画調査員としての仕事は、リサーチが中心のため、あまり印象に残るような派手な業務はありませんが、ポジション・ペーパーの初稿、最終案を書き終えた時には、充実感があり非常に印象に残っています。

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ポジション・ペーパーを作成する過程では、関連情報を収集するため、広範囲な文献をレビューしたり、政府、民間のさまざまな方にインタビューを行いました。それらの情報と自分自身の経験、知識を融合させ、最終的に初稿が完成した時には、パラグアイに来て半年がたっていました。

この初稿を基に、可能な限り多くの関係者から意見をいただいて、さらに2ヶ月かけて改訂、編集をしました。


ポジション・ペーパーを作り上げる中で、JICA事務所員、技術協力専門家の方、パラグアイ政府の方、他ドナーの方などさまざまな方々と意見交換をしながら、実に多くのことを学ばせていただいたこともとても印象に残っています。
また、印象に残ったことではないのですが、パラグアイにおける、日系人社会の大きさに、改めて感謝しています。日系人は、パラグアイに根付き、パラグアイ人の日本への信頼の石杖になっています。政治・経済・社会において、要職をしめる日系人も多いのです。日系人への厚い信頼感が、JICAがガバナンス支援を進める上で、大きな支援になっていると日々感じています。

仕事のやりがいについて

リサーチをする中で、今まで知らなかった知識と応用の発見がやりがいに繋がっていると感じます。企画調査員は、相手国の山積する課題に対し、開発支援プロジェクト・プログラムを通じた、処方箋を提供するアドバイスも行います。それが、開発プランナーとしての面白みであり、醍醐味なのではないのかなと思います。

これまで私は、主に、誰かが企画したプログラムやプロジェクトの実施管理に携わってきましたが、自分が主体的にプランニング・デザインを行う機会は、あまり持ってきませんでした。

今までプロジェクト実施する中で常に痛感した初期プランニング・デザインの重要性と実施時の教訓を踏まえ、今は自分自身が、成果の見えるプロジェクト/プログラムのプランニングに従事することができ、実施管理とは別のやりがいを感じています。

今までのキャリア

大学卒業後、ずっと企業・自治体監査や、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニエアリング)など、コーポレートガバナンス・組織開発に関連する仕事を行ってきました。

協力隊に参加した時には、経済隊員として、カウンターパートのキャパシティビルディングと同時に、透明性と情報開示性を確保するための公共機関の経理財務監査業務・システムのデザイン構築に携わりました。

大学院卒業後に職を得た国連では、ガバナンスのプログラムマネージャーとして、政府のインスティチューションビルディング、制度構築・政策の形成に関与する機会がありました。そこでは、ガバナンスの主要な課題(法の統治・法律システム・人権・透明性確保・情報開示・参加型持続的経済開発など)を実地で体験すると同時に、開発の課題克服のために必要な、政府機関におけるガバナンスの重要性を痛感してきました。
そして、ガバナンスに関するリサーチとプロジェクトプランニング・デザインに興味があったので、JICAの企画調査員に応募しました。

任期終了後は、ずっと従事してきた、組織開発、特に組織の与える経済・社会・政治へのインパクトに関する知識を深めるため博士課程に進みたいと考えています。将来的には、現場と学術の場の双方を行き来できればと思っています。

応募を考えている方へのメッセージ

プロジェクトプランニング・デザインは、その後の開発プロジェクト実施時の青写真となり、プロジェクト成功の大きな鍵となります。
その上で、開発プロジェクトプランナーでもある企画調査員は、JICAが協力事業を進める上で、非常に重要な仕事を担っていると言えると思います。

実際のところ、企画調査員は、JICAのプロジェクトデザインにおける助っ人的な存在ですが、大いにリサーチをすると同時に、技術協力専門家やボランティアの人々、他のドナーの人とも交流して、ネットワークの輪を広げ、自分の開発の視点や視野を広げていくことのできる、とてもやりがいのある仕事だと思います。

※本インタビューは、「しごと@JICA 活躍するひとの声」で公開していた内容と同一です。