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自分にとってキャリアの集大成  ~在外健康監理員の仕事②~

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1.仕事について

在外健康管理員の仕事は、JICA関係者が任期中、心身共に健康を保ち、安心して業務を遂行し、在外生活を過ごせるようサポートする事が主な仕事です。主な業務は大きく2つに分けられます。1つは疾病予防対策と日常の健康管理、2つ目は緊急移送も含めた傷病対応です。

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1つ目については、まずその国の医療・衛生事情の把握する事が大事です。ケニアは近隣諸国の中では、最も医療事情がよく、首都ナイロビには二次医療が受けられる医療施設が整備されているため、ある程度の医療は受けられます。しかし周辺国や国内でも地方都市はまだ医療水準が低く地域格差があります。

国や地域によって特有の風土病や流行の疾患があり、マラリア、デング熱などの熱帯感染症、下痢、食中毒等のかかりやすい病気の動向を把握し、予防のアドバイスや具体的な生活指導を行います。ケニアは地域によってマラリアの流行地になっており防蚊対策の指導を徹底しています。また、地方に住む青年海外協力隊員が多いため、地方巡回を行い、生活状況の確認、医療事情調査、メンタル面も含めた健康相談を実施しています。加えて、専門家等が多いケニアでは、運動不足、肉類や油料理などの食習慣や生活習慣の変化により体重増加の傾向があるので、生活習慣病予防指導も必要です。

2つ目の傷病対応では、JICA関係者が現地の医療機関を受診した場合に、医師の診断や検査結果を確認します。ケースによっては現地の治療が妥当かどうかをJICA本部に報告し顧問医の意見を得て、治療がスムーズに受けられるよう支援します。また、重傷者や大きな事故が発生した場合には医療事情の良い第三国や日本へ移送することも考慮する必要があります。在外健康管理員が現地医師、本部看護師およびJICA顧問医、緊急移送会社の間に入り、傷病の状況を冷静に判断し迅速に対応する能力が求められます。そのため、普段から現地人医師や現地の医療機関、事務所内の人間関係の構築やネットワーク作りが大事になってくると思います。

 

任国での日常生活の指導から傷病対応まで多岐に渡る責任の重い仕事ですが、重要なのは、健康管理も活動または業務の一つと捉え、病気に罹ってからの対応ではなくて、罹らないためにはどうしたらよいか、一次予防のための意識を高め自己管理ができるようにサポートしていくことだと思います。

2.これまでのキャリアパス

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看護師として約10年間の臨床経験を積んだ後、予防医学、公衆衛生に関心を持ち保健師の資格を取得しました。その後ミクロネシア連邦でシニア海外ボランティアの保健師として生活習慣病予防に携わりました。その時、青年海外協力隊やJICA関係者の傷病対応に関わったことがきっかけで在外での健康管理の重要性を認識し興味を持ち、ジャマイカの在外健康管理員に応募、2年間健康管理業務に携わりました。熱帯の島国特有の感染症予防や日常的な生活指導、健康相談、緊急移送などを経験したことから、気候風土も違う異文化の中で活動する隊員やJICA関係者には、もっと予防に関するセルフケア意識や動機付けに対するサポートが必要だと感じました。産業保健の分野は幅が広く、主には行政での仕事が多いのですが、他にも企業、事業所、学校、海外等様々です。その中でも、途上国での在外健康管理員の仕事は、産業保健の延長線上であり、自分にとってこれまでのキャリアの積み重ねの集大成と言えます。日本へ帰国後は企業等で引き続き産業保健の仕事に従事してきましたが、これまでの国内外での様々な経験と知識を活かし、再び途上国で活躍するJICA関係者の健康管理支援がしたいという思いが強くなり、応募しました。もちろんその背景には、単身での赴任を許してくれた家族の協力と理解があってこそでした。

現在は、ケニアの健康管理員として、日頃のJICA関係者や現地人顧問医などコミュニケーションを大事にし、病気等にならないための一次予防対策を重点目標として、日々奮闘しています。

3.在外健康管理員を目指す方へ

 在外健康管理員の仕事は、学ぶことが多く、自分自身も成長の機会を得ることができると思います。また、途上国という過酷な環境で開発援助に携わるJICA関係者にとって在外健康管理員の果たす役割は大きいと自負しています。ハードルが高いと感じられる部分もあるかもしれませんが、看護の基本はどこでも同じです。足りない、弱い部分については、自己学習はもちろんですが、派遣前研修や、赴任してからはJICA本部の顧問医、国内健康管理員等からのバックアップを受けられる体制が充実しています。日本では経験のない熱帯病や感染症など現地の医師から学んだり、事例を通しての学びも多く、新たな知識や経験を身につけることができます。また在外では、常に緊張を強いられがちですが、最悪を予想して楽観的に暮らす術も身についてきます。直接、現場で関わるわけではありませんが、隊員や専門家などの後方支援を通して、間接的な国際協力につながっていると思います。何よりも無事に日本へ帰国されるJICA関係者を送り出す瞬間、本当によかったなと充実感や達成感を感じます。是非、あなたも在外健康管理員へ挑戦してみませんか。


※本インタビューは、「しごと@JICA 活躍するひとの声」で公開していた内容と同一です。