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研修員に日本のことをより多く知ってもらうために  ~研修監理員の仕事③~

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業務内容について
どのような業務を担当していらっしゃいますか?

途上国から来日する行政官や技術者に対し、JICAは日本の制度・技術を伝授する研修を行っていますが、 その中で研修監理と言う,通訳を含め研修を円滑にし研修員の生活を快適にするためのお手伝いをするのが研修監理員の仕事です。

業務にあたりどのような点が難しいと感じられますか?
異なる文化の中で育った人にとって「当然」と思っていることが実は他の文化圏では「当然」でないことがあります。 これは相手の立場になって考えないと見えて来ない部分です。研修コースは長短様々ですが、 たとえ短いコースでも研修員の技術理解、日本理解、生活理解の程度を早く察知し、 的確な対応をするところが最も重要で難しい点です。

特に印象に残った業務はありますか?
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来日した人が土産話にするために訪ねたいところは、広島、富士山、秋葉原の3つですが、必ずしも全部訪問できるわけではありません。 森林関係のコースで、研修員の森林管理官にとって山は生活の場、日本に来て特に富士山の間近に来て富士山を見ないで帰るのは 日本に来たことにならないと思うのは当然かもしれません。富士山の周囲を一周して植生を観察する機会が1日だけありました。 しかしその日は朝から雨、風も強く富士は雲にすっぽりと覆われています。バンで箱根を出発したときは雨と風が止んで瞬時一部姿を現しました。 その後静岡を回っている間は裾野の3合目位までは見えても上部はまったく見えません。
研修員全員まだかまだかとじりじりし、塞ぎこんできます。 静岡から山梨へと回ったあたりで風の向きが急に変わり雲を吹き飛ばしてほんの僅かの時間でしたが富士の全容を見ることが出来ました。 大歓声です。研修員と研修監理員は運が強くないといけません。

どのような点でやりがいや仕事の魅力を感じられますか?
研修には参加者である研修員がいますし、JICAが用意するプログラムがあり、受け入れ先である実施団体そして講師の先生がいます。 研修員のテーマに対する理解度が均一であることは稀で、語学力レベルも様々です。 プログラムが研修員の求めるものに合致しているか、講師の先生の専門がプログラムの求めるテーマと適合しているか、 様々な組み合わせの可能性があります。すべてが巧く行き研修成果を100%達成して満足して帰国して戴ける場合もあります。 また運悪くどれかが、またはどれもが巧く行かず研修成果が上がらないことがあります。 しかしそのような場合でも研修員が「日本に来て良かった。日本人と知り合えて良かった。」と思って貰えることは、 研修監理員の努力でかなりの程度達成できると思います。逆に「研修効果は100%達成し技術は十分身に付けたけれども 日本や日本人が大嫌いになって帰国した」、のでは何のために日本に来て戴いたのか分からなくなります。 短期間で努力の成果がはっきり見えるという意味で、責任感を満足させ、遣り甲斐のある仕事であると思います。


応募・キャリアについて
この仕事に応募しようと思われた理由・きっかけはなんですか?

気が付いてみると、海外生活9年間、訪問・駐在先は20カ国を超えていました。 先進国も途上国も、アジアも中東もアフリカも、と自分の異文化体験を活かした仕事があるかも知れないと思った矢先に、 JICAの八王子センターでの研修監理員募集の話がありました。
たまたま面接の方が私の中東での現地セミナー参加経歴に興味を示されたのですが、 日本と中東とはある意味で文化的に対蹠的な相違があり、当時の研修監理においても慣れていない研修監理員は対応に困難な場合が多かったようです。
その現地セミナーは外務省の後援で(財)中東協力センターが主催し、ハーバード大学の中東センターが主管となって、 中東地域で経済活動を行なっている日本企業の若手社員に中東の地理、歴史、石油、宗教、文化、政治等を勉強させるためのセミナーで クウェートとヨルダンに1ヶ月間缶詰となって、政府、企業、ジャーナリスト、大学の関係者から講義を受け、現地の視察をするものでした。 ヨルダンでは皇太子殿下の講演と昼食会への招待もあり、中東についてはそれなりに詳しくなりその後も興味を持っていました。 面接のとき私の中東経験に興味を示されたことに私としても興味を持ったために話がとんとん拍子で進んだ経緯があります。

これまでにどのようなキャリアを積んでこられましたか?
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民間エンジニアリング会社(海洋開発)で17年間、鉄鋼会社で10年間勤め、その中で主に輸出、建造工程管理、海外駐在員(北米)、 海外現場プロジェクト業務(インド、北米、南アフリカ)担当として海外ビジネスを経験して来ました。
その後独立し技術知識を活かして翻訳を始めました。
その後の流れの中でJICAの研修監理員の仕事のお話があり、 あまりに面白く興味深いので何と始めてから12年にもなってしまいました。

最後に、応募を考えている方へのメッセージをお願いいたします。
「外国語を知らない者は自国語をも知らない」とゲーテは言いました。 置き換えると「外国文化を知らない者は自国文化をも知らない」となります。 仕事を通じて異文化を知れば知るほど日本の文化の特異性が際立ってきます。同じように研修員が日本に滞在し日本文化に接することによって、 彼らが自国文化をよりよく理解し自国の国造り構想を纏め上げる際のお手伝いをしていることになります。 日本人はなぜ時間に正確なのか、日本の街はなぜこのように綺麗で、安全なのか。 日本には貧富の差がそれほど無く、金銭が全てでない、という考え方があるのか?彼らがこれらを知り、 彼らの知恵のフィルターを通して彼らに合った街づくり・国造りに日本滞在の知識と経験を活かして貰えれば研修の成果が上がったと言えます。 そのような分野の仕事にご興味のある多くの方とご一緒にお仕事ができることを願っています。

本インタビューは、「しごと@JICA 活躍するひとの声」で公開していた内容と同一です。