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地域や団体の特性を活かした草の根レベルの技術協力を目指して  ~市民参加協力調整員の仕事~

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市民参加協力調整員とは

私は市民参加協力調整員として、草の根技術協力事業の運営管理全般に携わっています。草の根技術協力事業とは、NGO、大学、地方自治体等がこれまでに培ってきた経験や技術を活かして途上国への協力活動を企画し、それをJICAが支援、両者共同で実施する事業です。JICA北陸所管の3県(石川・富山・福井)の団体による提案事業は、中国などのアジア諸国の環境分野案件が中心です。

市民参加協力調整員の具体的な業務内容は、草の根技術協力事業への申請を検討している団体からの応募相談、事業提案書の作成支援に始まります。提案された事業が草の根技術協力事業として採択された後は、JICA北陸と団体との間で締結する業務委託契約内容の確認、事業の進捗管理、経費の積算や精算業務などをサポートとします。

また、調査団員として自ら事業現場を訪問し、現場視察を行うこともあります。また、関係者からの聞き取りをもとに問題点を洗い出し、実施団体が、その後の活動に活かすことができるようにサポートをします。市民参加協力調整員は、これらの業務をJICAと実施団体との間に立って進めていきます。

草の根技術協力事業(中国内モンゴル)

私が担当している案件のひとつに「中国内モンゴル自治区アラシャン盟における包括的貧困遊牧民の生活支援と地域住民の環境教育を通じた砂漠化防止事業」(2007年4月~2010年3月、実施団体:NPO法人世界の砂漠を緑で包む会)があります。同事業は、遊牧民の主な収入源を、放牧から現地政府が買い取る「灌木種子の採取」に移行することにより、放牧による砂漠化の進行を遅らせ、同時に現地政府の緑化事業を促進することを目指しています。事業の進捗管理や予算管理を中心とした事業全体の運営管理のサポートは、実施団体担当者との電話やメールでのやりとり、面談、活動報告書をもとに行っています。

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2008年3月に調査団として中国内モンゴル自治区にある事業区域を視察した際に、「ここでは事業を実施する場合、外枠を決めてから進捗に併せ中身を少しずつ決めて進めていく。それに対し日本では、外枠だけでなく、その外枠の根拠となる中身もあらかじめ決めて実施するため、途中、活動内容に軌道修正が必要となる。日本のやり方は柔軟性に欠けるのではないか」と現地政府が意見交換の場でもらした本音は印象的でした。

また、遊牧民からは、「できれば以前のように遊牧したい。しかし、そのためには砂漠化を防ぎ、草原の回復を待つことが大事。これが生活を守ることである」との思いが示されました。
この点に関し実施団体からは、「この事業は、種子採種事業導入により、従来の遊牧民の現金収入手段であった放牧からの完全な転換を目指すものではない。遊牧民の伝統的な生活様式を尊重しながら行われる事業である。現地政府も環境保全をめざして牧畜を控え、木や草を植える事業を実施しており、最低限の生活費が遊牧民に支払われている」と説明があり、同事業関係者の砂漠化の防止に向けたそれぞれの思いによって、この事業が動かされていることを実感しました。

地域の国際協力をサポート


私は大学卒業後、民間企業での勤務を経て青年海外協力隊と日系社会青年ボランティアに参加しました。その後、大学院で政策科学を専攻し、環境政策について学び、パキスタン・イスラム共和国でボランティア調整員として従事しました。帰国前、JICA北陸で市民参加協力調整員が募集されていることを知り、私の地元である北陸で、これまでの活動経験を活かしながら、地域の国際協力の一助となる仕事ができるのではないかと思い応募しました。

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市民参加協力調整員は、各団体の草の根技術協力事業や市民参加協力事業(海外プログラム)への応募から実施のサポートまでを最も近いところでさせていただける仕事だと思います。各団体とは応募相談の段階からお付き合いさせて頂くので、その団体が提案した事業が採択された時や、事業の実施中に直面する困難な問題が解決した瞬間などは、団体の一員となったかのように達成感を感じ一緒に喜ぶことができます。
これまでの国際協力活動の経験や知識を活かし、地域市民が行う国際協力をサポートしたいと考えている方にはとても魅力的な仕事だと思います。

※本インタビューは、「しごと@JICA 活躍するひとの声」で公開していた内容と同一です。