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地方の水にどっぷり浸かってます  ~技術協力専門家(業務調整)の仕事①~

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100メートルダッシュをくり返す濃密な日々

このポストに就いてから一年半が過ぎた。3年プロジェクトのちょうど半分が終わったことになる。振り返れば「まだ半分?!」と思うほどの"濃密な"一年半であった。
長期専門家の仕事は一般的に、マラソンのように長距離をいかにバテずに走りきり、かついかに結果を出すかが根本的な使命であると思うが、1年目の走り方は100mダッシュを何本も繰り返したような心持ちである。

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現在携わっているセネガルでの「教育環境改善プロジェクト」は、小学校をとりまくコミュニティの力を総動員して小学校をサポートし、コミュニティ全体をもりあげるという、ニジェールの「みんなの学校プロジェクト」に端を発する。コンセプトからしてまさに、教育分野でありながらコミュニティ/農村開発である。がゆえに、教育スペシャリストではなく農村開発が関心事である私にとっては、地方の教育視学官、ローカルNGOとタグを組み、研修開催とモニタリングによって住民の能力強化を活動の主軸とするプロジェクトの活動内容が実に面白い。そして私にとってこのような経験は、今回で2度目となる。

二足のわらじで初挑戦

1度目は、2003年、企画調査員としてJICAセネガル事務所に着任した際である(3年間勤務)。この時がJICA/ODAでの初仕事、初途上国長期滞在、初西アフリカ上陸であった。
それまでは、国際NGOの日本事務局で5年間勤務した後、仏留学を経験したことはあったが、NGO時代の短期出張以外に途上国で長期滞在した経験も、協力隊経験もなかった。そもそも途上国で生活ができるのだろうか、学業と生活以外で使ったことのないお粗末な仏語で、はたして仕事になるのだろうか、というのが当時の大きな不安であった。

企画調査員時代の着任2年目、ローカル機関と共に住民の能力強化を図った小規模なパイロット・プロジェクトを立ち上げた。プロジェクトメンバー全員の力がうまくかみ合い、機能的に作用するよう、また、メンバーにプロジェクトへの執着・愛着を持って仕事に臨んでもらえるよう、その雰囲気と信頼関係作りに邁進した。そしてこの経験から、現地NGO等、地元住民の生活習慣やメンタリティを熟知するローカル・リソースを駆使することによって良質の農村開発案件に近づけられるという確信を得た。

 

そして2度目のセネガル。前回とは違う初挑戦が続いている。異なる複数のローカル機関と日本人専門家で一つのチームを形成しているという、プロジェクトの実施体制は前回同様であるが、今回は住民参加専門家/業務調整という二足のわらじポストに臨むことになった。

今回私には、総務・経理・広報・ローカル人事を扱う業務調整(ロジスティック、アドミニストレーション)業務と、自身の専門分野の専門家業務、さらにプロジェクト・リーダーが意思決定に至るまでのディスカッションによる統括サポート機能という役割がある。これらをいかに、プロジェクトにとって最もバランスよく、そして自身も納得のいくようにこなせるか、これが想像以上の難業であり、挑戦の所以でもある。

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私たちは首都ではなく、地方都市に小さなプロジェクト事務所を構え長期滞在している。そこを拠点に酷暑の時期は気温50度にもなるプロジェクト・サイトを、NGOやカウンター・パートと共にモニタリング巡回するのだ。そして共に研修を開催し、その準備段階ではリーダーが最終決定するモニタリングの手法やツールの打合せを行い、研修前にはプログラム内容を推敲し、微修正するための打合せを重ね、策定過程に携わる。

と同時に、複数稼動するモニタリング車輌のガソリン代の見積もりや現場巡回時に欠かせない大量の飲料水準備等のロジスティック業務、ローカル・スタッフの給料計算や事務所家賃、光熱費支払い等々のアドミニストレーション業務、ローカルNGOの会計処理精査や契約活動費の支払い等の財務の立場からの現場オペレーションを行う。
そしてさらに、日々の小口現金出納や会計書類作成等の経理業務、事務所内部や車輌修理の庶務と管理、広報紙の作成やラジオ放送等の広報業務、これら全てを並行して行う。

最善の結果を得るための「距離のとり方」

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目下直面している難業は、首都レベルとは大きく異なる、決して高いと言えない地方レベルの生活や人材に慣れること。
また、プロジェクトの「中」で共に活動する、多弁で誇り高き、そして権威主義でもある、到底一筋縄ではいかない地方のカウンター・パートたちとの距離のとり方である。
近すぎて馴れ合いにならないよう、また遠すぎて意思不疎通に陥らないよう、プロジェクトの全容を見ながら、プロジェクトとして最善の結果が得られるための意思決定や、押したり引いたりのコミュニケーションもまた、専門家の大きな役割であるが、これが本当に難しい。

 

こんな中で、プロジェクトをもりあげようとするローカルNGOやコンサルタントの辛抱強さ、ローカル事情を熟知する彼らならではの配慮を伴う、ひたむきなプロフェッショナリズムに支えられ、二足のわらじの格闘は今も続いている。

※本インタビューは、「しごと@JICA 活躍するひとの声」で公開していた内容と同一です。