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カウンターパートや住民に自信をつける ~技術協力専門家(技術移転型)の仕事①~

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私が最近携わったJICAの仕事は、ニジェール国「住民参画型学校運営改善計画(みんなの学校プロジェクト)」とマリ国「学校運営委員会支援プロジェクト」という2つの案件です。現在、コンサルタント会社に所属しているため、両方とも公示情報を見て会社を通じて応募し*、短期専門家として派遣されました。

*業務実施契約(単独型)は個人での応募も可能です。個人での応募が可能な案件は『PARTNER』求人情報に掲載されています。



みんなの学校プロジェクト
ニジェール「みんなの学校プロジェクト」は、2004年1月に開始され、現在はフェーズ2を実施中です。プロジェクト活動の柱は、1)学校運営委員会の民主的な設立、2)学校活動計画の策定・実施・評価、3)モニタリング体制の構築の3つで、住民が持っている力を少しずつ高めていくことで、ニジェールの教育を改善していくことを目的としています。

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少し具体的に説明すると、まず、住民総会で、民主的に「学校運営委員会」を設立してもらい、住民“みんな”の学校への関心を高めることからはじめます。続いて学校運営委員会は自分たちで学校活動計画を作成していきます。この学校活動計画には、住民自身の力で実施可能な活動のみが組み入れられます。このため、計画作成のプロセスでは、住民自らが学校に関連する問題を分析し、解決策、予算化などについて十分に話し合うことに重点を置きます。計画を実行に移すために必要な分担金、資材や労働力をすべて住民が提供するという、100%住民自身の力による活動が可能となるのです。

現地で実施された活動には、就学促進のための啓発、補習授業、仮設教室やトイレの建設、教材の購入のほか、手工業や農業など地域に根ざした授業などがあります。

一方で、プロジェクトでは、こうした住民による活動を支援するためにカウンターパート*の能力を高める活動にも力を入れています。特に、学校運営委員会がカウンターパートから適切にアドバイスや指導を受けられるようなモニタリング体制の構築を行ってきました。

私が携わった短期専門家の仕事は、このモニタリング体制の構築に関連して、市レベルに設立した学校運営委員会“連合”の評価を行うことでした。

「みんなの学校プロジェクト」が開発したこれらモデルはドナーにも認められ2007年には世界銀行の資金を用いてニジェール全国の9000校への普及が行われました。また、隣国マリへもJICAが広めていくことになり、2008年5月にマリ国「学校運営委員会支援プロジェクト」が開始されました。こうした中で、プロジェクトの立ち上げを支援するために研修計画の短期専門家としてマリのプロジェクトへも従事する機会を得ることになりました。
 

地域住民の努力→誇り→喜び
これらの仕事の中で最も印象に残っていることは、ニジェールにおいて学校運営委員会連合のネットワークを使ったことにより、対象州では、前年度より7000人も多い2万8601人の女の子たちが学校へ入学することが可能となったことです。

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この成果は州内の1800校の村の一つ一つが「なぜ女の子が学校に行かないのか」を分析し、「自分たちでできる活動は何か?」を考え、行動に移したことによって達成されました。住民は「よそ者が村に来て啓発活動を行っていた昔と比べ、今は自分たちで啓発活動を行い、本当に女の子が就学しているか、自分たちで確認していることが大きい」と話していました。このように女子就学やその他の分野で、学校を良くしていくために住民たちが自分たちの力でがんばっているのを見ると、やりがいを感じます。自分の担当している地域の住民の努力は県・州・中央のカウンターパートにとっても誇りとなっており、カウンターパートと喜びを分かち合えるとさらにうれしくなります。



技術協力専門家の役割とは・・・
私は中学生の時に日本や海外で福祉系のボランティア活動に参加しました。高校生の時には、コンゴの孤児を養子として受け入れるなどNGO活動に活発に取り組んでいたフランス人家庭にホームステイしたことがあり大きな影響を受けました。そしてこれらのことがきっかけとなり、フランスの大学院で開発学を専攻し、参加型開発を中心に勉強しました。

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その後、現在所属する(株)アースアンドヒューマンコーポレーションに入社し、小学校建設案件の業務で、住民参加型学校運営のモデル作りに携わりました。それ以降6年間、西アフリカを中心に開発調査や技術プロジェクトに関わっています。

技術協力専門家の仕事は、自分の専門性を活用し、自らの力で途上国の問題を直接解決していく仕事ではないと私は考えています。住民でもカウンターパートでも誰かから押し付けられたことはやりたくないものです。自分自身で考えたことの方が一生懸命実施します。
そういった意味で、住民が住民自身で問題を解決していくことができるような環境を整えることが大切です。また、こうした環境整備を進めつつ、住民の活動をサポート・指導していくカウンターパートへも、問題を発見し行動するような場を提供することが技術協力専門家の役割だと考えています。もちろん幹となる専門性を持ち、それを常に高めていくことが基本となりますが(これは自分自身の課題でもあるのですが)、それと同時に自分の専門に固執しすぎたり、専門知識を押し付けたりしないことも重要だと考えます。

*カウンターパート:技術協力プロジェクト及びその他の国際協力事業において、技術移転や政策アドバイスの対象となる相手国行政官や技術者を指します。

※本インタビューは、「しごと@JICA 活躍するひとの声」で公開していた内容と同一です。