広報のチカラ。ソーシャルメディアの活用術

第1回 ソーシャルメディアがもたらす3つの意義

  • ソーシャルメディアは単なる広報ツール以上の価値がある
  • 利用するのは簡単だが、「活用」するためにはトレーニングや試行錯誤が大切

第一弾「IDENTITYを強くする広報のチカラ。」では、広報効果をアップする様々な方法が紹介されました。
第二弾となる本シリーズ「広報のチカラ。ソーシャルメディアの活用術」は、この連載が終了するときには、皆さんのソーシャルメディア「活用」を進めるための教科書となるようにしたいと考えています。ソーシャルメディアの使い方が「そもそも分からない」、使っているけれど「使いこなせていない」、という悩みを抱いている方のお力になれるはずです。

第1回では、「ソーシャルメディアは団体にとって何を意味するのか?」というテーマで、ソーシャルメディアに取り組む意義を3つの視点から整理していきます。

@ 無料で使える広報ツールとして

まず、マーケティングに対して予算を割きにくい団体にとって、無料で使えるソーシャルメディアは、広報面で有効なツールとなります。

公式ウェブサイトやメールマガジンに次ぐ、新しい情報伝達手段として活用できるはずです。ソーシャルメディアはその利用者層から、特に「ITリテラシーの高い若年層」に情報を届けるために活用することができるでしょう。

A 共感を広げ、ファン・支援者を集めるツールとして

ソーシャルメディアの醍醐味は、単なるプッシュ型の自社情報の配信ではなく、ファン・支援者を集めるネットワーク力にあります。

支援者を集める手段は様々ですが、「団体が属する業界に関心がある人々に役立つ情報を発信する」ことは、団体のファンになりうる人々を寄せ付ける効果的なテクニックです。例えばフローレンス* の代表駒崎弘樹さん(@Hiroki_Komazaki)は、NPO/NGO業界に興味がある人々が関心を持つような情報(「新しい公共」円卓会議の実況中継など)を発信し、1万人以上のフォロワーを集めています。「役立つツイート(やブログ記事)」から団体の存在を知り、支援者となる、というプロセスをソーシャルメディアで実現することができます。

また「ファンに情報発信を支援してもらう」という視点もソーシャルメディアの活用を考える上では非常に重要です。いわゆるインフルエンサー(影響力の高いユーザー)が団体のファンになってくれれば、情報発信力は飛躍的に高まることでしょう。
* フローレンス:「IDENTITYを強くする広報のチカラ。@AEGHのアドバイザーである岡本佳美さんがマーケティング担当理事を務めるNPO法人。

B 組織内外とのコラボレーションツールとして

ソーシャルメディアの特徴の一つは、組織内外のコラボレーションを促進する力があることです。 例えば私がお手伝いしているエイズ孤児支援NGO・PLAS(以下、プラス)では、スタッフ全員がツイッターを使うことにより、
  • スタッフ間の相互理解が深まった
  • 過去に関わったボランティアの方がもう一度団体に関わってくれ
  • ツイッターで知り合った方がプロボノとして協力してくれた
  • 団体についての課題をツイートしたところ、フォロワーの方が知恵を貸してくれた
  • ファンがPLASに関する情報を自発的に広めてくれた

といった好影響が見られました。

ソーシャルメディアを活用することで、情報のネットワークが構築・活性化され、組織内外の力を借りることが容易になります。

「共感」が事業の鍵となるNPO/NGOはソーシャルメディアに向いている

ソーシャルメディア上で発生する多くのアクションは、「共感」がトリガーになります。例えばフェイスブックで発生する「いいね!」などはその最たるものです。皆さんの事業やビジョンに共感した時、多くの人は「いいね!」をクリックし、情報を購読したり、情報を友達に伝えたりしてくれることでしょう。

私自身、企業のマーケティングも手がけておりますが、一般的にNPO/NGOの方が「いいね!」や「RT(リツイート)」が発生しやすいことを実感しています。例えば2010年6月にプラスが行った「1 tweet, 1 SMILE」では、宣伝コストを一切使わず、1週間で1,050人のユーザーに、6,500回以上のツイートを発信して貰うことに成功しました。コストゼロで6,500回ものアクションを発生させることができたのは、「エイズ孤児」という問題に取り組むPLASに、多くの人が「共感」し、応援してくれたからだと考えられるでしょう。

一方で、多くのNPO/NGOはソーシャルメディアを「一方的な情報配信ツール」としか使えていない現状も指摘できます(上記@の使い方)。上で指摘したように、ソーシャルメディアはそれ以上の可能性を秘めています。適切に活用することができたとき、支援者の輪は拡大し、組織内外のコラボレーションも進んでいくことでしょう。

ソーシャルメディアを「利用」することは簡単です。しかしながら、ソーシャルメディアを「活用」していくためには、先行事例の学習を始め、担当者の方の試行錯誤、組織の中での教育・成功体験の共有が不可欠となってきます。

本シリーズでは12回に分けて、ソーシャルメディアの「活用法」について解説していきます。ぜひ記事をお読みいただき、実際にアクションを取り、組織の中に「ソーシャルメディア」という新たな道具を浸透させていってください。

第2回では「ツイッターは誰が担当する?」、第3回では「代表にツイッターをやってもらうためには?」という内容でお届けしていく予定です。

【著者プロフィール】
イケダ ハヤト | マーケティングコンサルタント/ブロガー

企業のコンサルティングの傍ら、NPOのマーケティングコンサルティングを行う。
著書「フェイスブック 私たちのビジネスと生き方はこう変わる(講談社)」。
『ご意見・ご質問のある方はお気軽にお声を掛けてください。』

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