国際協力の世界を読む


国際協力人材セミナー in 東京

 2010年3月20日、JICA東京において「国際協力人材セミナー in 東京 『国際協力事業で活躍するには』」を開催しました。

 このセミナーは、JICA事業のみならず、オール・ジャパンの立場から国際機関や開発コンサルティング企業、NGOへの就職も含めた、国際協力事業の動向や、人材に求められる資質や能力、応募方法などについて情報を提供することで、広く国際協力への参加を促進することを狙いにしています。2009年度は、7月にJICA札幌、1月にJICA中部にて開催いたしました。(詳しくは、「国際協力の世界を読む」の「国際協力人材セミナー in 北海道」「国際協力人材セミナー in 中部」セミナーレポートへ)


【 実施プログラム 】

■ 午前の部 ■
 9:25 〜 12:45 JICAセッション(途中休憩あり)

− 開会挨拶(国際協力人材センター長 江種 利文)
− 開催挨拶(国際協力人材部長 西脇 英隆)
− 基調講演 「アフガニスタンの平和をつくる国際協力人材」
         (前JICAアフガニスタン事務所長 企画部 審議役 木邨 洗一)
− 「JICA専門家とは」
  ・ 公募型案件についての説明 (JICA 国際協力人材部 高野 翔)
  ・ 公募型専門家の経験談 (笠原 奈美氏)
  ・ 公示型案件についての説明 (JICA 調達部次長 高田 裕彦)
  ・ 公示型専門家の経験談 (榎木 とも子氏)


■ 午後の部 ■
【1】 13:45 〜 15:00 (選択制) (途中休憩あり)

  □開発コンサルタントセッション
  − 「開発コンサルタントが求める人材像」
     財団法人 国際開発センター 総務部長兼新規事業部長 主任研究員 寺田 幸弘氏


  □NGOセッション
   − 「NGOで働くということ」
     国際協力NGOセンター(JANIC) 事務局次長 富野 岳士氏
   − 「NGOスタッフ経験談」
     日本国際ボランティアセンター(JVC) 広報担当 広瀬 哲子氏


【2】 15:10 〜 17:30 国際機関セッション (途中休憩あり)
   − 「国際公務員になるために」
     外務省総合外交政策局 国際機関人事センター 課長補佐 増尾 秀樹氏

   − 「国際機関の仕事について」
     国連開発計画(UNDP)東京事務所 広報・市民社会担当官 西郡 俊哉氏


【3】 17:30 〜 18:30 ワンポイント相談コーナー、懇親会(ワンドリンク付き)

 当日は、週末の朝9時25分から午後5時30分という長丁場の実施にもかかわらず総勢192名の皆様にご参加いただき、また質疑応答も活発に行われるなど参加者の熱意が伝わるものとなりました。

JICAセッション

基調講演の様子 JICAセッションの様子

 開会挨拶、JICA国際協力人材部部長西脇よりの開催挨拶の後、「アフガニスタンの平和をつくる国際協力人材」として、企画部審議役(前JICAアフガニスタン事務所長)木邨より基調講演を行いました。

 現在、JICAがアフガニスタンで実施している平和構築・復興支援について、昔同じように途上国であった日本ならではの価値観、JICAと日本の国際協力事業を実施している法人などが現地で「顔の見える」協力をしてきたこと、同時に自助努力、自立発展促進、サステナビリティーを重視してきたことをお話しました。JICAによるアフガニスタンの支援は、空港建設から農業、女性のエンパワーメント、職業訓練、母子保健など、幅広い分野で実施されています。

 様々な専門性を必要とするJICAによる支援の現場では、これまで国際協力とは異なる業種で専門性を積み重ねてきた方々が参加する余地もあるとして、基調講演を締めくくりました。

 続いて、公募案件と公示案件をそれぞれ担当するJICA職員により、応募書類やプロポーザル作成に生かせる求人情報の読み方のポイント、面接やプロポーザル選考に際し重視されるところなどについて、説明をしました。

 続いて、公募型/公示型各案件の専門家経験者からは、自身の経験に基づいて、応募書類作成のコツや、自己アピール策についてお話しました。特に、公示型専門家経験者からは、個人コンサルタントならではの苦労話や、スキルアップのために実行していることなどにも触れました。

 以下、来場者の皆さまからのコメントの一部です。


■ 午後の部は、二部構成となっており、前半は、開発コンサルタントとNGOの両セッションを選択参加式で開催し、後半は国際機関のセッションでした。

開発コンサルタントセッション

開発コンサルタントセッションの様子 

 (財)国際開発センター(IDCJ)の総務部長兼新規事業部長 寺田 幸弘氏を講師に迎え、「開発コンサルタントが求める人材像」についてお話ししました。

 まず、開発コンサルタントの仕事について、続いて採用の実際について、採用側の視点から、応募書類の傾向を踏まえながら説明しました。自身の経験と実績を自分の言葉でアピールし、組織の運営や拡大に、役割を担って貢献できる人材と伝わってくるような応募書類、つまり、採用担当者が応募者のキャリアを理解し、共感を得るような書類というのは、多数の応募書類を読んでいても少ないというのが現実です。求められるのは、業務の難易度の高低を網羅したマルチな能力、常に「足りない」仕事環境への対応力、プロジェクトマネージャーとしてチームワークを運営する実行力と責任感など、寺田氏がこれまでに見てきた例なども織り交ぜてお話しました。

 また、開発コンサルタント案件の経験の有無に関係なく、独自の「ウリ」やアピールポイントが重視されること、そしてなるべく多くの企業へ応募しながら開発コンサルタントについて知ることが、求める仕事を得る近道であることにも触れました。

 最後に、長期の海外出張が不可欠となることから、自身のライフサイクルの中で海外出張が困難な時期もあることや、開発コンサルタントは決して安定職ではないことなども覚悟して応募することも大切であることに触れて、質疑応答の後、セッションを終わりました。

 以下、来場者の皆さまからのコメントの一部です。


NGOセッション

NGOセッションの様子 

 日本有数のネットワーク系NGOである(特活)国際協力NGOセンター(JANIC)より、事務局次長 富野 岳士氏と、1980年の設立以来30年近い国際協力の実績を持ち、現在はアジアからアフリカまで世界10ヶ国で様々な活動を行っている(特活)日本国際ボランティアセンター(JVC) 広報担当 広瀬 哲子氏によるセッションを行いました。富野氏も広瀬氏も、共に民間企業からNGOに転身したキャリアを持っています。

 富野氏よりは、「NGOで働くということ」と題し、ODAや企業とNGOとの違いをはじめ、NGOによる支援活動の特徴について説明しました。さらに、財源や事業形態、職種、有給職員数や職員の年齢層、給与や在職年数に至るまで、JANICによる統計データを示しながら「NGOの概況」について説明しました。

 続いて、実際に世界各地で、長年にわたり支援活動を実施しているNGOであるJVCの広瀬氏から、同センター職員を例に、「NGOの仕事とは」についてお話しました。JVCで広報業務を担当する広瀬氏は、海外の現場にも出張し、広くJVCの活動を知ってもらうため、支援現場で直接見たものを分かり易く、正確に伝える広報を目指し、広告制作会社での勤務経験を生かしながら活動しています。

 従事する機会もあることから、一般常識やビジネスマナーを身につけていることも求められます。実際JVCスタッフには、企業から、専門職から、他のNGOから転身した様々なキャリアを持つ人材が活躍しており、中にはボランティアからスタッフへ登用された例の紹介もありました。

 NGOスタッフを目指すのであれば、「熱い心と冷静な頭脳」のバランス、ボランティアなどで何らかのアクションを起こしてきっかけを作ることが大切であること、また限られた人員で組織を運営し、活動を行っていくことから、専門だけではなくプロジェクト管理や事務処理など実務能力、同時に高いコミュニケーション能力が求められるということが、両氏の講演に共通して言及されました。

 以下、来場者の皆さまからのコメントの一部です。


国際機関セッション

国際機関セッションの様子

 午後の部の後半は、国際機関セッションでした。今回は、外務省 国際機関人事センター課長補佐 増尾 秀樹氏より、国際機関の人材採用の現状をはじめ、採用方法、外務省によるJPO制度について、さらには空席広告の読み方、求められる人材像や応募に際し準備すべきことまで、幅広く説明しました。当セミナー来場者の年齢層は幅広いことから、大学院生やシニア層も参加可能な国連ボランティアやインターン制度、国内の大学が実施する人材育成プログラムについても触れたことで、より多くの方から国際機関への関心をお持ちいただけるセッションとなりました。

 また、国連分担金の割合に対し、国連で勤務する日本人職員の数が不足している現状から、国際機関人事センターが日本人職員採用を促進するため、様々な広報活動や情報提供を行っていることをお話しました。

 情報収集能力、実務経験と専門性、海外留学・勤務経験、高度な語学力が求められるのはもちろんですが、国際機関を目指す際、なぜ国際機関で自身の専門性を生かすのか。国際機関に入ることではなく、この志望動機の実現こそがゴールであるということも、多くの志望者がいつまでも国際機関で活躍するカギとなることも言及いたしました。

 続いて、UNDP東京事務所の広報・市民社会担当官である西郡俊哉氏より、国際機関で実際に経験してきた仕事や国際機関で働くことの魅力について、お話しました。西郡氏は、民間企業からJPOを経て、国際機関職員というキャリアを積み重ねてきました。

 まずは、国連システムについて、UNDPの事業紹介及びUNDPが目指す目標について紹介しました。
 西郡氏がJPOとしてモンゴルで携わった「貧困削減」プロジェクトについての経験談を踏まえ、現地の人びとが真剣に生きている姿に共感したこと、世界経済に左右されるような貧困層の人びとを生まないために、現地の人びとと協働できる仕事をしたいと感じたこと、そして現在は東京で、いかにしてフィールドに日本のものを届けるかを考えながら、日々活動していることなどを、お話しました。

 また、国際機関にはスキルアップのための講習もあり、こうした場で多人種・多文化という様々な背景を持つスタッフが集まることで生まれる「非効率」さが、国連の魅力であるとお話をして、講演をくくりました。

  なお、各講師のセッション後には、質疑応答コーナーも設けました。
 以下、来場者の皆さまからのコメントの一部です。

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