2011年12月10日(土)にJICA横浜において、「国際協力人材セミナー in 横浜」を開催いたしました。
当日は、206名の方々にご来場いただきました。
当日の各プログラムについて、レポートします。

午前の部 JICAセッション

午前の部:JICAセッションの様子 はじめに、JICA国際協力人材部次長より、最近の国際協力の潮流として、国際協力実施機関と民間企業との連携についてお話しました。

 続いて、JICA横浜次長より、JICA横浜が一般の方々へ提供しているサービスや、施設の概要についてご案内いたしました。

 セッションのスタートは、JICA国際協力人材部、及びJICA調達部による、JICAの主な外部人材リクルート方法である「公募/公示」案件についての講演から始まりました。PARTNERを使った募集案件の読み方や応募に際しアピールすべきポイントについて説明し、以下各専門家経験者の講演へと続きました。

公募型専門家経験談−野口 義明(のぐち よしあき)氏

 大学卒業後は、途上国に強い企業として志望したトヨタ自動車に就職し、7年間、生産管理部門を中心に、本社、海外事業体、工場で業務経験を積みました。トヨタ在職中にMBAを取得し、国際協力のキャリアを目指すために退職しました。退職後は、政策研究大学院大学(GRIPS)の国際開発プログラムに進学し、在学中にUNIDO(国際連合工業開発機関)エチオピア事務所で5ヶ月間インターンを経験しました。
 その後、2009年4月よりエチオピアの産業開発に関する企画調査員として、初めてJICA公募型専門家を経験しました。現在は、2012年から携わる予定のガーナの産業振興に関する企画調査員としての準備を進めています。
 エチオピアでの公募型専門家としての成果は、在任中の「Kaizenプロジェクト」の実績により、エチオピア政府直轄の「Kaizen機構」が設立されたことです。このプロジェクトでは、お金をかけずに現場の智恵で、品質管理と生産性向上の達成ができるという「Kaizen文化」の重要性を、日本人コンサルタントにより伝えることができました。その結果、現在同プロジェクトの第二期がスタートしているところです。また、このプロジェクトにより、日本が中小企業を支援する国であり、例えばソニーのような大企業も中小企業から発展して現在のような規模まで成長したということが相手国に理解されたのです。エチオピア政府は、自国の中小企業支援のため、日本のノウハウを学ぶべく、6名のミッションを派遣し、私がそのアテンドを務めました。
 公募案件への応募のためには、PARTNERのメールサービスに自分の専門分野を登録すると、PARTNERホームページを見なくても、新着の公募案件情報が入手できます。また、原則、案件の併願はできないことから、この先にどのような案件が出るのかについての情報収集が必要です。PARTNERでプレ公募を閲覧することをお勧めします。また、案件の選択には、自身のキャリアの方向性や、スキルや経験が応募条件に合致するかを考える必要もあります。
 応募書類作成に際しては、当該国やセクターの情報収集も十分に行うようにしましょう。
 面接に進んだら、自分で作成した業務企画書について説明することになります。私の場合、人脈作りに努力してきたことをアピールできたことが、採用につながったのではないかと考えています。

公示型専門家−臼井 寛二(うすい かんじ)氏

 大学卒業後は、青年海外協力隊に参加し、帰国後は大学院で博士号を取得しました。修了後は、海外研究機関の研究員としてキャリアを築き、JICAジュニア専門員と企画調査員を経て、個人コンサルタントとして独立しました。環境アセスメントを専門分野に、20数件のJICA案件に携わってきました。
 (臼井氏を含め、他の公示型専門家の例を示しながら)若手のキャリア形成期は、NGOボランティアや国際機関インターン等による海外経験と、大学院での修士号取得や技術士等の資格取得や論文執筆といった実績を積む方が多いです。ベテランになったら、学会や技術団体等での活動も、専門家になるためには有利となるでしょう。
 公示型専門家として活躍するには、民間の開発コンサルタント会社に所属するか、個人コンサルタントとして案件を応札することとなります。応札には、PARTNER国際協力人材登録が必須です。PARTNERのメールサービスも活用すれば、希望分野の案件情報を入手することもできます。
 選考では、類似業務の経験が最も重視されます。学歴や関連分野の資格は、さほど重視されない点に注意が必要です。また、案件に関する情報について知識があることも重要なポイントです。もし、知識不足の案件があったら、JICA図書館でチェックできるので、活用しましょう。
 プレゼンテーションまで進んだ場合は、5〜10分程度で簡潔に説明しなければなりません。ポイントは、問題点を整理し、解決方法を明示することです。加えて、面接官が知らないであろう情報を盛り込むのも効果的です。
 個人コンサルタントは、自分のペースで仕事ができることがメリットです。但し、常に仕事があるとは限らない不安定さがデメリットとなります。そこで、個人として独立するためには、大学教員や講演、研修の講師等を務めるといったような、複数の収入源を持つことが望ましいです。併せて、大手のコンサルタント会社にはない独自のスキルや能力とネットワークを持ち、アピールできる業績が豊富であれば、なお有利になると思います。JICA専門家は、大変なこともありますが、楽しい仕事です。

午後の部Ⅰ

開発コンサルタントセッション
八千代エンジニヤリング(株)−小宮 雅嗣(こみや まさつぐ)氏

開発コンサルタントセッションの様子 開発コンサルタントは、国際機関やJICAが途上国援助の企画立案や、開発プロジェクトの効果的な運営管理等を行う場合に、高度な専門技術と経験を基に、中立的な立場から、支援地で様々な調査や事業を実施しています。
 開発コンサルタントのキャリアパスは、大学院卒が多く、八千代エンジニヤリングのコンサルタント145名中、同業他社からの転職組を含めた中途採用が半数以上、青年海外協力隊経験者が15名で、平均年齢も高めとなっています。
 また、開発コンサルタントに求められるのは、復興支援プロジェクトを例に挙げるなら、次のような人材像です。

  • ・短期決戦の集中力。
     (緊急であるが故に短期決戦となり即断即決が求められる。)
  • ・”One for All. All for One.”の精神。
     (チームワークができ、自分のポジションを確認しながらチーム全体が効率的に機能するよう自分を活かせること。)
  • ・やり遂げる使命感。
     (被災地は衛生状態も悪く劣悪な環境であるだけでなく、生活物資の不足と活力を失った住民で緊張感と悲壮感が漂っている。そのような状況下で、「世界の注目の中、日の丸を背負って貢献し被援助国の復興を願うというコンサルタント魂と使命感」が持てることが不可欠。)
  • ・クールな精神力と人間的な明るさ。
     (感情に溺れず冷静に状況を分析し、実現可能で効率的な計画を実行するクールな精神力と、活力を失った人々に英気を与える明るい振る舞いと、楽しく仕事をする人間力が必要。)
  • ・国際競争に打ち勝つビジネスセンス。
     (国際協力の現場は、各国の権益と思惑が交差する熾烈な国際競争の場。ビジネスとして他国の動きを牽制しながら、政府の意向を汲んで日本の顔の見える計画を実行するしたたかな技量も必要。)
  • ・リスク管理と保身術。
     (海外では、自分の身は自分で守るのが原則。危機管理能力と保身術を向上させる努力も必要。)
  • ・相互信頼の絆。
     (誠心誠意の汗と努力を見せ、信頼関係を築くことのできたプロジェクトは、心地よく、成功裏の終結が約束される。)

 もう一つ、チームリーダの要件である「CHAMPION」をご紹介します。

  • CH:Character(人格)に優れている人
  • A:Authority(威信)を有している人
  • M:Management(管理)能力のある人
  • P:Power(パワー)のある人
  • I:Initiative(主導権)の取れる人
  • O:Organize(組織化)ができる人
  • N:Negotiation(交渉)のうまい人

 なぜ、復興支援を例にしたかというと、復興支援は緊急であり、官民一体で実施し、安定した国への支援計画の3倍ものスピードが要求され、全開発途上国に共通するものです。復興支援は、日本による支援の縮図だと思っているので、ご紹介いたしました。

NGOセッション
(特活)横浜NGO連絡会 エグゼクティブ・プロデューサー 小俣 典之(おまた のりゆき)氏

NGOセッションの様子 3月11日の東日本大震災以降、未曾有の国難時にありながら、国際協力をすることに疑問を感じる人もあると思います。しかし、NGOがこれまでに蓄積してきた海外事業経験が、今回の震災支援の現場では非常に役立っており、現に実績のある団体が現場にいち早くかけつけ、活動に従事しています。そのため、NGOの海外要員を震災対応へ充てている団体もあり、海外のプロジェクトが滞ってしまうこともあるようです。NGOの中には、今回の経験から、人材の大切さを実感したところも少なくないのではないかと思います。
 横浜NGO連絡会は、「地域ネットワーク型NGO」として、地域からの相談受付、地元NGO団体と企業との橋渡し、外務省のNGO相談員も配置し、無料で相談に応じています。
 私自身は、横浜市の福祉専門職員をしていたのですが、NGO同士の連絡の必要性を感じ、横浜NGO連絡会の設立に関わったことが、現在のキャリアにつながっています。
 NGOで働きたい皆さんに知っていただきたいのは、NGOはミッション、財政、活動地域が多様性に富んでいるということです。ですから、情報を抜かりなく集め、自分を冷静に分析し、NGOへの転職に挑戦するプランを立て、時機を見極めることが就職のポイントとなるでしょう。特に、情報収集力でライバルとの差がつくのですが、相談に見える方の中には、情報収集の方法さえ分からないという方が多いです。それから、若い方々や、定年前の方は、ご自身のスキルやNGO団体で自分に何ができるのかが見えていない人も多いです。

 NGOスタッフに求められる人材は、次に挙げるような方です。

  • ・団体が持つポリシーに共感できること。
  • ・語学力があること。
  • ・実務経験があること。
    (スタッフには、文系出身で高学歴という特徴がある。新卒には狭き門。一般企業で海外経験があっても、開発分野では仕事のやり方が異なる。)
  • ・コミュニケーションスキルがあること。
  • ・自己分析ができること。
    (NGOの仕事は多岐に亘るため、このような業務に自分が向いているか見極められること。)
  • ・NGOの給与は生活の維持が厳しいと理解していること。

 こうした点を踏まえた上で、NGOへの就職は冷静に判断して決める必要があります。就職というかたちでなくとも、ボランティアや自ら起業するという選択肢もあり、国際協力に関わるかたちは様々です。また、国際協力NGOにこだわらずに、ご自身の関心次第では、環境系等他の分野で活躍するNPOも選択肢に入れることができるでしょう。

午後の部Ⅱ:国際機関セッション

外務省総合外交政策局 国際機関人事センター 課長補佐 神宮司 英弘(じんぐうし ひでひろ)氏

国際機関セッション(前半)質疑応答の様子 国際機関職員は、日本のように新人を一括採用するのではなく、即戦力採用となっています。採用は、空席公告への応募、国連事務局ヤングプロフェッショナルプログラム(YPP)、或いは外務省によるJPO派遣制度等があります。
 平成24年度のJPO派遣候補者選考試験では、次のような変更点があるのでご注意ください。

  • ・英語のスコアカードをTOEFLで提出すること。
  • ・英語の筆記試験を新設。
  • ・合格者は、選考試験の後、年度内に派遣される。
    (これまでは、選考試験の翌年に派遣であった。変更に伴い、会社員の方等は調整が必要になります。)

 JPO派遣制度の書面審査ですが、単なる足切りではなく、国際機関への応募ではとても重要なポイントです。
 また、JPO経験者の殆どが、現在も国際機関で働いていますが、JPO派遣中に人的コネクションが築かれているからであり、国際機関で職を得ることは、人脈がとても大切だということです。
 国際機関職員に求められる人材は、次のような方です。

  • ・精神的なタフさがある。
  • ・語学力(英語かフランス語で職務遂行できるレベル)と専門性(応募する案件の分野と一致するもの)。
  • ・職務経験(応募する案件の分野と一致するもの)。
  • ・途上国の第一線で働いた経験(UNVやNGO等での現場経験は高評価される)。
  • ・国際インターン経験。
    (但し、職歴にはならず、現役の学生のみが対象となる。UNICEFがインターン採用に積極的。インターンをした機関で、契約コンサルタント→正職員の例もあり。)

国連ボランティア計画(UNV) 駐在調整官 長瀨 愼治(ながせ しんじ)氏

国際機関セッション(後半)の様子 前半の国際機関人事センターのお話を聞いて、「やってみよう!」というよりは、「国際機関職員は敷居が高そう」と思った方が多いようですので、今日は、国際機関で働くためのオプションとして、UNVのご紹介をしたいと思います。
 UNVの業務内容は、ボランティアの調整、派遣、広報活動となっており、平和構築の人材育成に重点を置いております。今後は、ボランティアの認知促進に努め、ボランタリズムと市民参加を開発の指標として取り入れられるようにしていくことも大切な活動となります。
 2011年は、「ボランティア国際年10周年」です。従って、2001年の「ボランティア国際年」以来のボランティア活動の推奨がどのくらい達成されているか確認する年だったので、日本国内で推進委員会を立ち上げ、活動をしようとしていました。その矢先に3月11日の東日本大震災が発生し、これをきっかけに日本がボランタリズムに関心を持つきっかけとなりました。
 しかし、3月11日以降の素晴らしいボランティア活動が、なかなか世界に伝わっていないので、これから積極的に伝える活動をしていかなければなりません。そこで、9月にハンガリーのブダペストで開催された、グローバル・ボランティア会議でアピールしてきました。また、国連総会で、ボランティア国際年10周年をPRすると共に、10周年記念の世界のボランティアに関する初の報告書「ボランティア白書」が出来たことを公式に発表しました。
 私自身が、初めてUNVに関わったのは、東ティモールの独立へ向けた選挙支援ボランティアです。選挙のために、住民登録、証明書発行、有権者名簿を作成する等、ひと月で15,000名の登録をしました。民主的な選挙について説明し、1投票所を任され、選挙を実施し、その後サモアやクック諸島等4カ国の選挙プロジェクトで、プログラム運営管理ボランティアに従事しました。また、プログラム責任者として、UNV本部やUNDPとの連絡調整を行ったり、UNV本部(ドイツ・ボン)でワークショップの実施、ドナーへの報告等をしました。こうしてUNVの内部についても知り、経験したことが、現在のポジションにつながっているのだと思います。
 UNVの特徴は、次のようなところにあります。

  • ・参加しているのは、日本人だけでなく多様。
  • ・一国の利益のためだけではなく、中立性がある。
  • ・成果重視。
  • ・ボランティア対象国のサステイナブル・ディベロップメント(持続可能な発展)も実施。
    (リベリアでリベリア人がUNVとして活動するスキーム「ナショナルUNVボランティア」。)
  • ・PKOミッションの殆どに派遣(現在、15,800人中200人のUNV)。
  • ・国際機関職員のサブとして派遣されることが多いが、特定ミッションのために派遣されることもある。
    (例えば、自動車整備、飛行機の管制官、事務所施工管理、電気技師、無線技師、広報担当等。)

 UNV参加のメリットは、

  • ・国際機関の内部で活動できる機会を得られ、各機関の位置づけを知ることができる。
  • ・平和構築の活動として現場での成果を求められ、成果はキャリアになる。
  • ・生活費のサポートが有り、休暇もある。
  • ・国連で働くための経験が積めて、スキルも身につく。
  • ・現場経験により、専門性を高めることができる。
  • ・人脈が得られる。
  • ・多様性に富んだ現場で意思を共有するので、コミュニケーション能力が高められる。その結果、柔軟性、楽観性が身につく。
   といったところですが、何より、UNVを経験している人はその後、国連やJICAで活躍しており、国際協力の仕事で確実にキャリアアップしています。これが何よりの魅力と言えるでしょう。

当日のプログラム

登録団体出展コーナーの様子 ■ 午前の部 ■
9:25 〜 12:20 JICAセッション(途中休憩あり)

  • −開会、進行説明  国際協力人材センター長 江種 利文
  • −国際協力人材部挨拶  国際協力人材部次長 竹内 淳
  • −JICA横浜挨拶  JICA横浜次長 大川 直人
  • −JICA公募案件についての説明 (JICA国際協力人材部国際協力人材センター課 中堀 宏彰)
  • −公募型専門家経験談 (公募型専門家経験者 野口 義明)
  • −JICA公示案件についての説明 (JICA調達部契約第一課課長 竹内 博史)
  • −公示型専門家経験談 (公示型専門家経験者 臼井 寛二)

■ 午後の部Ⅰ ■
13:50 〜 14:50 (選択参加)開発コンサルタントセッション/NGOセッション

  • −開発コンサルタントセッション「開発コンサルタントが求める人材像」
      八千代エンジニヤリング株式会社 国際事業本部 副本部長 小宮 雅嗣
  • −NGOセッション「NGOで働くということ」
       (特活)横浜NGO連絡会 エグゼクティブ・プロデューサー 小俣 典之

個別キャリア相談の様子■ 午後の部Ⅱ ■
15:00 〜 16:50 国際機関セッション

  • −「国際公務員になるために」
      外務省 総合外交政策局 国際機関人事センター 課長補佐 神宮司 英弘
  • −「国際機関職員の仕事とキャリア構築/求められる人材」
       国連ボランティア計画(UNV) 駐在調整官 長瀨 愼治

■ 個別キャリア相談 ■
10:00 〜 16:15