2012年6月30日(土)にJICA東京において「国際協力人材セミナー in 東京」を開催いたしました。当日は梅雨の合間の30度近い蒸し暑さの中、210名の方々がセミナーにご参加いただきました。ネットワーキングランチ座談会等の特別企画を始めとするセミナーの各セッション・プログラムについて、以下にレポートいたします。

午前の部 JICAセッション

午前の部:JICAセッションの様子1

 午前のJICAセッションは、伊禮国際協力人材部長からの挨拶から始まりました。続いて「JICA人材の紹介」として援助業界の労働市場の現状、JICAにおける職種・人材の概要について説明があり、「公示案件」「公募案件」について、PARTNERを使った募集案件の読み方のコツを踏まえて、応募に際してアピールすべきポイントなどの説明が行われました。

午前の部:JICAセッションの様子2

 専門家経験談としては、まず、公示型の専門家を経験された後藤 哲司(ごとう てつじ)氏より、専門家としての経歴と、応募・選考、実際の活動に至るまでのご経験をお話いただきました。後藤氏からは、ご経験に基づく具体的なアドバイスとして、応募に際して、「所属先がない」・「経験が充分でない」など、選考における弱みとなりうる点がある場合にも、勉強会主宰実績や国際協力専門員とのネットワークをアピールするなど、過去の経験からこうした点を埋め合わせる工夫をすること、また、面接等に際して、他の専門家・コンサルタントにできない自分ならではの強みとなる経験、例えば、ワーキンググループやパイロットプロジェクトなどの経験を前面に押し出すなど、後藤氏が実践してきた実例が数多く語られ、聴講者の方々は熱心に耳を傾けていました。

午前の部:JICAセッションの様子3

 もう一人の専門家経験談として、公募型の専門家経験をお持ちの久保木 勇(くぼき いさむ)氏から、専門家としての経歴と、実際の応募・選考、合格後、さらに帰国後に次の募集へ備えるまでの過ごし方などのご経験をお話いただきました。「プロジェクト内の他の専門家との人間関係における問題が発生したらどうするか」「このプロジェクトが終わったらどうするか」「今回の業務はあなたにとってどういう位置か」など、久保木氏が面接時に訊かれた質問や、帰国後に次の募集に備える際に、資格取得・業界内でのコネクションづくり・情報収集を積極的に行うことの重要性など、専門家を目指す上で参考となる情報が多く語られました。また、長期滞在型ならではの現地への影響力の大きさ、それを通じてプロジェクトの成果が見えたときに自分の貢献の度合いを肌で実感できることなど、久保木氏が業務調整を続けていらっしゃる理由に感銘を受けた方々は多かったのではないでしょうか。

午前の部:JICAセッションの様子4

 JICAセッションの最後は、JICA広尾の市民参加課題支援ユニットでご活躍されている大井 明子(おおい あきこ)氏から、国内事業・市民参加事業の経験談をお話いただきました。大井氏は、大学卒業後に青年海外協力隊員として国際協力に携わって以降、現職に就かれるまで、国際協力推進員・市民参加協力調整員としてキャリアを歩んでこられました。両者の違いとして、前者の役目は「地域に転がっているネタを拾ってくること」、それに対して後者の役目は「拾ってこられたネタを具体的に形にすること」と捉え、その上でご自身のキャリアにおける面白みを、「JICA、NGO、自治体のそれぞれが強みを活かした連携関係を構築し、案件を動かしている実感を得られたこと」であるとのお話がありました。また、国内事業に携わる上で求められる資質として、調整能力とコミュニケーション、積極性に加え、ときに常識的に行動する冷静さを挙げられました。最後に、国内事業における魅力について「国際協力を支える納税者に近い立場で働くことを通じて、結果として途上国支援に貢献できると考えている」と語られ、途上国の現場だけではない、国際協力における一つの在り方を示していただきました。 

午前の部:JICAセッションの様子5

午後の部 個別セッション

NGOセッション

午後の部:NGOセッションの様子

 NGOを支援するNGOとして活動されている(特活)国際協力NGOセンター(JANIC)より、渉外グループの井端 梓(いばた あずさ)氏に「NGOで働くということ」をテーマにお話いただきました。
 まず、「NGOで働く環境」について様々なデータをもとにその実情について説明され、NGOで活躍するためのスキルとして、民間企業で必要とされる主体性や調整力、交渉力、コミュニケーション力などの他に、社会問題への関心や問題意識、ボランティアコーディネーション力が求められるとのお話がありました。また、ご自身の経験から、NGOで働くことのやりがいや、働いてみて感じたこと等を率直なご意見として語られ、最後に、「一生関わっていきたい仕事を見つけることができた」という言葉で締めくくられたのが印象的でした。

開発コンサルタントセッション

午後の部:開発コンサルタントセッションの様子

 独自の技術力でJICAのODA案件にも多数参画されている国際航業(株)より、執行役員 海外事業部長の土井 章(どい あきら)氏に「開発コンサルタントに求められる人材像」をテーマにお話いただきました。
 まず、国際協力にかかわる人たちでも実はよく知らない「開発コンサルタント」という仕事について、他の関係者との関わりも含めた業務の流れを説明されました。また、土井氏が考える開発コンサルタントの仕事とは、「技術を使って開発援助の費用対効果を最大化する」ことであり、同時に「援助国と被援助国との橋渡し役」でもあるとのことです。だからこそ開発コンサルタントに必要な能力は多岐にわたり、高度な専門知識や技術、コミュニケーション力、語学力、交渉力といった基本的なものだけでなく、体力や自己管理能力、危機管理能力など、「途上国の現場で仕事をする」ための能力が重要だそうです。非常に高い能力や専門性が求められる「開発コンサルタント」という仕事ですが、だからこそ「途上国の現場を、そして現状を、自分の技術で変えていける」というやりがいが生まれるのだと思います。

国際機関セッション①

午後の部国際機関セッションの様子1

 外務省国際機関人事センターより課長補佐 伊藤 真弓(いとう まゆみ)氏より、「国際公務員になるために」をテーマにお話いただきました。
 国際機関で働く日本人は増加傾向にありここ10年間では1.5倍に増え、多くの日本人が様々な国際機関で働いているとのことです。国際機関で働く場合、応募要件として目指す分野に関する修士号は必須です。また、ネイティブレベルの英語力は前提条件で、さらにフランス語などの語学力を備えていることも求められます。国際機関の採用は基本的に即戦力採用が前提であることから、記載されているResponsibilities(職務内容)やCompetencies(求められる能力)をよく読み込み、記載された内容のどこの箇所に自分のキャリアや能力が当てはまるかを明確に記載し、自分が即戦力として役に立つ能力を有していることをアピールすることが書類選考を通過するポイントになるそうです。世界中から応募が集まる中で目指すポストを射止めるには、自身の能力を高めることはもちろんですが、書類でも対面でも、相手に自分をわかりやすく伝えるための表現力を磨く必要があるようです。

国際機関セッション②

午後の部:国際機関セッションの様子2

 国連機関の一つとしてニューヨークに本部をおく国連開発計画(UNDP)より、駐日代表事務所 広報・市民社会担当官の西郡 俊哉(にしごおり としや)氏に、「国際機関の仕事について」をテーマにお話いただきました。
 地球規模の国際機関の一つであるUNDPは、「開発課題への取組み」を役割として担っており、途上国にある129の国事務所を通じ、各国の人々とグローバルな課題や国内の課題に対してそれぞれの国に合った解決策が見いだせるように取り組んでいます。国際機関はそれぞれ担当している役割や専門分野が明確なので、まずは自分自身の専門性や取り組みたい仕事の方向性をよく考えて、それに合致する国際機関を研究して働くことを目指すのがよいのではないかとのことです。現在UNDPで広報・市民社会担当官として活躍されている西郡氏ですが、大学院卒業後は日本の総合商社に勤務し、その後外務省のJPO派遣制度を通じてUNDPのモンゴル事務所へ派遣されました。国際機関の職員というと、ニューヨークの国連本部で働いているイメージを思い浮かべる人が多いそうですが、実際にはもっと泥臭い仕事であり、精神的にも肉体的にもタフでないと務まらないと西郡氏は考えていらっしゃるそうです。

■□■□■□■□■□■ 特 別 企 画 ■□■□■□■□■□■

ネットワーキングランチ

ネットワーキングランチの様子1

 JICAセッションと午後の個別セッションの間のお昼休みの時間には、JICAセッションの講演者及びJICA職員を囲んでのネットワーキングランチ(昼食会)を開催しました。
 事前に参加申し込みをして頂いた国際協力人材登録者の方(29名)にご参加頂き、和やかなムードの中、お弁当を食べながら、国際協力談話に花を咲かせました。
 国際協力の現場でどんな活動を行ってきたか、どんなキャリアを歩んできたか等、JICAセッションの講演者及びJICA職員の「生の声」を聞いて頂いたり、国際協力への参加を志す参加者同士で夢や悩みについて共有して頂きました。

ネットワーキングランチの様子2

 参加頂いた方からは、「同じような志を持つ人との会話を通じて、勇気づけられ、自身が目指す方向性を改めて整理することができた。」とのお声を頂きました。
 このネットワーキングランチでの出会いが、参加頂いた方々の国際協力への参加に少しでも役立てば幸いです。



座談会

 午後の個別セッションと並行して、JICAセッションの講演者、JICA職員及びセミナー参加者による、少人数(各回8名程度)の座談会を開催しました。(計3回・各45分)
 座談会においては、JICAセッションの講演者及びJICA職員が、これまでにどのような国際協力キャリアを歩んできたかのみならず、その時々のモチベーションやワークライフバランスといった普段の講演ではあまり聞くことのできないテーマについてお話しいただき、参加者と共に意見交換をしました。
 参加頂いた方からは、「講義形式のセッションとは異なり、その場ですぐ質問できたり、なかなか質問しにくいテーマも気軽に質問できるので、今後もこのような双方向にコミュニケーションを取れる機会があれば、是非参加したい。」というお声を頂きました。
 45分と短い時間ではありましたが、座談会終了後も、参加者の方々がお互いの状況や今後の目標等について語り合っている光景がとても印象的でした。

登録団体出展コーナー

各セッションが行われた講堂前では、昼休み以降に登録団体出展コーナーが開設され、各団体の概要・取り組みを示したパンフレット等の配布、団体ご担当者による活動内容の質疑応答が行われました。参加者の方々は関心のある団体コーナーで熱心に活動内容に耳を傾けていらっしゃいました。

当日出展されたのは以下の団体です。(順不同)

・特定非営利活動法人 日本国際ワークキャンプセンター(NICE)
・特定非営利活動法人 JHP・学校をつくる会
・特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC)
・国際航業株式会社
・外務省 国際機関人事センター
・国連開発計画(UNDP)
・特定非営利活動法人 アジア・コミュニティ・センター21(ACC21)
・公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
・株式会社パデコ
登録団体出展コーナーの様子1
登録団体出展コーナーの様子2

新PARTNER紹介コーナー

 6月18日(月)にPARTNERのサイトリニューアルを行ったこともあり、新PARTNER紹介コーナーを設置しました。新PARTNER機能の紹介に加え、その場で国際協力人材登録ができるよう、PCを用意いたしました。開場してすぐに簡易登録から国際協力人材登録へ登録内容を変更する方がいらっしゃいました。「操作に加え、登録時の注意事項も説明してもらえたので、スムーズに登録ができました。」というお声をいただきました。PARTNERの利用方法のご質問に加え、サイトに対する貴重なご意見・ご要望もいただきました。
 余談ですが、PARTNERサイトを見て、飛び入りで来場された方がいらっしゃいましたが、当コーナーで簡易登録を行いセッションへご出席いただくことができました。(次は事前にお申し込みの上ご来場くださいませ!)



 上記のイベントに加え、個別キャリア相談(一人30分予約制)、昼休みを利用してのワンポイント相談コーナー(一人5分)を実施いたしました。
 (個別キャリア相談につきましては平日木曜日にもJICA本部(麹町)で実施しております。是非ご利用ください。)

 国際協力人材セミナーが、ご来場頂いた方々の国際協力への参加に少しでも役立てば幸いです。当セミナーは今後も開催を予定しております。 今回皆様から頂いたお声を受けて、より良いセミナーを作ってまいります。
 ご来場いただいた皆様、また今回残念ながらご来場することができなかった皆様、次回の参加をお待ちしております。

当日のセミナープログラム




9:20 ~ 12:15 JICAセッション
・開会、進行説明             国際協力人材センター長 江種 利文
・国際協力人材部挨拶 国際協力人材部部長 伊禮 英全
・JICA人材の紹介 JICA国際協力人材部 中堀 宏彰
・「JICA専門家とは」 ~JICA公示案件についての説明~ JICA調達部 三井 祐子
・公示型専門家経験談 公示型専門家経験者 後藤 哲司
・新PARTNERサイトの紹介  
・「JICA専門家とは」 ~JICA公募案件についての説明~ JICA国際協力人材部 朝川 知佳
・公募型専門家経験談 公募型専門家経験者 久保木 勇
・国内事業・市民参加事業経験談 市民参加課題支援ユニット 大井 明子



13:30 ~ 14:30 NGOセッション
「NGOで働くということ」 特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC) 渉外グループ 井端 梓
13:40 ~ 15:40 開発コンサルタントセッション
「開発コンサルが求める人材像」 国際航業株式会社 執行役員 海外事業部長 土井 章
15:50 ~ 16:30 国際機関セッション①
「国際公務員になるために」 外務省 総合外交政策局 国際機関人事センター 課長補佐 伊藤 真弓
16:30 ~ 17:10 国際機関セッション②
「国際機関の仕事について」 国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所 広報・市民社会担当官 西郡 俊哉



12:30 ~ 13:15 ネットワーキングランチ
13:30 ~ 16:35 座談会
  9:00 ~ 17:30 新PARTNER紹介コーナー
10:00 ~ 17:00 個別キャリア相談
12:15 ~ 17:30 登録団体出展コーナー
12:45 ~ 13:15 ワンポイント相談コーナー