「国際協力と日本の地方創生」特集に寄せて ~地域おこし協力隊の紹介

1 地域おこし協力隊とは

 「地域おこし協力隊」とは、都市地域から過疎地域などのいわゆる「条件不利地域」に住民票を移して生活の拠点を置いた方を、各地方公共団体が「地域おこし協力隊員」として委嘱し、「地域協力活動」を進めてもらう仕組みです。
 隊員となった方は最長3年間、その地域に居住し報酬を受けながら、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PRなど地域おこしの支援や農林水産業への従事、住民の生活支援等の「地域協力活動」を行っていくこととなります。
 隊員は、昨年度時点で全国に1500名以上おり、各自が地域で知恵を出し、汗を流して、地域の皆さんと一緒になって当該地域の活性化に大きな役割を果たしていますが、その約8割は20歳代から30歳代、また、約4割が女性であり、若い隊員や女性の活躍も目覚ましい制度となっています。
 また、21年度の制度初年度の隊員数が89名であったのに対し、隊員数は年々着実に増加しており、26年度時点ではその20倍弱となっていることからも、多くの若者等から支持を受けていると言える制度です。
 更に、任期終了後の進路として、飲食店経営やNPO法人設立などの起業、観光協会や道の駅などへの就業、稲作・畑作・林業などによる就農など、様々なスタイルにより、引き続き、同じ地域に定住することを選択される方が約6割に上っており、多くの隊員が約3年の隊員としての活動を通じて当該地域への移住を決めていることも制度の一つの特徴となっています。

地域おこし協力隊①
(地域おこし協力隊の活動の様子①)


2 地域おこし協力隊の魅力

 地域おこし協力隊員は、都市地域等から移住し、新しい土地で地域とのつながりや新たな人間関係を構築しながら、その地域の人々に協力し、又は協力を得ながら、自分なりの地域おこし活動を作り上げていきます。
 隊員を委嘱する地方自治体には、隊員に求める活動の基となる様々な地域課題があり、その課題解決に向けた青写真を描き、取組を計画し、実践し、結果を検証することまで求められることがあります。
 地域おこし協力隊では、隊員に求められる活動の分野も様々ですが、その取組の内容も多種多様であるなど、画一的な活動内容が存在しない反面、任期中の活動内容や結果にいたるまでの道筋は隊員の才覚次第で大きく広がる可能性があることが、制度の魅力の一つと言えようかと思います。
 また、隊員としての活動内容以外にも、活動する新たな土地での地域の人々との様々な交流や新たな出会いなども魅力として挙げられるかと思います。

地域おこし協力隊②
(地域おこし協力隊の活動の様子②)


3 地域おこし協力隊員に求められる資質、国際協力人材へのメッセージ

 制度として、地域おこし協力隊員に必要な資格は1で挙げた都市地域からの住民票の移動のみですが、実際に隊員を委嘱する個々の地方自治体からは、隊員に求める活動内容に即して様々な能力や資格を求められることがあります。
 しかし、地域おこし協力隊員の本旨が当該地域の求める地域協力活動への従事にある以上、委嘱する地方自治体や活動地域の方々とのコミュニケーション、地域のニーズの汲み取り、当該地域の活性化に向けた意欲などが共通して求められると言えます。
 その意味では、NGO関係者や青年海外協力隊員などとして海外で様々な国際協力活動を行って来られた方が有している、様々な経験・ノウハウ・知識、意欲などは、地域おこし協力隊員として地域で活動するに当たり求められるもの、又は有益なものとなるであろうと考えております。
 地域おこし協力隊の活用を希望する地方自治体は昨年度時点で444団体おりましたが、まだまだ増加することが見込まれる上、国としても、隊員を平成28年度末までに3,000名、平成32年度までに4,000名にするとの目標を掲げており、隊員数の増加を引き続き支援していきたいと考えており、国際協力の現場で活躍された経験をお持ちの方には、是非、次の進路として、地域おこし協力隊を考えていただきたいと思います。

地域おこし協力隊 隊員同士の交流会
(地域おこし協力隊 隊員同士の交流会)


■ プロフィール
中村 俊介(なかむら・しゅんすけ)
総務省 地域力創造グループ 地域自立応援課 理事官
1978年神奈川県生まれ。平成12年自治省入省。自治体国際化協会パリ事務所所長補佐、徳島県企画総務部財政課長、総務省自治財政局地方債課課長補佐、在英国日本国大使館一等書記官などを経て、平成27年4月より現職。