2013年12月7日(土)、東北は仙台の仙台市情報・産業プラザ (AER)ネ!ットUにて「国際協力人材セミナーin東北」を開催しました。 「12月に入ってから仙台では小雨や時には雪がちらついたりと寒いですよ」 前文 と聞いており、天気や気温をとても心配していたのですが、当日は曇り(午後に雨が降ってしまいましたが、、)で心配していた気温もそれほど寒くはなく、100名近い方にご参加頂きました。
 12月4日が東日本大震災から1000日目、12月5日が国際ボランティアデー、そして同じ週の12月7日に仙台でセミナーを実施することに鑑み、JICA国際協力人材センターでは、国際協力の経験を活かして復興支援の現場で活躍している方々をぜひ皆様に紹介したく、国際協力人材セミナーとしては初めての試みとなる「パネルディスカッション ~国際協力現場経験と震災復興支援活動の接点~」を開催致しました。
 座談会等の特別企画も含めセミナーの各セッション・プログラムについて、以下にレポート致します。

(当日のセミナープログラムの各セッション・企画のタイトルから各レポートを参照いただけます)

当日のセミナープログラム

時刻 本プログラム
セミナールーム(2) セミナールーム(1)
09:30~10:50 全体セッション
・開会、進行説明
・開催挨拶
・国際協力の全体像
・JICA人材の紹介
・PARTNERサイトの紹介
- 休憩10分 -
11:00~12:00 JICAセッション(1)公募型企画調査員体験談
・事業の説明
・体験談 公募型企画調査員
≪特別企画≫
座談会
・初めての国際協力
- お昼休み -
13:00~14:00 JICAセッション(2)民間企業、地元自治体との連携
NGOセッション
・NGOで働くということ
- 休憩10分 -
14:10~15:10 開発コンサルタントセッション
・開発コンサルが求める人材像
- 休憩10分 -
15:20~16:00 国際機関セッション(1)
・国際公務員になるために
JICAセッション(3)パネルディスカッション
・国際協力現場経験と震災復興支援活動の接点
16:00~16:40 国際機関セッション(2)
・国際機関の仕事について

その他

09:00 ~ 16:30
登録団体出展コーナー
10:00 ~ 16:30
個別キャリア相談
12:15 ~ 12:45
ワンポイント相談コーナー

全体セッション

session1_1  午前の全体セッションは、JICA国際協力人材部部長の挨拶から始まりました。
 今回は東北での開催ということもあり特別企画として「パネルディスカッション~ 国際協力現場経験と震災復興支援活動の接点~」を企画した思いや、JICAが行っている世界の災害支援・復興支援の紹介を通じて、国際社会と日本の互恵的な関係性について触れました。
 併せて、PARTNERが10周年を迎えた報告も致しました。

 続いてJICA国際協力人材部より、「国際協力の全体像」について解説しました。
 「国際協力といえばODA(政府開発援助)」というイメージが世の中の主流でしたが、そのイメージは古いものであり、90年代後半以降は民間資金が急増しており開発途上国では民間企業の存在が大きくなっていること、国際協力の仕事の内容は多岐にわたっており、多様な職種、人材が存在していること、また援助業界(開発コンサルティング企業、国際協力NGO、国際機関や民間企業、JICA職員)とよばれる業界で求められるのは、途上国における実務経験だけではなく、一般的なビジネススキルやマネジメント力等、日本国内での実務経験も求められるので、これからますます援助業界の職種や人材が多種多様になってくると解説しました。
 さらに、勤務体系と業務内容の特徴からそれぞれの職種を分類したマトリックスを基に、マネジメント系(計画・立案・調整タイプ)とスペシャリスト系(実践・現場タイプ)の業務の特徴について説明したうえで、各カテゴリの職種において求められる能力を紹介しました。専門知識や実務経験など求められるものはそれぞれあるものの、根底にあるのは「なぜその仕事をやりたいのか」という動機であること、どのような分野の仕事につくにあたってもこの動機が重要であることが強調されました。
session1_2  また、国際協力人材に求められる6つの資質と能力について説明された上で、職種ごとに求められる資質や能力は異なり、この6つの資質以外にも必要な能力について日々自己研鑽に励むことが重要と解説しました。
 最後に、国際協力の仕事の内容は多岐にわたり、多種多様な人々が関わっていることから、自分がどのような立ち位置で国際協力に関わりたいのかを明確にすること、国際協力業界を目指す動機を確認すること、そして日々の実務経験からの積み重ねを大切にすることがメッセージとして伝えられました。 
 全体セッションの締めくくりとして、PARTNER事務局より、PARTNERサイトの活用方法について、簡単に説明し、PARTNER公式Facebookについて紹介しました。

休憩時間をはさみ、JICAセッション(1)(公募型企画調査員体験談)を行いました。

JICAセッション(1)公募型企画調査員体験談

session2_1  まず最初に、国際協力人材部より、「JICAの仕事及び応募方法の紹介」と題して、様々なJICA人材について契約形態(契約/職員)、職種(マネジメント系/スペシャリスト系)、募集方法(公示/公募)を説明しました。公募については、前回のポストの任期が終わるタイミングで後任ポストの求人が掲載される可能性があるため、過去の求人情報を確認し、準備をすることが可能であると説明しました。

 続いて、JICA公募型企画調査員経験者の三木 俊伸(みき としのぶ)氏に、JICA企画調査員としての体験談を講演頂きました。

session2_2  三木氏は、ネパールの農業や農村の地域研究に関わった後、2004年より在ネパール日本国大使館専門調査員を3年間経験。2007年よりJICAジュニア専門員に採用され、アジア第二部南西アジアチーム(当時)にて、ネパールにおけるJICA事業の戦略やアプローチ方法の検討、予算管理等を担当しました。その後、JICAネパール事務所企画調査員として農業・農村開発・地方行政の業務を経験され、後にJICAスリランカ事務所企画調査員として農漁村・地方開発に携わり、現在はJICA農村開発部特別嘱託としてラオスとミャンマーの案件を担当しています。
 三木氏は現地で一方的にアイデアを出す援助をするのではなく、相手国の方に自ら「こうやりたい」と思う案を出していただけるような仕組み作りを意識していたとのことです。
 企画調査員のやりがいは、相手国政府が持っている問題・課題・将来像を紐解き、支援のための案件を仕立てていくこと、相手国の役に立てる喜び、自分の担当した案件が日本の支援の目玉になっていくことだと話しました。
 また、企画調査員に求められる要素として、以下の7点をあげられていました。

  • 相手の状況を理解し、多種多様な関係者と意思疎通していく力
  • 情報検索のネットワーク、リソースの構築と分析力
  • 努めて想像をめぐらす力
  • 担当セクター・担当事案に偏執しない柔軟性
  • 分野・課題の専門性
  • 事務処理能力
  • 異文化を受容し楽しめるゆとりと気力・体力

 特に開発途上国の現場では、文化や環境を日本と比較せず、現地の方の視点に立って考えることが重要と話しました。
 質疑応答では、参加者の方々から、企画調査員任期中の次のポストにかかる職探しの方法や任期の延長についてなど、多数質問が寄せられました。
session2_3

 お昼休みをはさみ、セミナールーム(2)ではJICAセッション(2)民間企業、地元自治体との連携、開発コンサルタントセッション、国際機関セッション、セミナールーム(1)ではNGOセッション、JICAセッション(3)パネルディスカッションを行いました。

JICAセッション(2)民間企業、地元自治体との連携

 最初の全体セッションでも説明があったように、今の国際協力において民間セクターの活動がなくてはならないものになりつつあることから、実際に民間企業がどのように国際協力の活動をしているのかについて、2名の講師をお招きし、JICAが行っている民間連携事業という切り口から解説を行いました。

session3_1  まず初めに、JICAが支援しているBOPビジネスを展開している東北大学発のベンチャー企業、株式会社TESS代表取締役の鈴木 堅之(すずき けんじ)氏より「ベトナム国際障害者の社会復帰を目指す足こぎ車いすBOP事業化調査(BOPビジネス連携促進)」について講演頂きました。
 足こぎ車いすは、半身が麻痺した方、脊髄損傷などで車いす生活の方でも、人間の反射的な動作を利用した仕組みにより、自分の両足でペダルをこぎ自由に走り回ることができるという最先端の車いすです。自らの足でペダルをこぐことによって、リハビリの効果も期待されています。
 鈴木氏は「障害者も健常者も共に生活に希望を見出せる社会の実現」を目指し、ものづくりに関わる人たちの知恵と技術が集まればきっと役立つものができる、自分たちができないのであればできる人々と連携をとればいい、と熱い想いを持ち資金提供者、協力者を探すため全国をまわられたようです。
 実際に試験導入されているベトナム・バクマイ病院の映像が流れましたが、半身麻痺などで車いす生活をされている方が試乗された映像を見てとても驚きました。皆さんご自身の足で車いすをこいでいらっしゃるのです。自身の足で動けることはもうないと思っていらした方々が「まさか自分の足で再び動くことが出来るなんて!」と大変驚かれ、笑顔になられていました。また、それを見たご家族や病院の先生も笑顔になり、涙を流される方もいらっしゃいました。鈴木氏は参加者の方々へ「日本の未利用特許が国境を越えて、障害者とそのご家族の希望につながることもあるのです」と語りかけました。
 日本企業の知恵や製品が、JICAのBOPビジネス支援事業を通じて海外につながるビジネスへと発展していき、そのビジネスの根底には障害者の社会復帰、開発途上国の社会発展を支援していきたい、という鈴木氏の熱い想いがあるということが参加者にも伝わったのではないでしょうか。


session3_2  続いて、福島県立医科大学医学部准教授、後藤あや(ごとう あや)氏よりホーチミン市医科薬科大学における疫学研究手法研修導入の時のお話を講演頂きました。

 後藤氏は、大学院を卒業後、米国の非営利団体Population Councilのスタッフとしてホーチミン市医科薬科大学にて医師対象の疫学研修を行いました。
 この疫学研修はツーヅー産婦人科病院の医師が、ホーチミン市医科薬科大学(研修主催)にツーヅー産婦人科病院(研修実施)の医師全員に対する研修を依頼し、大学が米国の非営利団体Population Councilに資金と技術協力の援助を依頼したという経緯があったようです。まさに、国際協力団体と大学、病院の連携により成り立ったプロジェクトです。現在こちらのプロジェクトはJICA草の根技術協力事業を活用して運営されています。
 モットーは「交流」という後藤氏。今後も多くの機関と連携を図り、研修範囲を更に拡大していきたい、と期待を込めたお話をされました。

NGOセッション

 NGOセッションでは、国際協力NGOである認定NPO法人 IVYの安達三千代(あだち みちよ)氏に、「NGOで働くということ」をテーマに講演頂きました。

session4_1  まずJANICが発行したNGOデータブックに記載されている日本のNGOの現状調査結果、続いて、カンボジアのスバイリエン州における、IVYの活動内容をご紹介頂きました。スバイリエン州はカンボジア最貧困地帯で、IVYが1999年に活動を開始した際は、年収1万円未満の世帯が42%、米の収穫量は山形県の7分の1程度でしかなく、半年で米がなくなる世帯が半数に上っていたそうです。IVYはポルポト時代の後遺症で孤立する村人たちを組織化する活動を行い、女性組合を設立し、村人からの信頼を高めるための活動を行ったことで、現在では従来あった村の組織よりも信頼されるまでに成長し、中心メンバーは地域行政の役職に進出するほどになったそうです。また、村のセーフティネットとなるよう「米銀行」(米が不足する時期に女性組合の資本金で事前に購入した米を貸し出し、収穫後に利息(米)をつけて返済する仕組み)を創り、10年前に比べて村人の借金を60%から15%まで減らすことができたそうです。
 最後にIVYの運営体制、職務内容・職種、採用方法、在外職員の最終学歴、採用選考基準、待遇などについて説明頂きました。
 在外職員の最終学歴は大学院修士(海外)が44.4%とのこと、採用選考基準については、海外で勤務する職員の場合、「語学力(TOEIC900点以上)」、「専門知識」、「活動への賛同」を重視するとのことでした。
 講演後の質疑応答では、支援地域での情報収集手段、学生のボランティア機会・シニアの働き方、活動地域の選択基準、求められる専門性・語学力の基準、地方で国際協力活動を行うメリット、デメリットについてなど、多数の質問が次々と寄せられ、参加者の関心の高さに、講師・スタッフ一同嬉しい驚きを隠せませんでした。

開発コンサルタントセッション

 開発コンサルタントセッションでは、ODA(開発援助)には欠かせない開発コンサルタントという職業について、2部構成で解説を頂きました。
 前半は開発コンサルティング業界の振興活動を行っている一般社団法人 海外コンサルティング企業協会(ECFA)より、研修・広報業務主任の河野 敬子(こうの けいこ)氏に、そして後半は開発コンサルティング業界最大手の日本工営株式会社より、コンサルタント海外事業本部 開発事業部 事業部長の作中 秀行(さくなか ひでゆき)氏にお越し頂き「開発コンサルティング企業が求める人材像」をテーマにお話頂きました。

session5_1  前半のパートでは河野氏より、開発コンサルタントの概要として、国際協力の世界における開発コンサルタントの位置づけやJICA等の国際機関との関係、またどの様に関わりながら仕事を進めているのかなどについて説明頂きました。
 開発コンサルタントとは、現地政府の要請を受けてJICAや国際機関等の援助実施機関が実施する開発援助プロジェクトを、業務委託により実際に開発途上国で計画立案・設計、技術移転等の仕事をする人材であり、活躍する領域も、農業開発・教育・保健衛生・人材育成・経済・エネルギー・・・など、多岐にわたるとのこと。また、開発途上国等の現場の最前線で仕事をすることになるため、専門性や様々な経験が必要不可欠であり、そのためコンサルタントの年齢層は40代~50代が最も多い構成となっており、20代、30代では国内業務や現場の作業等を通じて修行を積むようなイメージだそうです。さらに最近はシニア層が活躍する場面が増えており、これまでの経験を活かして国際協力の業界へ転職したいとお考えのシニアの方も増えているとのことです。
session5_2
 後半のパートでは、作中氏より実際に開発現場で働いている経験談を踏まえながら開発コンサルタントに必要とされる能力等について講演頂きました。
 ネパール国シンズリ道路建設計画や、インドネシア国バリビーチ海岸保全プロジェクト、インドネシア国バンダアチェ市緊急復旧復興基本計画プロジェクトの様子を写真と共にこれまで担当された業務についてご紹介頂きました。実際に海外で開発コンサルタントとして活躍をされた作中氏のお話を聞くことにより、参加者は開発コンサルタントの業務内容をより具体的に理解し、イメージすることが出来たのではないかと思います。
 開発コンサルタントの求める人材像としては、


  • 人の話を正しく聞くことができ、相手の立場になって考えることのできる人
  • 他人を素直にリスペクトできる人
  • 技術的な探究心がある人
  • 自分の考えを持ちそれを相手に伝えることができる人
  • 文章をまとめ上げることのできる人
  • リーダシップのある人
  • 指導力のある人
  • 異文化に興味の持てる人

 等があげられましたが、多くは会社に入ってから訓練することができるので、まずは広く興味を持ち本気で一歩踏み出せる人材が望ましいとお話されました。
session5_3

国際機関セッション

 外務省国際機関人事センターより、課長補佐の綾部 悟始(あやべ さとし)氏をお招きし、「国際公務員になるために」をテーマに講演頂きました。

 国際機関で働くには以下の5つの応募方法があります。

  • 外務省が行っているJPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)派遣制度への応募
  • 国連事務局のYPP(ヤング・プロフェッショナル・プログラム)への応募
  • 国際機関が実施する若手育成・採用プログラムへの応募
  • 一部の国際機関が実施する採用ミッションへの応募
  • 各国際機関が出す空席公告への応募

session6_1  今回は、その中でも主要となる「空席公告への応募」、「国連事務局YPPへの応募」、「JPO派遣制度への応募」の3点について説明頂きました。
 空席公告とは、国際機関のポストに空きが生じた場合に出される「求人広告」のことです。
 各国際機関の空席公告を合わせると、数百以上の空席公告が出されており、同時に複数の空席公告に応募することも可能です。国際機関で働くための準備として、まず書類選考を通過するためにも空席公告をよく研究し、自分がいかに即戦力となりえる能力を有しているかについて、書類上でアピールするテクニックも必要、とアドバイスを頂きました。
 またJPO派遣制度は、派遣期間終了後、空席公募に応募して正規に採用される必要があるが、日本政府代表部・大使館からのフォローがあるほか、派遣期間中の実績に対する評価や人脈を使って派遣終了後の正規採用に結び付けることが可能となりメリットは大きく、主要国際機関の日本人職員に占めるJPO経験者は多いので是非積極的に挑戦して欲しいとのことでした。


 続いて、国際通貨基金(IMF)より、アジア太平洋地域事務所 (OAP)広報官の関岡 智美(せきおか ともみ)氏に、「国際機関の仕事について」をテーマに講演頂きました。
session6_2
 IMFは1930年代の世界恐慌の原因となった通貨切り下げ競争による悪循環を繰り返さないよう、経済協力の枠組みの構築を目指し1945年に国際連合の会議にて設立が提案された国連の専門機関です。141カ国、約2,500名いらっしゃる職員のうち、半数以上の職員の方がエコノミストとしてご活躍をされ、日本人職員の割合は72名(3%未満)、日本人エコノミストは54名の国連機関です。
 関岡氏はIMFの主な役割として、資金支援、技術支援、国際金融システムの設計、経済のサーベイランスの4点を挙げられました。
 続いて、IMFの雇用機会について説明頂きました。エコノミストプログラムという雇用形態では、加盟国の経済開発や経済政策に関係する業務、金融政策、銀行業務の監督、財政問題などの一般的な政策や専門的な事柄に関する業務を行います。マクロ経済の理論と政策、定量分析の手法、コンピュータ技能に精通し、強いプレッシャー下でもチームの一員として業務を遂行できる能力が求められます。
 また、IMFでは正規職員への道も開かれるミッドキャリア・エコノミストという経験者採用枠もあります。採用の際に要求されるスキルは経験や知識だけではなく、様々な国籍および異なるバックグラウンドの人たちと日々業務を進めていくこともあり、自分が伝えたいことを理解してもらえるようにコミュニケーションを図ることができる人材が求められています。
 広報官に必要な経験・スキルの説明では、実際に関岡氏が見て応募をされた「国際通貨基金アジア太平洋地域事務所の広報マネージャー募集広告」をもとに解説頂きました。
 国際機関の募集に応募するポイントとして、募集内容で求められる要件に対し、自分がいかに要件を満たしているかをアピールし、証明することが必要最低限とされる、とのこと。
 さらにスキル・経験を満たしているだけでなく、自分のスキル、経験が応募先の企業においてどのように活かすことができるのかを明確に伝えるかが重要であり、また、異文化の価値観を尊重、理解し、その上で自分が伝えたいことを、相手が理解できるように伝えられるコミュニケーションスキルが求められる、とのことでした。
 関岡氏のいままでのキャリアヒストリーに加え、IMFで働く職員の方の経歴をいくつかご紹介頂きました。職員の方のご経歴も様々で、国際機関で働きたいと考えている参加者の方々の選択肢も広がったのではないでしょうか。

 講演後、綾部氏、関岡氏とも引き続き会場に残ってくださり、多くの参加者がお二人を取り囲み、熱心に質問をされていました。

JICAセッション(3)パネルディスカッション
        ~国際協力現場経験と震災復興支援活動の接点~

 東北開催ならではの企画として、JICA東北を中心に企画したパネルディスカッションは、80分という長時間に渡るセッションにも関わらず、約50名収容可能な会場がほぼ満席になる状態となり、震災復興支援活動への関心の高さが感じられました。
session7_1  パネルディスカッションは、JICA東北支部がファシリテーターを務め、4名のパネリストが集まり、過去の海外協力活動経験を活かした東日本大震災復興支援の活動ぶりを熱く語っていただきました。
 ハードな生活を余儀なくされたであろう開発途上国での多くの海外経験をもつパネリストの方々でさえも、東日本大震災の前では、あまりの惨状に茫然と立ちつくし、無力な自分を痛感したとの声もあり、今回の震災の大きさを改めて実感するディスカッションとなりました。
 しかし、何もできないと諦めるよりも、何が自分にできるかを模索し、勇気をもって始める小さな第一歩が非常に大事であり、その第一歩を初めに踏み出したパネリストの方々の震災復興支援の取り組みにおいて、開発途上国での活動経験が決して無駄ではなく、大きな接点があったと感じさせられたセッションとなりました。

 一部分ではありますが、パネリストの方の声を紹介したいと思います。
 「震災直後に地元(南三陸町)に戻ったが、そこは、自分がかつて知っている場所ではなく、開発途上国での常に物足りない状況と似ていた。途上国での経験があったからこそ、“足りない、足りないとほしがること”から、“今の自分たちに何ができるかという”頭にすぐに切り替えることができ、集中して作業に従事できた」
 「国際協力活動はたった一人で、資金も何もないところから始めた。今回もそれは一緒であった。本気でやろうと思ったらできないことはない、超えらないはずはないという思いで、今までのことはいったんリセットし行動を開始することができた」
 「開発途上国の勤務にて自分の価値観がすべてではないということを身を持って理解することができた。異なる価値観を持つ人とのコミュニケーションを通し、“自分の考えを押し付けずに相手を「待つ」姿勢”、“忍耐強さ”が身についた。被災地にて業務を進めていく中でも、被災者の話を聞きだすことが重要であった。 相手が伝えたいと思うまで待ち、相手が何を求めているかを知って、それを尊重すること相手に寄り添うことが求められ、途上国での経験が活きたと思う」
 「まず、国内外に関わらず、“その地域のために働くこと”というのは変わらないと思っている。その上で、開発途上国の生活の中で価値観が大きく変わったわけではないが、与えられた“限られた”環境において、まずは自分がどのように地域に貢献できるのか、ということが考えられるようになった。忍耐強く、観察して、分析して、その中で最善の方法を探すように心がけられるようになったと思う」
session7_2  パネリスト(写真右から)

宮城県農林水産部農村復興課
菅野 将央(すがの まさひさ)氏
公益財団法人青年海外協力協会
福永 麻紀(ふくなが まき)氏
NPO法人フー太郎の森基金
新妻 香織(にいつま かおり)氏
NPO法人ピースウィンズ・ジャパン
西城 幸江(さいじょう さちえ)氏

■特別企画■

座談会

 午前のJICAセッションと並行して、「初めての国際協力」をテーマに、JICA職員、セミナー参加者による座談会を開催しました。
 JICA職員よりこれまでどのようなキャリアを歩んできたのかを紹介した後、意見交換、質疑応答を行いました。参加者は年齢も国籍も様々であり、最初こそ緊張した、ぎこちない雰囲気もありましたが、それぞれが抱える悩み・不安について語り、活発に意見を交わすことにより、最後はみなさん笑顔になっていたのが印象的でした。
 最後に急遽オブザーバーとして参加いただいた、一般社団法人 海外コンサルティング企業協会(ECFA)の河野氏、株式会社三祐コンサルタンツ 久野氏に開発コンサルタンティング業界についてご紹介頂きました。
 余談ですが、座談会終了後、「開発コンサルタントという仕事について初めて聞いた。もっと聞きたい」と言っていた参加者が、午後の開発コンサルタントセッションで熱心に聞き入る姿が印象的でした。

 今後もこうした活動を通じて、国際協力を目指す方に有益な情報を提供し、国際協力業界全体を活性化させていくことに寄与できたらと考えております。

登録団体出展コーナー

 今回は、常設展示スペースに、受付開始と同時に登録団体出展コーナーをオープンし、各団体のパンフレット等の配布に加え、活動紹介のパネルの展示を行いました。 session9_1 JICAからもODA事業の説明、開発途上国での震災復興の取り組み、JICA東北での震災復興支援活動のパネルを展示致しました。
 今回も多くの団体にご協力を頂きました。ありがとうございました。

 当日出展されたのは、以下の団体です。(順不同)


個別キャリア相談

 今回も個別キャリア相談(一人30分予約制)を実施致しました。お申し込みありがとうございました。定員数の都合上、当日は10名に対する相談となりました。
 相談された方からは、「自分の経験を活かして何ができるのか、何から始めていいかわからなかったが、沢山の情報、アドバイスをいただいたので、具体的に行動を始めたい」とのお声を頂きました。
 なお個別キャリア相談は、毎週木曜日にJICA本部でも実施しております。 また10月より、木曜夜間、土曜日の実施(不定期)に加え、Skypeを利用した個別キャリア相談を受け付けております。こちらも是非ご利用いただけますようお願い致します。
 なお、対面相談は国際協力人材登録者限定のサービスです。受けたい方は予め登録しておきましょう!

ワンポイント相談コーナー

 昼休みを利用して、セミナールームの一角で、午前中のセッション講師に個別に相談可能な「ワンポイント相談コーナー(1人5分)」を実施しました。ワンポイント相談コーナーを準備している最中にも開始時刻を尋ねてくる人が後を絶たず、相談コーナーが開始された直後には各1名の相談員に対して、常時3人ほどの待ちができる盛況ぶりでした。お昼の休憩時間をものともせず熱心に相談する姿から、参加者の国際協力への熱い思いが感じられた印象的な一幕となりました。
 今回は相談員3名で対応いたしましたが、相談者が多く、対応時間が過ぎてからも、ぜひ相談したいのですが・・とのお声をいただいたため、午後のセッション開始ぎりぎりまで実施したのですが、すべての方に対応することができませんでした。時間切れとなってしまった皆様申し訳ございませんでした。
 是非、前述のキャリア相談をご利用いただければと存じます。
session11_1


 国際協力人材セミナーは来年度も開催を予定しております。
 引き続き皆様に有益な情報を提供できるように、企画してまいりますので、ご期待ください!


PARTNER