留学先の図書館で見つけた、観光開発を通じた途上国支援という道。

堤 香苗さん

開発コンサルティング企業 ユニコ インターナショナル株式会社 40代

  • 開発コンサルティング企業 コンサルタント
  • 民間セクター開発
  • キャリア年表

    大学学部生

    1996~2000年

    法学部法学科で学ぶ。3~4年次の1年間、イギリスの大学への交換留学を経験。

    民間企業

    2000~2007年

    旅行会社2社で、法人営業と国際線航空券販売に携わる。

    大学院生

    2007~2009年

    米国ワシントンDCの大学院で観光経営学修士号を取得。夏休みにグアテマラでのフィールドワークを経験。

    民間企業

    2009~2011年

    ワシントンDCの日系旅行会社で、教育旅行の企画手配やツアーガイドを務める。

    大学

    2011年

    日本の大学で環境人材育成プログラムの特任職員として、留学生対応や研修企画に携わる。

    JICA海外協力隊

    2012~2014年

    グアテマラの西部高原地域で観光業隊員として活動。観光写真コンクールや観光まちづくり教育などに挑戦。

    開発コンサルティング企業

    2014年~現在

    ユニコインターナショナルのコンサルタントとして、主に民間セクター開発分野のJICA案件に携わる。

    日本の経験を伝え、途上国から学ぶ。楽観的かつ謙虚に前進する。

    国際協力に興味をもったきっかけは何ですか?

    高校生の頃、海外で働くことと国際公務員という職業に漠然とした憧れを抱いていました。しかし、大学の国際法の先生が国際援助に批判的な方で、「援助」の名の下にいかに非持続的な開発が行われているかを講義で聞く度に、国際協力に対する興味は薄れていきました。その後、観光経営学を学ぶために留学したワシントンDCの大学院の図書館で「持続可能な観光開発によって開発途上国の貧困を削減することができる」と書かれた本を読んだときに、高校生の頃に抱いていた国際協力に対する気持ちが蘇りました。観光開発を通じた国際協力であれば、私の旅行会社での勤務経験を活かした貢献ができるのではないかと考えるようになりました。

    これまでにどのようなキャリアを歩んでこられましたか?

    大学卒業時は、お客様に喜ばれる旅を提供したいという思いから旅行業界に就職しました。添乗で訪れた信州・上高地でマイカー規制など自然保護の取り組みに触れたことをきっかけに、自然環境や地域の人々の暮らしの保全を意識したバランスの取れた観光地の在り方に関心を持つようになりました。そこで、持続可能な観光地マネジメントを学ぶために大学院留学をしました。大学院修了を控え、観光開発を通じた途上国支援に携わりたいと周囲に進路相談をしたところ、複数の方から開発コンサルタントを勧められました。しかし、まずは現場経験を積みたいと思い、現職に就いたのは、海外協力隊の観光業隊員として活動した後でした。

    現在の業務について、具体的にどのようなことを担当されていますか?

    現在は、コンサルタントとして主にJICAの民間セクター開発分野の調査や技術協力プロジェクトに携わっています。西バルカン地域の4か国における中小企業支援人材制度を維持強化する案件では、ベースライン調査を行ったり、現地パートナーの政府機関職員と一緒に活動の進捗を確認したり、既存の座学教材の改訂を支援したりしています。昨年度は、ある調査の一環で、セントルシアで地域資源のブランド化を通じた経済活動活性化の可能性検証を目的とし、日本の一村一品
    (OVOP)運動をモデルにしたパイロットプロジェクトを実施する機会に恵まれました。現地コンサルタントとリモートでのやり取りを通じて活動を進めました。

    現在の業務でのやりがいや仕事の魅力は何でしょうか?

    限られた期間、予算、スコープの中で山積する課題にどう立ち向かうか。JICA、現地パートナー機関やその他の被益者、そしてプロジェクトチームが納得できる成果をいかに出すか。技術協力プロジェクトでは、これらの難題に周囲の人たちと協力しながら取り組み、前進している実感を得られるときにやりがいを感じます。また、プロジェクトに関わる人たちが、私たちの代弁者のように振る舞うようになる姿を見ると、何とも言えない感慨を覚えます。調査業務では、文献や統計資料に当たって概要をつかみ、現地調査で統計に表れない生の声を集め、その両方を合わせて全体像を明らかにしていくというプロセスに知的好奇心を刺激されます。

    今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。

    まずは目の前の業務に誠実に取り組み、少しでも興味がある案件には積極的に携わることで、様々な経験を得てコンサルタントとして成長していきたいと思います。特に、地域資源を活用した観光振興や産業振興に携わり、現地の人たちが地域の誇りを見出し、自ら発展させていく支援ができればと考えています。あわせて、中小企業支援に資する資格の取得や、分野横断的に必要性が増しているデジタルリテラシーの向上などにも取り組み、現地のニーズに応えられる人材になりたいと思います。また、JICA案件以外では、途上国へのビジネス展開を目指す日本企業の支援や、国内のまちづくり活動にも携わりたいという想いがあります。

    国際協力の道を目指す方に向けてのメッセージをお願いします。

    心に残っている言葉を2つご紹介します。
    1. Be cautiously optimistic, but don’t think you can save the world. You will receive much, much more than you give.
    協力隊員として活動を開始した頃に読んだ、アメリカのピースコープ50周年の記事で見かけた経験者のメッセージです。現地の人たちから学ぶ謙虚さを忘れずにいたいものです。
    2. 批判とは自己防衛である。
    物事がうまくいかないとき、つい他人を批判したくなりますが、その状況を所与として今自分に何ができるかを常に考えていきたいものです。

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