第57号 PARTNERコラム 国際協力を志す皆さんへ

最近は国内でも「SDGs(持続可能な開発目標)」についてよく見聞きするようになったことを受け、私のこれまでの国際協力経験から得た3つの教訓をお伝えしたいと思います。

まずは私の経歴からお話します。私は高校生の頃から国連の仕事に憧れ、どのような資格が必要か情報収集をしていました。大学卒業後は旧海外経済協力基金で働いた後、アメリカで修士号を取得。JPO派遣制度を活用し、フィジーの国連開発計画(UNDP)に2年間勤めました。その後はJICA専門家として、パキスタンでジェンダー政策支援、フィリピンで女性センターの立ち上げ、南アフリカとチュニジアでは多様なアクターとの協力を推進しました。2017年からは国連食糧農業機関(FAO)に移り、現在はアジア太平洋地域事務所の総務グループ長を務めています。

お伝えしたい教訓1点目は、所属機関や担当業務の内容に関わらず、開発の主体は誰なのか、何を持続的成果として目指す協力なのか、自らの立ち位置を見極めることの重要性です。「木を見て森を見ず」にならないよう、広い視野を持ち、自分に与えられた責務を全うすることで、次の道が拓かれていきます。物事を多様な視点で見ることによって、国際協力の現場で関わり合う人々がお互いの目的やアプローチを共有することの大切さが実感できるようになっていくと思います。そのためには、相手に対してオープンマインドであり続けることが大切です。

2点目は、「前例がないからできない」と言われることがあっても、そこで折れてしまうのではなく、「前例は作るもの」という気持ちを持って能動的に行動を起こしていくことです。どんな困難に直面しても自分で考え行動を起こせる力が、これからの新しい国際協力を形作っていく上でも必要になると思います。

3点目は、国際協力におけるコミュニケーションの重要性です。単なる語学力だけでなく、異なる立場の人々にも響くような伝え方、また相手の言葉の真の意味を聞き取ろうとする真摯な態度が重要だと思っています。

これから国際協力を通じて世界の人々との絆を広げ、深めようと志す皆さんの参考になれば幸いです。

国連食糧農業機関(FAO)
アジア太平洋地域事務所 総務グループ長
池田ラーヘッド和美

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