第74号 PARTNERコラム自分の経験を無駄にしない

このコラムを読んでいる方は、おそらく学生であったり、企業や団体にお勤めしていたりと様々だと思いますが、少なからず国際協力に興味があって、何かしたいなあと具体的に、もしくは漠然と考えている人たちではないかと推測します。そんな方々に、国際協力業界に転職し、現在カンボジアで子どもの自立支援に従事中の自身の経験から強く感じた点を、僭越ながらお伝えします。

【バックグラウンド(経歴)は関係ない】

まず、学生時代どこでどんな勉強をしたか、どんな業種に就いてどんな仕事をしたかなど、履歴書に記載するバックグラウンド(経歴)は、国際協力業界で働くことになった後は必ずしも重要ではないと思います(就職・転職時は別)。私自身も全く関係ない分野を専攻していましたし、大学卒業後は日系の一般企業でバックヤードの仕事をしていました。しかし、当たり前ですが、実際に名のある企業で働いていても、国際協力分野でのボランティア経験があっても、即戦力になるかどうかは全くの別問題であり、「どこで働いていたか」より「何をしてきたか」を就職後の自身の働き方にうまく転用できるかどうかが何よりも大切です。

【自己解決力「なぜ」を考え続ける】

これまた自己啓発本やビジネス書によくある基本中の基本で恐縮ですが、「何をしたか」には「なぜ(何の目的で)やったか」の理解が伴っていないと、その経験は無になります。カンボジアでは学校の先生が板書して、生徒がそれを書き写すスタイルが主流ですが、このスタイルが子どもの「なぜ」を考える機会を奪っており、多くは自己解決能力が育たないまま成長しているため、同国で従事型労働以外の分野が発展していない、という事が実際に近年の問題になっています。どんな業種でもよくある話ですが、特にほぼ計画通りに事が運ばない国際協力分野では自身で問題を解決する自己解決力はとても重要ですし、「なぜ」を意識していないと自身の経験や体験を活かすことはできません。

【経験を無駄にしない】

私は国際協力の分野で働きたいと考えていたものの、これまでの仕事も充実していて、あっという間に時が過ぎ、実際に転職したのが30代後半。今さら全く違う業界でやっていけるのか、遅すぎたのではないかという心配はありました。しかし今、試行錯誤の毎日ではありますが、仕事にやりがいを感じ、不安や後悔は全くありません。この仕事を心から楽しんでできているのは、今までの経験を無駄にせずに今に活かせているからこそだと思います。

カンボジア人スタッフにも常に目的を考えて行動するよう伝えている
カンボジア人スタッフにも常に目的を考えて行動するよう伝えている

特定非営利活動法人 国境なき子どもたち
カンボジア駐在 プロジェクトコーディネーター
倉持 真弓

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