第108号 PARTNERコラムJICAインターン インタビュー⑧「海外協力隊事務局編」

1. JICA海外協力隊事務局 参加促進課の歩みとインターンの業務内容について
参加促進課の使命は、その名の通り、JICA海外協力隊参加者数の増加に働きかけることです。課は、近年縮小傾向にある協力隊事業を再び盛り上げるべく、HPやSNSでの発信に力を入れています。今夏受け入れられた5名のインターン生もそれに即して主に①隊員へのインタビューに基づくInstagram投稿の作成、②協力隊合格者の派遣前訓練として実施される国内の地域おこし体験「グローカルプログラム」の取材と発信、③「帰国隊員社会還元表彰」の開始に伴う、帰国後に各分野で活躍している隊員への取材と発信の3つに取り組んでいます。
今回のインタビューでは5名のインターン生のうち、江藤希彩さん(同志社大学社会学部)、西岸果凛さん(京都大学医学部)、藤原碧海さん(早稲田大学政治経済学部)の3人にお話を聞きました。

2. 大学の学部・専攻を選んだ理由
3人は京都出身ですが、その経歴は三者三様です。
江藤さんは小学校の授業で、教育を満足に受けられないアフリカの子供たちの存在を知り、福祉に興味を持ちました。狭き門であった社会福祉学科への推薦合格を勝ち取れたのは、人生に大きな影響を与えた当時の経験のおかげだと話します。

同じく小学校で進路形成に関わる経験をしたのが西岸さんです。入学以来陸上に打ち込み、6年生で駅伝出場権を得た西岸さんは大会前の健康管理に力を入れました。無事出場は叶いましたが友人は病気で出場を断念し、その後自身が体調を崩した経験と併せて健康の大切さを再認識したことで人間健康科学科を目指したそうです。

藤原さんは英語の早期習得を目指してカナダの高校に進学し、そのまま現地の大学で2年間学びました。今年の9月から早稲田大学に入学し国際政治経済学科で学んでいますが、母の出身国である中国と日本の関係を幼少期からニュースで追い続けたことが平和への関心が芽生えた最初のきっかけになったと言います。

3. JICAインターンシップ及びその部署に応募したきっかけと、今後のキャリア形成について
江藤さんの小学校時代の経験は、福祉分野だけでなく国際協力への関心も呼び起こしました。フランス語でのインターナショナルスクールであったためアフリカには特別近しい印象を抱いており、“当たり前” のはずの教育を受けられないアフリカの子供たちの現状に疑問を抱いたのが始まりでした。イベントなどに参加するうちにJICAを知り、本部勤務や国際系の進路相談ができる貴重な機会であると思いインターン参加を決意しました。

ホストファミリーをしている家庭で育った西岸さんは、国際交流の楽しみを幼少期から見出していく過程で、英会話や海外での仕事へのあこがれを強く抱いていったと言います。

藤原さんは幼少期からの国際協力への関心に伴い国際公務員として国連で働くことを夢見てきましたが、専門性をどのように身に着けるべきかで迷いがあったといいます。国連で働く方からの紹介や協力隊に元々興味があったことなどからJICAをファーストキャリアとして考えるようになり今回応募に踏み切りました。

インターンを通じ、キャリア形成について江藤さんは「より迷うようになった」、西岸さんと藤原さんは「明確になってきた」と話しますが、どちらの意見にも背景にも国際協力キャリアの多様な可能性がありました。大学院に進学予定の江藤さんは協力隊参加の時期に迷いが生まれているそうです。一方西岸さんと藤原さんは、「異文化交流」「社会への還元」「国際協力」と目的が幅広く設定されていることからも、協力隊に始まる国際協力のキャリア形成を前向きに考えているようです。

4. 国際協力を志す学生や同世代の方へのメッセージ
JICAインターンを通じ様々な感想を抱いた3人が口をそろえて言うのは「国際協力に興味がなくてもまず参加してみるべき」ということです。協力隊として各国に派遣された方の中には、元保育士や元IT企業社員など一見国際協力とは関係が薄いように思われる職種から国際協力キャリアを歩み始めた人も少なくなく、国際協力業界に足を踏み入れた理由もその人の数だけ存在します。「現在抱いているイメージが180度変わる機会、将来を考える機会として、参加して損はない」。各々の道からこのインターンに辿り着き、多種多様なバックグラウンドを持つ数多くの協力隊員と交流を深めた3人からの強いメッセージです。

(写真:海外協力隊事務局 参加促進課のインターンの皆さん)
(写真:海外協力隊事務局 参加促進課のインターンの皆さん)

JICA人事部開発協力人材室 インターン
小野寺 花佳

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