企画調査員(ボランティア事業)
概要
企画調査員(ボランティア事業)とは、JICA在外事務所・支所等において、海外協力隊員、日系社会青年ボランティア、シニア海外ボランティア、日系社会シニア・ボランティアの活動全般をサポートする人材で、当該国の開発課題に沿ったボランティア派遣計画の策定や各ボランティアの配属機関との交渉をはじめ、ボランティアの活動支援、危機管理や経理・事務処理など広範な業務を担います。
契約期間は、通常数か月から2年程度です。(契約期間は、双方の合意に基づき、同一の案件について契約期間が3年間を上限として更新される可能性もあります)
求められる資質と能力
求められる資質と能力は派遣国、在外事務所の状況などにより異なりますが、一般的に企画調査員(ボランティア事業)において必要とされるレベルは以下のとおりです。
(「国際協力人材に求められる6つの資質と能力」も併せてご参照下さい。)
支援者としての認識
企画調査員(ボランティア事業)の業務はボランティアの活動を支援することであり、自らの技術等をもって技術協力を実施する立場ではないことを認識しておく必要があります。
しかしながら、技術協力の内容を理解しなければ、適切な事業展開も、ボランティアの支援も行えないので、援助関連の基本的な知識や、担当するボランティアが支援している技術分野についての知識は、積極的に学習し、吸収していただく必要があります。
考え方の柔軟性および協調性
開発途上国においては、日本とは全く異なる文化、歴史、価値観が存在するため、相手国と折衝などを行う際、日本での基準や価値観が通用しないことが多々あります。
また、ボランティアも一人一人異なる個性を有していることから、企画調査員(ボランティア事業)は自分の立場にだけ固執するのではなく、相手の立場も理解しつつ関係者の意見を建設的に調整することが求められます。
ボランティアの話しを良く聞き、自ら解決策を見出していけるように支援する「コーチング技術」を踏まえた接し方をすることなども重要です。また、苦境に陥っても解決の糸口を探せるような性格の前向きさも必要とされます。
バランス感覚
業務は多岐にわたるので、業務の優先度を見極め、効率良く実施していく能力が求められますし、バランスよく仕事をする、ということも心がけていただく必要があります。
一般的な常識とコミュニケーション能力
開発途上国では、日本人として良識ある行動が求められるとともに、様々な個性を有するボランティアの、時には私生活面を含む、活動全般の指導も期待されるため、バランスのとれた一般常識を有している必要があります。
また、円滑に業務を実施するためには語学力および基本的な事務処理能力(文書作成能力、経理処理能力、パソコン操作能力など)は不可欠ですし、ボランティアに対し、一貫性のない対応をしてしまうことのないよう、同僚の企画調査員(ボランティア事業)や事務所員等との積極的な情報共有や、密な連絡調整なども必須です。
開発に関する情報分析・課題形成能力
企画調査員(ボランティア事業)に求められる情報分析能力としては、ひとつには、個々のボランティアの活動が効果的に行われるために必要な環境が出来ているかどうかに関する事前の情報収集・分析能力があります。
加えて、当事国における開発課題につき、JICAが総体としてどのように認識し、アプローチを行うかを計画する「国別分析ペーパー」等を把握し、これに基づいてJICAの他の事業と、ボランティア事業との連携を視野に入れた、効果的、かつ効率的な事業計画を立案する能力も求められています。したがって、ODAに関する基礎知識は言うまでもなく、JICA全体の事業内容についても十分な理解と実践力が必要となります。