第24号 連載コラム ブルンジ国ギテガ県の平和構築案件から(その1)

東アフリカの内陸に位置するブルンジは四国とおなじくらいの国土(27,830km2)に約1,000万人がひしめき、日本よりも少し高い人口密度(373人/km2)を有する国です。この狭い国土と多くの人々で限られた資源を集団で分け合う必要がしばしば生じるためでしょうか、個人的に日本人との親和性を感じた国でした。

最も印象的であったのは、現地スタッフとして貢献してくれた、ブルンジの地方都市ギテガ県の若者とベテランの方々でした。先輩コンサルタントの「カウンターパート 1 への技術移転と合わせて、現地で雇用する人たちへの技術移転はとても大事なんだよ。このプロジェクトが終わった後、ここで地域開発を担う人たちなのだから。」というアドバイスにより、我々の参画した「ブルンジ国ギテガ県における紛争影響地域の生活向上を目的としたコミュニティ開発」プロジェクトは2年間で20人以上の常駐スタッフを雇用しました。

期間限定の施工管理スタッフを含めると、30人以上になります。カウンターパート機関の1つであるギテガ県
農業・畜産普及局の職員に「そんなにスタッフを雇用するお金があるなら、カウンターパートである我々の
活動日当に充てて、現場活動にいそしむべきだ」とクレームがあるほどでした。

たくさんの現地スタッフの中から、生計向上分野においてリーダーを務めてくれたプロビデンス ンニラバンパを紹介します。ンニラバンパとは現地語のブルンジ語で「誰にも愛されない子」という何とも悲しい意味です。
名づけた名前以上に悪いことが起きないようにお守りのような意味合いがあるのかもしれません。

プロビデンスは、伝統的に狩猟採集で生計を立ててきた集団であるトゥワ 2 族出身の男性で、
ギテガ県トゥワ族協会より紹介を受けて面接をしました。私は面接後、彼を採用することに反対しました。
面接時、ポケットに手を入れたまま、早口でまくしたてる、このような態度では、現場で毎日の生活で忙しい
住民に時間を割いて調査に協力を依頼することは許されないと思ったためです。
しかし、面接に同席した先輩が「とても落ち着きがなかった、緊張を隠しているようだった。僕は一緒に仕事をしてみたいと思うけどね。紛争影響地域のプロジェクトだから少数民族の採用も必要なんじゃないかな」と面接を総括し、採用に至りました。(「その2」に続く)

1 : JICAの技術協力プロジェクトなどにおいて技術移転の対象となる相手国行政官や技術者
2 :ブルンジの民族ごとの人口比はフツ族(85%)、ツチ族(14%)、トゥワ族(1%)とされている。

NTCインターナショナル株式会社
技術事業本部 平和構築部
糀谷 薫

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