第29号 PARTNERコラム医療×ITによる国際協力

一般的に国際協力と聞くと、現地でのボランティアであったり、ODAによる各国への資金援助などを思い浮かべる方が多いと思います。実際、私の友人数名はアフリカでボランティアを行っていました。

その行動力に感服する一方、本コラムでは、今私が取り組んでいる少し視点を変えた国際協力のあり方をご紹介したいと思います。

現在、私はメドメイン株式会社という医療ITスタートアップに在籍しています。主な事業内容としては、AIを用いた病理画像解析のマーケットプレイス「PidPort」の開発です。

そもそも皆さん「病理」をご存知でしょうか。
病理とは、患者から採取された組織や細胞を顕微鏡で病理医が観察し、どのような病気があるのか、はたまたどの程度進行しているのかなどを病理診断する分野のことです。そして、この分野の専門家が病理医と呼ばれるドクターたちであり、多くの疾患はこの病理医の診断が最終診断となります。

しかしながら、現在世界中で病理医不足が深刻な社会課題となっており、アフリカではその傾向がより顕著となっています。

アフリカにおける病理医数を紹介したいと思います。アフリカ南部全体で約100人(人口55万に対し約1人)しかおらず、国別で見てもジンバブエは約9人(人口約1300万人)、モザンビークは約4人(人口約2500万人)、ボツワナは約3人(人口約210万人)、スワジランドに至っては約0人(人口110万人)となっており、十分に病理診断が行えるとは言い難い状況です。

この結果、患者は治療前に十分な診断や検査を受けることが難しく、時として誤った判断のまま治療が行われてしまうこともあります。

こうした問題を解決すべく、我々は「PidPort」を開発しています。
「PidPort」上では、患者の組織や細胞の画像を一瞬で他者と共有でき、さらにAIによる病理標本の解析によって、病理医の業務効率化や診断精度の向上をサポートすることができます。

つまり、病理医がいない地域であっても、PidPortを用いることで、日本やアメリカなど世界中の病理医が、その地域で必要な病理診断を請け負うことができるのです。これはある種、病理診断業界においての国際協力の機会を創出し、メドメインがそのハブの一つとなっていると言えるのではないかと思います。そして私自身は、世界中にこのエコシステムを波及させることを目指して今の仕事を行なっています。

この様な形で、現地のボランティアに行く以外にも、テクノロジーの力を用いることで何万人、何十万人もの人々の命を救ったり、その生活を豊かにできる可能性があります。

国際協力の一言に対しても、そのアプローチの仕方や考え方は人によって違っていいはずです。皆さんもぜひ、今の自分にできることから探してみてください!

メドメイン株式会社
Department of Sales
吉田起基

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